結婚を機に、生命保険について考え始める人は少なくありません。一方で、「夫婦でどのくらいの保障が必要?」「今入っている保険は見直したほうがいい?」と悩むこともあるでしょう。
結論から言うと、結婚後の生命保険は、遺族年金などの公的保障と貯蓄で足りない金額だけを補うのが基本です。新しく入り直すより、今の契約を確認して受取人と保障額を今の家族構成に合わせることから始めます。
この記事のポイント
- 結婚後の生命保険の見直しは、今の契約の確認と受取人の変更から始めます
- 死亡保険や医療保険、就業不能保険、個人年金保険を中心に検討するのがおすすめです
- 世帯のタイプ、家計の状況、ライフイベントの3つの切り口で必要な生命保険を絞り込みましょう
結婚を機に生命保険を見直すべき理由
独身時代とは異なり、自分だけでなく配偶者の生活も考えた備えが必要になるためです。
中でも特に確認したいのは、「誰に、どのくらいの保障を残すのか」という点です。

生命保険文化センターの調査では、生命保険の2人以上世帯の加入率は89.2%でした1。※「2人以上世帯」には夫婦以外の同居世帯も含まれます
単身世帯では45.6%となっているため、2人以上世帯の加入率は単身世帯を大きく上回っています。
このことから、家族の生活を守る必要性が高まる局面で保険加入が意識されやすいことがうかがえますね。
結婚後に確認したいポイントは、主に以下の3つです。
- 必要保障額:守る相手が増え、死亡保障の必要額が変わる
- 受取人:親から配偶者へ変更する人が多い
- 公的保障の対象:配偶者は遺族年金の対象になり得る
独身時代に加入した生命保険では、受取人が親になっているケースがあります。結婚後もそのままにしていると、万が一の際に保険金が希望する相手へ支払われない可能性があるため、結婚のタイミングで変更しておきましょう。
また、結婚後の保障を考える前に、夫婦それぞれの現在の契約内容を確認しましょう。
- 保険の種類:死亡保険か、医療保険か
- 保険金額・給付金額:いくら受け取れるか
- 保障期間:いつまで続くか
- 受取人:誰に設定されているか
- 保険料:毎月いくら払っているか
結婚後に検討したい生命保険の種類
死亡保険や医療保険、就業不能保険、個人年金保険を主に検討してみましょう。

これらの保険はそれぞれ役割が異なるため、夫婦のこれからのライフスタイルに必要なものだけを選ぶことが賢く備える方法です。
結婚後の万が一に備える死亡保険
「もしもの場合に、遺された配偶者や家族の生活費がどの程度不足するか」を確認したうえで備えることが大切です。

生命保険文化センターの調査では、令和6年度における2人以上世帯の普通死亡保険金額は平均1,936万円でした。配偶者を対象とした普通死亡保険金額は平均691万円です。
※いずれも生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」による全生保(民保・簡保・JA・県民共済/生協等を含む)の数値です23。1,936万円は世帯合計の金額で、1人あたりの金額ではありません。
ただし、必要な保障額に決まった正解はありません。配偶者の収入や貯蓄、公的保障などを踏まえ、不足する金額を補う考え方が基本です。
まず確認したいのが、万が一の際に受け取れる公的保障です。
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、亡くなった方の加入状況に応じて、いずれか一方または両方が支給されます。
公的保障や貯蓄で不足する部分を補う方法として、死亡保険があります。代表的なものが「定期保険」と「終身保険」です。
| 内容 | 定期保険 | 終身保険 |
|---|---|---|
| 保険料 | 比較的安い ※同等の保障内容を終身保険と比べた場合 | 定期保険より高い ※同等の保障内容を定期保険と比べた場合 |
| 保障期間 | 一定期間で満了 | 一生涯 |
| 解約返戻金 | 基本的になし | あり ※早期解約では払込保険料の総額を下回る場合があります |
| 向いている人 | 子育て期など一定期間だけ大きく備えたい人 | 一生涯の保障が欲しい人 |
定期保険は、掛け捨て型のため、同じ保険金額の終身保険と比べると保険料を抑えて死亡保障を準備しやすいのが強みです。
一方で終身保険は、解約したときに解約返戻金を受け取れる場合があることが特長です。ただし解約返戻金の水準は商品や経過年数によって異なり、早期に解約した場合は払込保険料の総額を下回ることが一般的です。低解約返戻金型では、保険料払込期間中の解約返戻金が抑えられている商品もあります。
定期保険の解説記事はこちら
定期保険とは?特徴とメリット・デメリット、ライフステージ別の選び方まで徹底解説
終身保険の解説記事はこちら
終身保険とは?仕組みやメリット・デメリット、後悔しない選び方を解説
病気やケガに備える医療保険やがん保険
公的保障と貯蓄で足りない金額を補う部分をカバーする範囲で備えることが基本です。
高額療養費制度を踏まえても貯蓄が少ない場合は、長期入院時の出費に備えて医療保険を検討しましょう。
高額療養費制度では、保険診療にかかる自己負担額が一定額を超えた場合については超過分が払い戻されます。窓口での支払いを上限額までに抑えたい場合は、マイナ保険証または限度額適用認定証の提示が必要です。
たとえば69歳以下で年収約370万〜約770万円の場合、自己負担の上限は8万5,800円+(総医療費-28万6,000円)×1%で計算されます。医療費が100万円かかった場合の実際の自己負担は約9.3万円です6。
一方で、差額ベッド代や入院中の食事代、先進医療の技術料、保険適用外の治療費などは高額療養費制度の対象外となります。
医療保険についての解説記事はこちら
【2026年最新】 医療保険は必要か?|公的医療保険で足りない金額とプロが教える選び方
また、がんによる入院や治療で発生する経済的負担に備えたい方は加入を検討するとよいでしょう。
がん保険には、所定のがんと診断確定されたときに一時金を受け取れるタイプがあります。治療費以外にも使えるまとまったお金を用意できる点が特長ですが、対象となるがんの範囲や支払回数は商品によって異なります。
結婚年齢の時点では、多くの人にとって大病は身近に感じにくいものですが、がんは思いのほか身近な病気です。
国立がん研究センターの最新がん統計(2023年データに基づく)では、日本人が生涯でがんと診断される確率は、男性61.1%・女性50.1%で、いずれも2人に1人とされています7。
「先進医療給付金」が受けられるがん保険に加入していれば、公的医療保険の対象外で高額になりやすい所定の先進医療の技術料も、支払事由に該当すれば保障の対象となります。
がん保険の解説記事はこちら
【2026最新】がん保険の正しい選び方|自分に最適な保障内容と最新データをもとにした備え方を徹底解説
働けないときや老後に備える保険
働けない期間の収入は就業不能保険、老後の生活資金は個人年金保険で、公的保障の不足分を補います。
特に、住宅ローンや教育費といった固定費がある場合の収入減少には「就業不能保険」が万が一の支えとなります。
就業不能保険は、病気やケガで約款所定の就業不能状態が続いたときに、毎月の収入を補う保険です。支払いが始まるまでの期間や、精神疾患を対象とするかどうかは商品によって異なります。
会社員の場合は傷病手当金という公的保障があり、1日あたりおおむね給与の3分の2が、支給開始日から通算1年6か月を上限に支給されます8。ただし自営業やフリーランスなど国民健康保険の加入者には、原則としてこの制度がありません。
結婚すると配偶者の生活にも関わってくるため、お互いの働き方や収入に応じた備えを検討しましょう。
働けない期間の傷病手当金の仕組みや就業不能保険についての解説記事はこちら
就業不能保険とは?仕組み・必要性の判断基準と後悔しない選び方を徹底解説
また、個人年金保険は、老後の生活資金を積み立てることで将来の費用に備えます。
毎月一定額を積み立てる仕組みで計画的に準備できるため、貯蓄が苦手という人や、老後資金を計画的に貯めたいという場合は検討するとよいでしょう。
個人年金保険の基礎の解説はこちら
個人年金保険の仕組みとは?種類・メリット・選び方を専門家が徹底解説
結婚後の生命保険の選び方と活用ポイント
世帯のタイプ、家計の状況、ライフイベントの3つの切り口で必要な保障を絞り込みます。
世帯のタイプ別に必要な保険を考える
まず必要な保障は、共働きか片働きか、子どもがいるかといった世帯のタイプで変わります。
| 世帯タイプ | 想定リスク | 優先度が高い保険 | 優先度が低い保険 |
|---|---|---|---|
| 共働き・子どもなし | 一方の収入がなくなることによる生活費の減少 | 医療保険、就業不能保険 | 保険金額が過剰な死亡保険 |
| 共働き・子どもあり | 収入減で教育費が不足する | 死亡保険(特に子どもの独立まで死亡保障を手厚くできるプランを選択肢に)、就業不能保険 | 過剰な貯蓄型保険 |
| 片働き・子どもあり | 働き手を失うと家計が立ち行かない | 保険金額が手厚い死亡保険 | 配偶者への大きな死亡保険 |
※上記の表における優先度は一般的な考え方であり、必要な保障は人によって異なります。
子どもがいない間は、大きな死亡保障よりも医療や働けないリスクへの備えを優先する考え方が現実的です。子どもが生まれた時点で死亡保障を増やします。
家計状況に合わせて保障の考え方を変える
同じ世帯タイプでも、貯蓄が多いか少ないかで優先すべき保障は変わります。
- 貯蓄が多い:当面の生活費は自前でまかなえるため、長い目で必要になりそうな保障に絞る
- 貯蓄が少ない:もしものときお金が足りないため、近い未来に起こりうるリスクに備えられる保障を選ぶ
注意点としては、保険料が収入に占める割合が大きくなることで、家計を圧迫してしまうことです。あくまでも無理のない保険料に収めることが大切です。
あわせて決めたいのが、夫婦で保険のバランスを考えることです。これまでは個人でかけていた保障も、世帯全体で過不足を確認し、お互いの不足する部分を補う形で備えるとよいでしょう。
ライフイベントに合わせて保障を組み替える
子どもの誕生、進学、住宅の購入といった節目ごとに保障のバランスを見直してみましょう。

| ライフイベント | 家計の変化 | 増やしたい保障 | 減らしてもいい保障 |
|---|---|---|---|
| 子どもの誕生 | 教育費・養育費が増える | 死亡保障、就業不能保障 | 貯蓄機能のある死亡保険 |
| 進学 | 学費の支出が本格化 | 子の独立までを保障する定期保険、収入保障保険 | 使う可能性が極めて低い特約が付いた医療保険 |
| 住宅の購入 | 住宅ローンの返済が始まる | 団信でカバーされない分だけ補完(※団信は商品により任意加入の場合があります) | 団信加入により重複する死亡保障 |
| 子の独立 | 守るべき支出が減る | 老後・医療への備え | 保険金額が過剰な死亡保障 |
例えば、子どもが生まれたら独立までの期間に合わせて、死亡保障を上乗せする方法があります。定期保険であれば一定期間のみを手厚く備えられる点がメリットです。
教育資金の積み立てを目的にした学資保険を組み合わせる方法もあります。ただし中途解約では払込保険料を下回る場合があります。
また、住宅購入の際に団体信用生命保険に入ると、住宅ローンの残債は保険でまかなわれるためその分、死亡保障を減らせる場合があります。
結婚後の生命保険の見直しまとめ
最後に、判断の流れを振り返ってみましょう。
- まず夫婦それぞれの今の契約を確認し、何を見直すべきかを把握する
- 必要保障額は、「いくら必要か」より「家計全体で過不足を見る」考え方で捉える
- 死亡・医療・がん・働けないとき・老後などから、自分たちに必要なものだけ選ぶ
- 出産や住宅購入などのライフステージの節目で、保障を組み替える
- 公的保障制度を学び、不足分だけを保険で補う
大切なのは、入りすぎず抜けもなく、家計に無理のない形に整えることです。夫婦で一度すり合わせておくと、もしものときに困りにくくなります。
結婚後の生命保険でよくある質問
- 結婚したら生命保険に入るべきですか?
-
必ずしも全員が入るべきとは限りません。
もしも配偶者や子どもの生活を自分の収入で支える場合は、万一に備えるための死亡保障の必要性が高まります。一方、共働きで貯蓄が十分なら、急いで大きな保障に入る必要性は低いといえるでしょう。
- 結婚したら生命保険はいくら必要ですか?
-
遺された家族の支出から、遺族年金や配偶者の収入、貯蓄を引いた額が目安です。
参考に、令和6年度における2人以上世帯の普通死亡保険金額は平均1,936万円です9。家庭の状況で必要額は変わるため、まずは月の生活費や子どもの養育費など、将来かかる支出を大まかに知ることから始めてみましょう。
- 結婚で生命保険の受取人を変更する方法は?
-
加入中の保険会社に連絡し、受取人変更の手続きをします。コールセンターやマイページから申請でき、本人確認書類が必要です。親から配偶者へ変更する人が多く、結婚後の手続きとして忘れずに行いましょう。
- 入籍前や事実婚でも生命保険に入れますか?
-
本人が契約する保険には入れます。
事実婚のパートナーを受取人に指定できるかは、保険会社ごとに条件が異なります。同居期間や生計同一の証明などを求められる場合があるため、事前に確認が必要です。
- 結婚後の生命保険は夫婦どちらにかけるべきですか?
-
収入の多い側や、家計を主に支えている側に手厚くかけるのが基本です。
共働きなら双方にバランスよく、片働きなら働き手に重点を置くと、いざというときに困りにくくなります。
- 結婚を機に独身時代の保険は見直すべきですか?
-
見直しをおすすめします。
独身時代の保障内容や受取人が、結婚後の状況に合わないことが多いためです。まずは現在の契約を確認し、保障内容の過不足を整理しましょう。
- 専業主婦・専業主夫に生命保険は必要ですか?
-
収入がなくても、家事や育児を担う役割には経済的価値があります。
万一のとき、家事の外部委託費や保育費がかかるためです。大きな保障は不要でも、葬儀費用や当面の出費に備える小さな保障は検討の余地があります。
- 結婚後の生命保険の見直しはどこに相談すればいいですか?
-
複数の保険会社を比較できる保険代理店や、無料のオンライン相談が使いやすいです。
家計全体から考えたい場合は、ファイナンシャル・プランナーへの相談も選択肢になります。
出典・参考サイト一覧
- 公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2026年7月1日閲覧)
https://www.jili.or.jp/research/report/zenkokujittai.html ↩︎ - 公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2026年7月1日閲覧)
https://www.jili.or.jp/research/report/zenkokujittai.html ↩︎ - 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査<速報版>」(2026年7月1日閲覧)
https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r6/2024sokuhou.pdf ↩︎ - 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」(2026年7月1日閲覧)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html ↩︎ - 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」(2026年7月30日閲覧)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html ↩︎
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(2026年7月1日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html ↩︎ - 国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」(2026年7月1日閲覧)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html ↩︎ - 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」(2026年7月1日閲覧)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html ↩︎ - 公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2026年7月1日閲覧)
https://www.jili.or.jp/research/report/zenkokujittai.html ↩︎
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