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工事保険とは?建設工事保険との違い・補償の種類と選び方

工事保険基礎知識

工事保険は、元請・下請の建設業者や一人親方が、工事中の物の損害・第三者への賠償・働く方のケガに備える保険の総称です。どの保険が必要になるかは、元請・発注者から求められる条件や、ご自身が一人親方として働くかどうか、下請に出す工事があるかによっても変わります。

この記事のポイント
✓元請・発注者から求められた保険は、請負契約書や特記仕様書で種類と条件を確かめます(→「元請・発注者から加入を求められたら」の章)
✓物の損害の保険は、工事の主体で建設工事・組立・土木工事保険から選びます(→「物の損害に備える3つの工事保険の選び方」の章)
✓補償される事故とされない事故は契約ごとに違うため、事故の例で確かめて見積もります(→「工事保険はどこまで補償される?」「工事保険の保険料の決まり方と見積もり前の準備」の章)
前重
この記事の監修者
前重 翔太
保険Times 法人損保チーム/法人損保アドバイザー
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自動車・賠償責任・火災・サイバー・労災上乗せなど、企業のリスクコンサルティングを担当しています。
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PL保険飲食店・キッチンカーの食中毒など、提供した商品で事故が起きたときに
労災上乗せ保険下請けの方の業務中のケガも。労災認定の有無にかかわらず補償
自動車保険社用車・現場車両の事故に。台数が多い事業者も
傷害保険一人親方・従業員のケガに。休業の備えも
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保険相談Times編集部

いまかけている保険の証券で、保険の種類と保険期間を確かめておくと、見積もりのときに足りない補償を相談しやすくなります。

目次

建設工事保険との違い:ひとつの事故でも確認する保険は別

「工事保険」という名前の商品が1つあるわけではありません。建設工事保険は、その中の1つで、建物の建築工事中に工事の目的物や資材などが受けた損害に備える保険です。

資材が落下したひとつの事故でも、工事中の建物・資材の損害は物の損害の保険、通行人のケガは賠償責任保険、作業員のケガは労災保険と労災上乗せ保険と、確認する保険が分かれることを示す図

物の損害に備える3つの工事保険の選び方

工事中の建物・設備・資材などの損害に備える保険は、建設工事保険・組立保険・土木工事保険の3つに分かれ、工事の主体が何かで選びます。

たとえば自治体の事業契約書類では、3つの保険が対象とする工事を次のように定めています1。

保険対象とする工事
建設工事保険建物の建築を主体とする工事
組立保険建物の付帯設備(電気設備、給排水衛生設備、空気調和設備など)や、機械・鋼構造物の組立・据付を主体とする工事
土木工事保険土木工事を主体とする工事

この例では、一部に別の種類の工事を含む場合も、主体の工事に合わせた保険の対象にしています1。

保険相談Times編集部

建物の建築と設備・土木が混ざる工事は、請負金額の工事種類別の内訳を用意しておくと、どの保険に当たるかを見積もりで確かめやすくなります。

工事保険はどこまで補償される?事故の例で確認

工事保険で補償される事故と補償されない事故は、保険の種類と契約ごとに違います。以下の例は、どの保険で備える場面かを示すもので、実際に保険金が支払われるかは契約の内容で決まります。

物の損害:工事中の建物や資材が壊れた

物の損害の保険で備えるのは、たとえば溶接の火花が燃え移って建築中の建物の一部が焼けた、暴風で工事中の建物の一部が崩れた、現場に保管していた建築資材が盗まれた、といった場面です。

見積もりのときは、工事の目的物のほかに、次のものや損害が補償の対象になるかを確かめてください。

  • 足場・型枠などの仮工事、現場事務所などの仮設の建物、工事用の材料が含まれるか
  • 元請や発注者から支給された材料が含まれるか
  • クレーンなどの工事用機械器具や車両が含まれるか
  • 風災・水災・地震などの自然災害による損害が対象か、特約が必要か
  • 施工ミスの手直しにかかる費用が対象か、自己負担額(免責金額)はいくらか

第三者への賠償:通行人や近隣に損害を与えた

工事中に第三者にケガをさせたり、他人の物を壊したりした場合は、請負業者賠償責任保険で備えます。たとえば、重機が近隣の塀を壊した、といった場面です。

工事業者などが行った仕事の結果が原因で他人にケガをさせたり物を壊したりして、法律上の賠償責任を負った場合の損害は、生産物賠償責任保険(PL保険)で備えます2。PL保険では、製品そのものの損害や修理・交換などの費用は支払いの対象外とされています2。

工事の場合は、施工した物そのものを直す費用が支払いの対象になるか、預かっている物や支給された材料を壊したときの賠償が含まれるか、工事の振動による損害が対象になるかも、契約で確かめておく点です。

※請負業者賠償責任保険は、請負業者賠償責任保険の解説記事にて解説していますのであわせてご確認ください。

※生産物賠償責任保険(PL保険)は、生産物賠償責任保険(PL保険)の解説記事にて解説していますのであわせてご確認ください。

働く方のケガ:労災保険と上乗せ・特別加入

現場で働く方のケガには、まず政府の労災保険で備えます。労災保険は、仕事上や通勤によるケガや病気に対して保険給付を行う制度です3。足場からの転落や、重機に挟まれる事故が、労災保険で備える場面です。

厚生労働省の集計では、令和7年の労働災害による死亡者(新型コロナウイルス感染症へのり患によるものを除く)は700人で、業種別では建設業が214人と最も多くなっています4。

契約の形が請負などで雇用契約でなくても、働き方の実態が労働者と同様と判断された方は、一人親方等ではなく労働者として扱われます3。労働者ではない方のうち、中小事業主等・一人親方等・特定作業従事者・海外派遣者に当たる方は、労災保険に特別加入できます5。

政府の労災保険の給付が行われると、労働基準法で事業主に課された災害補償の責任は免除されますが、この災害補償は民法上の慰謝料などの損害賠償とは異なるものです6。

政府の労災保険に上乗せして事業者が任意で入る保険を、法定外の労災保険(労災上乗せ保険)といいます。労災上乗せ保険を選ぶときは、次の点を確かめてください。

  • 下請の作業員や一人親方が補償の対象になるか
  • 労災保険の認定を受けることが、支払いの条件になるか
  • 作業員が休業した間の補償があるか
  • 作業員やご遺族から事業者が損害賠償を求められたときの補償(使用者賠償責任)があるか

※労災上乗せ保険は、労災上乗せ保険の解説記事にて解説していますのであわせてご確認ください。

工事保険の保険料の決まり方と見積もり前の準備

損害保険の保険料のうち純保険料は、事故が起きる頻度と、1回の事故あたりの平均の損害額を掛け合わせて算出します7。工事保険の保険料は、次のような工事の条件を伝えて見積もりで確かめ、安さを比べるときは同じ条件の見積もりどうしで比べてください。

  • 工事の種類(建物の建築・設備の組立・土木)と、主な作業の内容を書き出します
  • 請負金額や年間の売上高など、工事の規模が分かる数字を用意します
  • 備えたい損害(物・賠償・労災上乗せ)と、物の損害の保険金額、賠償の支払限度額、労災上乗せの死亡・後遺障害の補償額の希望を決めます
  • 下請に出す工事があるかを伝えます

政府の労災保険の保険料は、工事保険の保険料とは別に納めるものです。

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元請・発注者から加入を求められたら

元請や発注者から保険の加入を求められたときは、求められた保険の種類と条件を、請負契約書や設計図書(特記仕様書)で確かめます。国土交通省の工事請負契約書では、受注者が工事目的物や工事材料を、設計図書の定めにより建設工事保険などの保険に付し、証券などを発注者に示すことが定められています8。

法定外の労災保険について、国土交通省は令和2年6月3日の事務連絡で、「土木工事工事費積算要領及び基準の運用」を適用するすべての工事を対象に、付保を特記仕様書で明示するよう地方整備局などに示しています8。公共工事でも、すべての工事で同じ扱いとは限らないため、実際の特記仕様書で求められている内容を見てください。

求められた保険を用意するときは、書類で次の点を確かめてください。

  • 求められている保険は、物の損害・第三者への賠償・法定外の労災保険のどれか
  • 被保険者に、元請や発注者を含める必要があるか
  • 保険の対象になる工事・物と、保険期間はどこまでか
  • 保険金額や支払限度額の指定があるか
  • 証券や加入証明書を、いつまでにどう提出するか
  • すでに入っている保険で条件を満たせるか
保険相談Times編集部

工事の内容や日程が変わったときは、加入済みの保険で手続きが要るかを、保険の窓口に確かめましょう。

一人親方が加入すべき保険は?

一人親方が自分で保険に入る必要があるかは、ご自身のケガ・第三者への賠償・工事の物の損害のそれぞれが、元請の保険や契約でどこまで対象になっているかで決まります。

  • ご自身のケガ:労働者を使用しないで建設の事業を行うことを常態とする一人親方は、労災保険に特別加入できます。労働者を使う日が1年間に100日に満たないときも、一人親方等として特別加入できます9。請負の形でも働き方の実態が労働者と同様なら、労働者として扱われます3
  • 第三者への賠償:元請の請負業者賠償責任保険で、ご自身の作業中の事故が対象になるかを見ます。対象にならない作業や、ご自身が直接請ける工事があるときは、ご自身での請負業者賠償責任保険への加入を検討します
  • 工事の物の損害:元請や発注者が工事全体に物の損害の保険を付けているか、請負契約でご自身に付保が求められているかを見ます

※電気工事業・塗装業の保険は、電気工事業の保険の解説記事・塗装業の保険の解説記事にて解説していますのであわせてご確認ください。

まとめ:工事保険は物・賠償・人で選び、条件をそろえて見積もる

工事保険は建設業の保険の総称で、建設工事保険はその中で建物の建築工事中の物の損害に備える保険です。物の損害・第三者への賠償・働く方のケガのどれに備えるかで保険が分かれ、補償される事故とされない事故は契約ごとに違います。心配な事故の例と、元請や発注者から求められた条件をお伝えいただければ、ご自身の工事に合う保険を同じ条件で見積もれますので、下の窓口からご相談ください。

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※本記事に記載の制度・保険料に関する情報は記事更新時点のものであり、今後変更される可能性があります。最新の情報は各公式サイトや保険会社の資料をご確認ください。

本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

出典・参考


  1. 京都市「事業契約書 別紙10 付保すべき保険」(自治体の事業契約書類での区分の例)
    https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000343/343825/keiyakushobessi10.pdf(取得日:2026年10月16日) ↩
  2. 日本損害保険協会「損害保険Q&A 問94 PL保険は、どのような保険ですか。」
    https://soudanguide.sonpo.or.jp/body/q094.html(取得日:2026年10月16日) ↩
  3. 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「個人事業主等に業務依頼をしている事業主の皆さま 労災保険に関するご注意です」
    https://www.mhlw.go.jp/content/000773454.pdf(取得日:2026年10月16日) ↩
  4. 厚生労働省「令和7年の労働災害発生状況を公表」(令和8年5月27日)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73382.html(取得日:2026年10月16日) ↩
  5. 奈良労働局「労災保険の特別加入制度」
    https://jsite.mhlw.go.jp/nara-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudou_hoken/hourei_seido/tokubetukanyu.html(取得日:2026年10月16日) ↩
  6. 福井労働局「労災保険制度のご案内:補償の責任と労災保険の関係」
    https://jsite.mhlw.go.jp/fukui-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/hourei_seido/b03_3_2.html(取得日:2026年10月16日) ↩
  7. 日本損害保険協会「損害保険料率算出の考え方について」(2014年6月26日、国土交通省 住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討委員会 資料7)
    https://www.mlit.go.jp/common/001047353.pdf(取得日:2026年10月16日) ↩
  8. 国土交通省 大臣官房技術調査課 事務連絡「法定外の労災保険の付保に係る設計図書への明示等について」(令和2年6月3日、日本建設業連合会掲載)
    https://www.nikkenren.com/news/pdf/oshirase/1235/60.pdf(取得日:2026年10月16日) ↩
  9. 厚生労働省「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)」1 特別加入者の範囲
    https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040324-6-03.pdf(取得日:2026年10月16日) ↩
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この記事を書いた人

保険相談Times(株式会社インシュアランスブレーン)では、海外旅行保険(留学・ワーホリ・駐在・海外長期渡航など)・火災保険・法人損保、生命保険に関するお問い合わせを日々多数いただいています。その中で、お客様からのご質問・やり取りの中から「この情報は保険加入前に知っておいた方がいいな」といった内容を記事にまとめて保険の選び方を発信しています。
スタッフの詳細なご紹介:https://hokentimes.com/oversea/staff

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