テナントに火災保険は必要なのかな?
住宅と店舗では火災保険の補償範囲や対象に違いはあるのかな……
飲食店やサロンなどの店舗を開業する場合、火災保険の加入を検討される方も少なくないでしょう。
今回は、店舗に必要な火災保険について解説します。
この記事を読んだあなたは、店舗を運営する上で必要な火災保険について理解できるでしょう。
テナントに火災保険が必要な理由は?
テナントが火災保険に加入することは、自社の安全を守るだけでなく家主や第三者への責任のために非常に重要です。
家主への賠償責任
借りている物件で火災や水漏れ、その他の事故が発生した場合、家主の建物や設備に損害を与える可能性があります。
この場合、家主への損害賠償義務が発生する可能性があるでしょう。
火災保険に加入していれば、これらの賠償的な補償を行うための費用を保険でできるため、経済的負担を軽減できます。
第三者への賠償責任
テナントの使用するスペースで発生した火災や事故が、近隣や通行人など第三者に与えられた場合、その被害に対する補償責任が発生します。
物が停止して通行人がケガをした場合などです。
損害額が非常に大きくなることも考えられ、火災保険はこうした第三者への損害賠償にも対応できる場合があります。
自社を守るため
特に事業用テナントの場合、火災や水害などの被害が発生すると、営業が継続できなくなるリスクがあります。
火災保険には、このような損害に対して備えることが可能です。
突発的な災害が発生しても、事業の再建を支援するための資金を確保することができます。
店舗に必要な保険
テナントに火災保険が必要な理由について紹介しましたが、次はリスクを踏まえて店舗に必要な保険種類について紹介します。
・火災保険
・PL保険
・施設賠償責任保険
・動産総合保険
火災保険
火災保険は、店舗が火災や水害などの自然災害によって被害を受けた場合に備える保険です。
建物だけでなく、店内の備品や在庫品の損害も補償対象になる場合があります。
また、賃貸店舗の場合、契約書に火災保険の加入が義務付けられているケースが多いです。
法人向けの火災保険の詳細については、下記の記事をご確認ください。

PL保険(生産物賠償責任保険)
PL保険は、製造または販売した商品などが原因で、他人にケガをさせた場合などに、事業者が法律上の損害賠償責任を負担する場合の損害費用を補償する保険です。
店舗を構える飲食店やサロン、小売店にとって、万が一に備えるために必要な保険といえるでしょう。

施設賠償責任保険
施設賠償責任保険は、損害賠償が発生した場合に賠償金をカバーしてくれる保険です。
店舗の床でお客様が転倒して怪我をした場合や、落下物で損害が発生した場合などのトラブルに対応してくれます。
場合によっては高額になる可能性も考えられるため補償をもっておいた方が良いでしょう。

動産総合保険
動産総合保険は、店舗内の設備や備品、商品などが火災・盗難・破損などの事故で損害を受けた場合に備える保険です。
特に、高価な設備や商品を扱う店舗では、保険に加入することで安心して仕事ができるでしょう。

火災保険の補償内容

法人向けの火災保険について解説します。
火災保険の対象物
法人向けの火災保険は、保険の対象となるものが個人保険よりも多いですが、すべてを把握している方は少ないでしょう。
保険の対象は大きく分けて4つあります。
建物 | 土地に定着し、屋根や柱、壁がある建物 オフィス・工場・店舗など |
設備や什器 | 屋外・屋内を問わない設備や什器 設備・機会・器具・装置・工具・什器・備品など |
商品 | 完成した商品・出荷予定の商品 商品・材料・原料・資材 |
製品 | 完成した製品・出荷予定の製品 製品・仕掛品・半製品 |
建物に固定されている看板や車庫、物置(66㎡未満)は、建物に含めることが可能です。
しかし、建物に固定されていない看板や屋外の設備は、屋外設備として保険の対象にする必要があります。
火災保険の対象外
会社が所有している財産でも、火災保険の対象外になるものは下記の通りです。
・自動車
・船舶、航空機、ケット
・現金、通帳
・契約書、設計書、図面、データ
・浅橋、海上にある設備
・動物、植物
上記のような物は、保険の対象外になります。
火災保険に加入したからといってすべての物が補償される訳ではないことを覚えておきましょう。
火災保険で補償される費用
建物や設備の修繕費用 | 火災、落雷、爆発などの事故により損壊した建物や設備の修繕・復旧にかかる費用 |
動産(備品・商品・在庫)の補償 | 事業に使用する備品や機械、商品在庫などの動産が災害で損害を受けた場合、その修理・再取得にかかる費用 |
営業休止による利益損失の補償 | 被災後の瓦礫撤去や廃材処分など、復旧作業に必要な費用 |
第三者への賠償費用 | 火災が近隣の建物や住民に被害を及ぼした場合、その損害賠償費用 |
火災保険の補償範囲
法人向けの火災保険の基本的な補償内容は、下記の表の通りです。
補償内容 | |
---|---|
火災・落雷・破裂・爆発 | 失火・延焼・ボヤなどの火災、落雷、爆発による損害 |
風災・ひょう災・雪災 | 風災・雪災・雹災による損害 |
水災 | 水災による損害 |
盗難 | 盗難による損害 |
水濡れ | 給排水設備の故障による水濡れ損害 |
破損・汚損 | 破損や汚損による損害 |
電気的事故・機械的事故 | 電気的・機械的な事故による損害 |
その他不測かつ突発的な事故 | 予測できな事故による損害 |
自然災害の場合でも、地震や噴火、津波が原因の損害は火災保険では補償されないため注意が必要です。
別途、地震保険に加入する必要がありますが事業用途である建物や設備、商品は原則地震保険を追加することはできません。
しかし、事業用途の建物であっても居住部分が存在する場合は、地震保険を追加することも可能です。
保険会社によって多少判断が違うため、確認しましょう。
保険金が支払われない場合
火災保険に加入していても、保険金がもらえない場合があります。
・保険対象外の損害(地震や津波、噴火による損害)
・故意や重過失による損害
・経年劣化による損害
・戦争・テロ・暴動による損害
店舗の火災保険に加入する場合の注意点
店舗の火災保険は、万が一のトラブルや災害に備える重要な手段です。
加入する際には以下のポイントに注意して、適切な保険を選びましょう。
・補償範囲を確認する
・賃貸契約の火災保険に対する条件を確認する
・適切な補償額を設定する
補償範囲を確認する
火災保険の補償範囲は保険会社やプランによって異なります。
火災だけでなく、水害、台風、地震などの自然災害が対象になるかどうかを確認しましょう。
また、店舗の建物だけでなく、設備や在庫品も補償の対象に含めることができるかも重要です。
自店舗のリスクに合わせて補償範囲を選ぶことが大切です。
賃貸契約の火災保険に対する条件を確認する
賃貸物件を利用している場合、契約書に火災保険の加入が義務付けられていることがあります。
オーナーが指定する保険会社や、最低限必要な補償内容が記載されている場合があるため、事前に契約書を確認しましょう。
これに従わないと、契約違反になる可能性があります。
適切な補償額を設定する
火災保険に加入する際、補償額を適切に設定することが重要です。
補償額が低すぎると、災害発生時に修復や再建の費用を十分にカバーできない可能性があります。
一方で、必要以上に高額な補償額を設定すると、保険料が過剰になってしまいます。
店舗の規模や設備、在庫の価値などを考慮して適切な補償額を見積もりましょう。
店舗の火災保険は、経営を守るための重要な準備です。
保険会社の説明をよく聞き必要な補償を確保した上で、安心して店舗運営を行いましょう。
火災保険の保険料の相場
火災保険の保険料は、さまざまな要因によって変動します。
・業種
・店舗の立地
・規模
・建物の構造 など
業種により保険料が変わる
火災保険の保険料は、業種ごとに異なるリスク要因を考慮して設定されています。
飲食店 | 火災や油はねなどの事故が起きやすいため、他の業種に比べて保険料が高くなる傾向があります。 特に、調理器具を多用する店舗ではリスクが高まるため、保険料がさらに上乗せされる場合があります。 |
小売店 | 商品の保管量や店舗規模に応じて保険料が異なります。 リスクが比較的低い業種とされるため、飲食店より保険料が安価なケースが多いです。 |
オフィス・サービス業 | 火災リスクが低いため、保険料は比較的抑えられる傾向があります。 ただし、高額な設備や機材を使用している場合は、その分の補償を追加すると保険料が上がることがあります。 |
まとめ
居住用と事業用とでは、火災保険の補償範囲や保険料が異なります。
火災保険に加入することは、自社の安全を守るだけでなく家主や第三者への責任のために非常に重要です。
大切な店舗を守るために、複数の保険会社を比較して納得のいくプランの火災保険に加入しましょう。
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