火災保険の類焼損害特約は、必要なのかな？
類焼損害特約を付帯するメリットって何？
多くの方が加入している火災保険には、さまざまな特約が用意されています。
今回は、その中の類焼損害特約について紹介します。
この記事を読んだあなたは、類焼損害特約の必要性について理解できるでしょう。
火災保険に類焼損害特約は必要か？
火災保険を契約する際に、「類焼損害特約」を付けるべきか迷う方も多いでしょう。
類焼損害特約とは、自分の家が火元となり近隣の建物に被害を与えた際に、その損害費用を補償するための特約です。
類焼損害特約とは？
類焼損害特約とは、自分が起こした火災が原因で近隣の住宅や建物に被害を与えた場合に、その損害を補償するものです。
日本の法律である失火責任法1では、重過失がない限り火元の人が損害賠償責任を負いません。
そのため、被害にあった近隣の人は自分の火災保険で修理するしかなく、十分な補償が受けられないことがあります。
しかし、火元が火災保険の類焼損害特約に加入していれば、被害者にも被害費用を補償することが可能です。
類焼損害特約の必要性
類焼損害特約は、住宅が密集している地域や、近隣に迷惑をかけたくない場合は必ず必要になる特約です。
都市部や住宅密集地、木造住宅の多い地域では、火災が発生すると類焼のリスクが高まります。
特に隣家との距離が近い場合は、延焼の可能性が高いため、類焼損害特約があると安心できるでしょう。
類焼損害特約の補償内容
火災保険に類焼損害特約を付帯した場合、自宅や所有物から発生した火災や爆発によって、近隣の建物や家財に損害を与えてしまった場合に、その修理費用などが補償されます。
ただし、補償の範囲や条件には一定の制限があるため、注意が必要です。
ここでは、類焼損害特約の補償内容と保険金が支払われない場合について詳しく解説します。
補償内容
| 費用 | 対象となる費用 | 例 |
|---|---|---|
| 類焼損害保険金 | 保険の対象となる建物、またはその建物に収容される家財から、火災、破裂・爆発が発生し、近隣の住宅・家財が損害を受けたとき、その住宅・家財の所有者に保険金を支払う | 自宅の火災で隣家が燃えたが、隣家が火災保険に入っていなかった |
| 失火見舞費用保険金 | 保険の対象となる建物、またはその建物に収容される家財から、火災、破裂・爆発が発生し、第三者の所有物に損害が発生したとき、契約者に保険金を支払い、その保険金を活用して近隣へ見舞金を支払う | 自宅の火災で隣家に損害を与え迷惑をかけたので、関係維持のため見舞金を払いたい |
保険金が支払われない場合
保険金が支払われないケースは、下記の通りです。
重大な過失がある場合の例は下記の通りです。
・寝タバコ
・てんぷらを揚げている時に、調理場を離れた
・石油ストーブの近くにガソリンを置いた など
保険金が支払われない場合の詳細については、保険会社に確認することをおすすめします。
類焼損害特約と失火見舞費用保険金の違いは？
類焼損害特約と失火見舞費用保険金は混同されますが、全く性質の異なるものです。
類焼損害特約と失火見舞費用保険金の違いを下記の表にまとめました。
| 項目 | 類焼損害特約 | 失火見舞費用保険金 |
|---|---|---|
| 補償内容 | 近隣の損害を補償 | お見舞い金を支給 |
| 保険金支払額 | 実際の修理費用 | 固定額 |
| 法的な賠償責任の有無 | なし | なし |
| 保険金の上限 | 設定した限度額 | 定額 |
火災による近隣住民への経済的負担を考えると、類焼損害特約を付帯しておくことでより手厚い補償が可能になります。
一方、失火見舞費用保険金はあくまで「お見舞い金」のため、補償額は限定的です。
類焼損害特約に加入した方が良いケース
以下のようなケースでは、類焼損害特約への加入を検討することをおすすめします。
・築年数が古い住宅の場合
・集合密集地の場合
築年数が古い住宅の場合
築年数が古い住宅は、配線の劣化や建材の老朽化により、火災が発生しやすい傾向があります。
特に、木造住宅の場合は延焼のリスクが高く、万が一の際に近隣への被害が拡大する可能性が高いでしょう。
また、近隣の住宅も同じく築年数が古い場合、火災が発生すると一気に延焼してしまう可能性が高く、損害額が大きくなることがあります。
そのため、類焼損害特約を付帯しておくことで、万が一の際に適切な補償が可能です。
集合密集地の場合
住宅が密集している地域では、火災が発生した際に延焼しやすく近隣に大きな損害を与えてしまうリスクがあります。
特に、狭い路地に建てられた住宅密集地では、消防車の進入が困難な場合もあり火災の被害が拡大しやすくなるでしょう。
失火責任法により損害賠償責任を問われませんが、火災によって近隣住民が多額の修理費を負担することになれば、トラブルに発展する可能性があります。
類焼損害特約に加入していれば経済的な負担をカバーできるため、万が一の際に近隣との関係を円滑に保つことが可能です。
類焼損害特約特約の注意点
類焼損害特約特約の注意点は下記の通りです。
・自分の建物・家財は適用されない
・補償額に上限がある
・補償対象外になる場合がある
・火災保険とセットで加入が必要
自分の建物・家財は適用されない
あくまで「近隣住宅への損害」を補償する特約であり、自宅や家財の修理費用には使えません。
自宅の損害は火災保険本体でカバーする必要があります。
補償額に上限がある
類焼損害特約を追加しているからといって、全額が補償されるとは限りません。
多くの場合は上限を設定していることがほとんどです。
そのため、上限を超えた場合の修理費用やお見舞金などは自己負担となります。
自己負担になる可能性もあることを覚えておきましょう。
補償対象外になる場合がある
類焼損害特約を覚えて付けていても、補償対象外になるケースもあります。
契約者や被保険者が故意や重過失により起こしたトラブルは補償対象外となり、保険金はもらえないため注意が必要です。
補償対象・補償対象外になるケースはあらかじめ保険会社に確認することをおすすめします。
火災保険とセットで加入が必要
類焼損害特約は単独で加入できるものではなく、火災保険のオプションとして付帯する形になります。
火災保険に加入していないと、そもそも類焼損害特約を付けられないため注意が必要です。
火災保険の申請方法
火災などで損害が発生した場合の給付金請求方法について紹介します。
・被害が確認できたら、契約している保険会社または代理店に速やかに連絡します。
・保険証券番号や損害の状況を伝えると手続きがスムーズです。
・保険会社からの案内に従って必要な書類を用意して保険会社に書類を提出しましょう。
・損害箇所をさまざまな角度から撮影した写真があると良いです。
・保険会社の担当者や損害鑑定士が現地に訪れ、損害状況を確認します。
・調査後、保険会社から補償額や支払い条件について連絡があります。
・査定結果に納得できない場合、再査定を依頼することも可能です。
・保険会社の査定結果に基づき、給付金が指定の口座に振り込まれます。
・保険会社によって異なりますが、書類の提出が完了してから、通常2週間～1ヶ月程度で支払われます。
まとめ
火災保険の類焼損害特約は、住宅密集地や築年数が古い住宅の場合は必ず追加した方が良い補償です。
万が一火事が起きて隣家に火が移った場合、かなり迷惑がかかりご近所トラブルに繋がるでしょう。
類焼損害特約を付帯していない方は、保険会社に相談することをおすすめします。
脚注
本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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