新社会人になると、はじめての一人暮らしや初任給など、お金との付き合い方が変わります。将来への備えを考える場面も増えてくるでしょう。
新社会人がまず確認すべきなのは、公的保障と会社の福利厚生です。そのうえで足りない部分を、医療保険、就業不能保険、死亡保険などを中心に、無理なく払い続けられる保険料の範囲で補うのが基本です。
この記事のトピック
- 新社会人はまず、公的保障や会社の福利厚生を確認しましょう
- 高額な医療費や働けなくなるリスクなどを想定して、必要な保険を選びましょう
- 若くて健康なうちは保険料を抑えやすい分、入りすぎには注意しましょう
新社会人がまず知っておきたい公的保障ができること・できないこと
公的保障は医療費や働けない期間の収入を一定まで支えますが、差額ベッド代など対象外の費用も残ります。
| 想定リスク | 主に利用できる公的保障 | どれくらい負担する・もらえるか |
|---|---|---|
| 病気・ケガの医療費 | 健康保険・高額療養費制度 | 窓口負担は3割で、申請すればひと月の自己負担が上限を超えた分は払い戻されます1 ※上限額は所得で変わります。標準報酬月額26万円以下(年収約370万円未満・住民税非課税者を除く)なら月61,500円、住民税非課税の場合は月36,900円です。 |
| 病気・ケガで長く働けない | 傷病手当金 | 業務外の病気・ケガで働けないあいだ、給与の約3分の2を通算1年6か月まで受け取れます2※標準報酬月額の平均をもとに計算します。加入期間が12か月に満たない場合は、直近の平均額と全被保険者の平均額(32万円)のうち低い方が使われます。 |
| 失業をした | 失業給付 | 離職前の給与の5〜8割を、90日程度にわたって受け取れます3 ※原則として、離職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です。新卒1年目の自己都合退職では原則受け取れません。ただし倒産・解雇などの場合は、離職日以前1年間に通算6か月以上あれば受け取れます。 |
| 老後・将来的に障害を負う | 厚生年金・国民年金 | 65歳から老齢年金を受け取れるほか、障害を負ったときや遺族を残したときにも支給されます ※老齢年金の額は加入期間と納めた保険料で決まります。障害年金は、加入期間が短くても納付要件を満たせば受け取れます。遺族年金は納付要件に加えて、受け取れる遺族の範囲などの条件があります。 |
一方で、差額ベッド代や入院中の食事代の自己負担分、日用品代などは公的保障の対象外です。
そのため、保険は公的保障で補いきれない部分を埋める目的で選ぶことが重要です。
新社会人が備えるべきリスクと優先して選びたい保険
新社会人が優先して検討したいのは医療保険で、次いで就業不能保険、死亡保険、貯蓄型保険の順です。
新社会人が備えておきたい保険の種類
| 保険の種類 | 備えるリスク | 向いている人・考え方 | 新社会人の優先度 |
|---|---|---|---|
| 医療保険 | 入院・手術時の、公的医療保険の対象外となる費用 | 貯蓄が少なく、まとまった出費に対応しにくい人 | 優先的に検討したい |
| 就業不能保険 | 長期間働けないときの収入の減少 | 傷病手当金だけでは生活費が不足する人 | 必要に応じて検討したい |
| 死亡保険 | 自分に万一のことがあった場合の費用や遺族の生活費 | 独身は最小限。扶養する家族ができたら必要性が高まる | 扶養家族ができたら優先的に検討したい |
| 貯蓄型保険 | 老後・将来の資金(保障と積み立てを兼ねる) | 生活費と保障を確保したうえで余力がある人 | 保障を確保したあとに検討したい |
※上記の表における優先度は一般的な考え方であり、必要な保障は人によって異なります。
病気・ケガで入院したら?→ 医療保険
特に新社会人が備えておきたいのが、病気・ケガによる入院・手術のリスクです。
「高額療養費制度があれば費用はそこまでかからないのでは?」と感じることもあるでしょう。しかし、以下のような費用は公的保障だけではカバーしきれません。

こうした公的保障だけではカバーしきれないリスクに備えるのが、「医療保険」の役割です。
なかでも個室を希望する際の差額ベッド代は、入院が長引くほど負担が大きくなります。こうした費用に備えるには、入院日額などの給付金を受け取れる医療保険が役立ちます。
※給付金は入院日数などに応じた定額で、実際にかかった費用と一致するとは限りません。
生命保険文化センターの調査(2025年度 生活保障に関する調査)では、「直近の入院でかかった自己負担費用(治療費・食事代・差額ベッド代に加え、家族の交通費や衣類・日用品などを含む)」は平均18.7万円となっています。これは高額療養費制度を利用した人と利用しなかった人を合わせた平均で、同調査では制度を利用した人は67.6%でした(制度を利用した場合は利用後の金額)。4
金額だけを見ると、ある程度自費でカバーできるかもしれませんが、貯蓄が少ない時期だからこそ、医療保険を優先的に検討するとよいでしょう。
また、身近にがんになった人がいるなど、がんへの不安が強い人は、医療保険に加えてがん保険や先進医療特約を検討するのも一つの方法です。
医療保険の選び方に関する記事はこちら
【2026年最新】 医療保険は必要か?|公的医療保険で足りない金額とプロが教える選び方
長く働けなくなったら?→ 就業不能保険
病気・ケガで長期間働けなくなったときの生活費に備えるのが「就業不能保険」です。
会社員には傷病手当金がありますが、支給期間や金額には上限があり、収入はどうしても減ってしまいます。さらに、治療費や通院費などの支出も重なるため、働けない期間が長引くほど負担は大きくなります。
実家に戻れず家賃の支払いが続く人や、傷病手当金だけでは生活費が不足する人は、医療保険を確保したあとに検討するとよいでしょう。
自分にもしものことがあったら?→ 死亡保険
自分が亡くなったときに、残された家族へお金を残すのが「死亡保険」です。
死亡保険には、一定期間の保障を確保する定期保険と、一生涯の保障が続く終身保険があります。終身保険には解約返戻金がある商品が多いことも特徴です(解約返戻金のないタイプもあります)。
ただし、契約から早い時期に解約すると、解約返戻金が払込保険料の総額を下回ることがあります。
また、若いうちに加入すると保険料を抑えやすく、健康な状態なら選べる商品の幅も広がります。
新社会人の場合は独身で大きな保障が必要になる場面が少ないため、まずは葬儀費用や身の回りの整理費用をまかなえる程度で十分なことが多いといえます。
今は最小限にとどめ、ライフスタイルの変化に応じて見直すのが合理的です。
老後やこの先の資金は?→ 貯蓄型保険
将来資金や老後に向けては、保障と積み立てを兼ねた「貯蓄型保険(個人年金保険・外貨建て保険など)」という選択肢があります。
ただし、外貨建ての商品は為替相場の変動により、受け取る金額が払込保険料の総額を下回る場合があります。途中で解約した場合も、解約返戻金が払込保険料を下回ることがあります。
保険料も、同じ保障額の掛け捨て型と比べて高くなりがちです。新社会人の場合は、貯蓄に余裕が出てから始めるのも現実的でしょう。
新社会人の保険選びでは、「保障も備えたいのか」「お金を増やすことを優先したいのか」によって選ぶべき手段が変わります。いくつかの手段を組み合わせる方法も、将来の備えとして知っておくとよいでしょう。
新社会人の保険料の目安はいくら?月々の決め方
保険料は平均額に合わせるのではなく、家賃・生活費・貯蓄を確保したうえで残る範囲におさめます。
昇給や転職、引っ越しで支出が変わっても払い続けられるかどうかが、金額を決めるときの目安になります。
新社会人のうちに入るメリットと、入りすぎの注意点
新社会人のうちに保険を検討するメリットは、保険料を抑えやすく、健康なうちに必要な保障を選びやすい点です。
- 若く健康なうちは、同じ保障内容で年齢が上がってから加入する場合と比べて保険料を抑えやすい
- 持病が出る前なら告知で断られにくく、選べる商品の幅も広い
- 貯蓄が少ない時期の想定外の出費に備えられる
- 将来に向けた貯蓄型保険や資産形成は、早く始めるほど時間を味方にできる
生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」によると、生命保険の加入率は18〜79歳全体で80.0%(男性78.2%・女性81.5%7)ですが、20歳代に限るとおよそ2人に1人にとどまります8。全体の数字は目安として押さえつつ、加入するかどうかは自分の状況で判断しましょう。
一方で、収入が少ない時期に保険料が支出を圧迫してしまうことや、必要性を確認せず入りすぎることには注意が必要です。
新社会人の保険選びで失敗しない3つのポイント
保険選びでつまずきやすいのは、保険料・優先順位・比較の3点です。

会社によっては手厚い福利厚生が用意されている場合もあります。保障内容を確認し、別途民間の保険に入るべきかを比べておきましょう。
福利厚生の例
- 健康保険組合の付加給付:高額療養費の自己負担をさらに軽くしてくれる制度(大企業の健保組合に多い)
- 団体保険(グループ保険):同じ保障内容を個人で契約する場合と比べて保険料が割安な場合がある
- 共済・福利厚生サービス:互助会や提携サービスによる保障・割引
まとめ|まずは備わっている保障を確認し、無理のない範囲で備えよう
新社会人の保険は、公的保障と会社の福利厚生を確認したうえで、足りない部分だけを補えば十分です。
優先度が高いのは医療保険、次いで就業不能保険です。死亡保険や貯蓄型保険は、結婚や収入の変化に合わせて見直していきます。
保険は難しい・面倒と感じて後回しにされがちです。まずは公的保障や福利厚生で自分がどこまで備えられているかを確認するところから始めましょう。
新社会人の保険に関するよくある質問(FAQ)
- 保険は入社後すぐ入るべきでしょうか?
-
急いで入る必要はありません。
まずは公的保障と会社の福利厚生を確認し、不足を把握してからで十分です。ただし、年齢が若いうちのほうが保険料を抑えやすいので、「いずれ入るつもり」なら早めの検討にメリットがあります。
- 新社会人の保険料は月いくらが目安ですか?
-
一律の目安はありません。家賃・生活費・貯蓄を確保したうえで、残る範囲におさめるのが基本です。
参考として、生命保険・個人年金保険の加入者全体の年間払込保険料は平均17.1万円(月およそ1.4万円)ですが、これは貯蓄型を含む全年代の平均のため、独身の新社会人にはやや高めの水準です。
- 新社会人に保険はいらないという意見もありますが、どう考えればよいですか?
-
公的医療保険や傷病手当金などの公的保障があるため、新社会人のうちから手厚い保険が必要とは限りません。
一方で、差額ベッド代や入院中の食事代の自己負担分、日用品代など、公的保障だけではカバーできない費用もあります。そのため、「保険はいる・いらない」で考えるのではなく、まずは公的保障でどこまで備えられるのかを確認し、不足する部分だけを保険で補うという考え方がおすすめです。
- 新社会人はまずどの保険から入るべきですか?
-
優先度が高いのは医療保険です。
貯蓄が少ない時期に、公的医療保険の対象外となる費用へ備えられます。次に、長期間働けなくなったときに備える就業不能保険を検討します。死亡保険は独身のうちは最小限で足りることが多く、結婚や出産のタイミングで見直します。
- 掛け捨てと貯蓄型の違いはなんですか?
-
収入が比較的低い間は、まず保険料を抑えやすい掛け捨て型で必要な保障を確保するのが基本です。
貯蓄も兼ねたい場合は貯蓄型も選択肢になりますが、貯蓄型は、同じ保障額の掛け捨て型と比べて保険料が高くなりがちで、途中解約で元本割れする可能性がある点に注意しましょう。
- 会社の団体保険でも十分ですか?
-
団体保険は通常、保険会社が行う業務の一部を、契約者である企業・団体が代行し、団体割引が適用されることもあるため、同じ保障内容を個人で契約する場合と比べて保険料が割安になる場合があります。しかし、保障内容が限定的だったり、退職すると継続できない場合があります。
まずは活用しつつ、足りない部分を個人の保険で補う、という使い分けがおすすめです。
- 親が入ってくれていた保険は継続すべきでしょうか?
-
就職を機に、保障内容と保険料を一度確認しましょう。
今の自分に合っていれば継続、不要な保障が多ければ見直し・解約することも検討すると良いでしょう。誰が保険料を払い、誰が受取人かも合わせてチェックしておくと安心です。
- 健康なら告知で有利?持病があっても入れますか?
-
健康状態が良いほど、加入しやすく健康体割引が適用される場合は保険料が割安になることがあります。
持病があっても、引受基準緩和型などで入れる保険はありますが、引受基準緩和型は、通常の引受基準の保険と比べて保険料が割高になりがちです。一般に、健康状態が良いうちのほうが選べる商品の幅は広くなります(引受の条件や保険料は商品によって異なります)。
出典・参考サイト一覧
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html(2026年7月28日確認) ↩︎
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html(2026年7月28日確認) ↩︎
- 厚生労働省:離職されたみなさまへ
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000951119.pdf(2026年7月28日確認) ↩︎ - 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査《速報版》」https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r7/seikatuhoshouchousa_2025sokuhouban.pdf(2026年7月28日確認) ↩︎
- 生命保険文化センター「生命保険の保険料は年間どれくらい払っている?」 https://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/847.html(2026年7月28日確認) ↩︎
- 公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」 https://www.jili.or.jp/press/2025/10212.html (2026年7月28日確認) ↩︎
- 生命保険文化センター「生命保険に加入している人はどれくらい?加入金額は?」 https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1221.html (2026年7月28日確認) ↩︎
- 公益財団法人 生命保険文化センター 2025(令和7)年度 生活保障に関する調査https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r7/2025honshi_all-.pdf(2026年7月28日確認) ↩︎
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