新居の売買契約が終わり、これからローンの払込を待つばかりという時に、住宅ローンを不動産屋から提案されたが内容がよくわからない、保険料が高いとお考えになられる方は多いでしょう。
その際、火災保険と並行で検討されるのが共済です。
JA共済、全労済が運営する共済など様々な組織から共済商品が提供されていますが、今回は全国生活協同組合連合会が提供している「都道府県民共済」の火災共済について解説していきます。
火災保険との違いは何か?という点を注意して確認していきましょう。
・県民共済(火災共済)とは、相互扶助の考え方に則り掛け金・補償額共に抑えているため火災保険よりも割安になることもあります。
・火災保険に関しては、補償内容をカスタマイズすることで費用を抑えることができますので、ぜひ保険の専門家にも相談してみましょう。
・実際大規模災害が発生した時に備えてどうするか?を家計状況も合わせて検討しておくのが良いでしょう。
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火災共済とは?
そもそも共済とは相互扶助の考え方に基づき運営されている非営利組織です。
組合員が掛け金を一定条件のもとで拠出し、災害や事故発生の際にお金が支払われるという仕組みとなっています。
都道府県民共済とは、全国生活協同組合連合会が運営する共済のことを指します。
都道府県ごとに「東京都民共済」や「京都府民共済」などが提供されていますが、一部共済が提供されていない地域があるためご自身の住んでいる地域が該当するか注意が必要です。
共済が提供されていない地域
山梨、福井、鳥取、愛媛、徳島、高知、佐賀、沖縄
加入条件は、提供都道府県に住んでいるもしくは通勤していることが条件となっています。
火災共済の特徴
- 掛け金が安いこと
- 再取得価格で保障される事
- 地震の保障もつけることができる(被害額の5%かつ300万円を上限)
- 見舞い共済金なども充実している
- 共済金の支払いを出来るだけ早くすることを目指している
- 剰余金は「割戻金」として返ってくる
火災共済の特徴は上記6点ですが、最も気になるのは掛け金ではないでしょうか。
東京都で70平米のマンションに家族3名で住み、補償を建物補償額1,540万円、家財1,200万円とした場合…
・月払掛け金:2,087円
・年払掛け金:23,838円
10年間の火災保険に関しては、諸条件が様々あるため何とも言えませんが7万円~40万円程度の幅で加入することになるでしょう。
単純比較は難しいですが、条件によっては火災共済の方が安くなるとも言えます。
火災保険と異なる火災共済の特徴
火災保険になく、火災共済にある特徴としては割戻金制度でしょう。
実際に事故が少なかった場合は、共済が非営利組織であるため剰余金を組合員に返金する制度があります。
しかし共済の運営コストはかかっていますので、そこまで大きな割戻金を期待することはできませんが、火災共済ならではの特徴と言えるでしょう。
地震に関しては、火災保険に地震保険をつけると補償額は被害額の50%までとなりますが、火災共済の場合は被害額の5%かつ300万円が上限となっており火災保険に比べると補償が小さいことも特徴といえます。
風水害に関しても600万円という上限額が設定されていますので、大規模災害が発生した場合は自己負担が発生すると認識しておきましょう。
火災共済の加入条件
基本的には、その県に住んでいる、通勤している満18〜74歳の健康な人なら誰でも加入することができます。
健康状態は告知事項となっていますので、この点は注意が必要です。
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火災共済の支払い事例
火災共済の支払い事例を見ていきましょう。
基本的には保障額をいくらに設定するかによって支払い金額が変わってきますが、以下のような内容となっています。
火災で家が全焼
支払い共済金・住宅2100万円+家財1200万円の保険に加入していたため、保障額3300万円+臨時費用200万円合わせて3500万円を支払い
火災で一部が焼けた
支払い共済金・住宅2000万円に加入していたため、住宅の修復費用として損害査定額300万円+臨時費用60万円合わせて360万円を支払い
水漏れ
支払い共済金・家財800万円に加入していたため、漏水見舞費用共済金として30万円を支払い
落雷
支払い共済金・家財 1200万円に加入していたため、損害査定額30万円+臨時費用6万円合わせて36万円を支払い
台風
支払い共済金・住宅2000万円+家財1200万円に加入していたため、損害査定額80万円に対する見舞金として40万円を支払い
地震
支払い共済金・住宅4,000万円+家財2,000万円に加入していたため、地震等基本共済金として300万円を支払い
地震特約にも加入している場合は、地震等基本共済金300万円+地震等特約共済金900万円の1,200万円を支払い
家財
支払い共済金・家財400万円に加入していたため、持ち出し家財見舞共済金として損害査定額5万円を支払い
借家人賠償責任
支払い共済金 500万円コースに加入していたため、借家人賠償責任特約共済金200万円を支払い
実際に発生しうるリスクに対してカバーできるだけの補償内容をつけておくことが重要です。
しかし、共済の場合はプランの詳細をカスタマイズできませんので、自分が住む地域のリスク、購入や賃貸居住する予定の物件を前提とした場合に十分な補償かどうかを確認してから加入するようにしましょう。
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火災共済と火災保険の違い
火災共済と火災保険の違いを紹介します。
火災保険 | 火災共済 | ||
運営主体 | 民間の保険会社 | 全労済・都道府県民共済・コープ共済・JA共済など | |
加入条件 | 特になし | 原則、各共済団体に加入している組合員が加入対象(火災共済加入タイミングで組合員となることも可能) | |
割戻金制度 | なし | あり(大きな事故が少なく、共済金の支払いが予定より少なかったなどして余剰金が生じた場合には契約者に還元される) | |
補償内容の違い
(住まいる共済と火災保険を比較) | 火災・落雷・破裂爆発 | 補償対象の設定金額によって支払い | 最高4,000万円+臨時費用共済金200万円 |
風災・雪災 | 補償対象の設定金額によって支払い | 最高2,300万円+臨時費用共済金45万円 | |
ひょう災 | 補償対象の設定金額によって支払い | 最高2,300万円+臨時費用共済金45万円 | |
水災 | 補償対象の設定金額によって支払い | 最高2,300万円+臨時費用共済金45万円 | |
盗難 | 補償対象の設定金額によって支払い | 項目によって20~200万円 | |
水濡れ | 補償対象の設定金額によって支払い | ||
騒じょう | 補償対象の設定金額によって支払い | ||
外部からの落下・飛来など | 補償対象の設定金額によって支払い | ||
破損汚損など | 補償対象の設定金額によって支払い | ||
地震保険 | 補償対象の設定金額によって支払い | 最高800万円 | |
料金 | 10年加入 7万円〜50万円程度(建物構造や居住地域によって変動) | 6,200円/月(ベースプラン標準タイプ) 住宅保障200口、家財保障200口 |
運営主体
火災共済を運営するのは非営利団体ですが、火災保険は民間企業である保険会社が運営します。
利益を追求する目的ではなく火災共済は、掛け金(保険料)は安いですが、保障内容は火災保険に比べると不足していると言えるでしょう。
逆に火災保険は、保険料は火災共済より高いですが、補償内容は手厚いと言えるでしょう。
加入条件
火災共済は組合員やその家族が対象ですが、火災保険は広く一般の方を対象にしています。
火災共済は組合員になる必要がありますが、1,000円程度の出資金を払えば誰でも組合員になれるため、対象者に関しては違いはほとんどないです。
プランのカスタマイズ
火災共済は、保障内容がパッケージ化されているため、不要な保障を外すなど自由に保障内容を変更することは難しいです。
しかし、火災保険は比較的自由に補償内容をカスタマイズできるため、必要な補償を手厚くし、不要な補償を外すことが可能です。
用語
火災共済と火災保険では、使われる用語が異なります。
火災共済:「共済金」「掛け金」「保障」
火災保険:「保険金」「保険料」「補償」
火災共済は厚生労働省が監督しているのに対し、火災保険は金融庁が監督しているため、用語に違いがあります。
地震保険
地震保険には、「火災保険とセットでしか加入できない」という条件があります。
そのため、火災共済に加入すると地震保険に加入することはできません。
しかし、地震共済に加入したり、火災共済の特約を追加することで地震への備えはカバーできます。
地震保険は、国と保険会社が共同運営しているため、どの保険会社で契約していも保険料と補償内容は同じですが、地震共済の場合は掛け金(保険料)と保障内容は団体によって異なります。
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火災保険と火災共済のメリット・デメリット
火災保険・火災共済のメリットデメリットをまとめました。
基本的には補償内容をシンプルにしている分掛け金が安く設定されている共済、補償内容が充実している分保険料が高くなる火災保険という構造となります。
ただ、プランのカスタマイズによってはどちらがどの程度高いか?というのは変わってきますので、県民共済をご検討の方も、一度火災保険を検討しておくと良いでしょう。
火災保険 | 火災共済 | |
メリット | ・補償内容のカスタマイズができる ・住まいに関するあらゆるリスクをカバーしている | ・プランはシンプル ・割戻金を受け取れる場合もある ・掛け金設定によっては割安な加入も可能 |
デメリット | ・プラン選定によっては保険料が高額になるケースも ・内容が複雑で一人で検討するには難易度が高い | ・保障は最低限のみ ・保障内容の選択肢が狭い ・火災以外の自然災害に対する保障が薄い |
火災保険のメリット・デメリット
火災保険は、商品プランが多いため、加入者のニーズに合わせたプランにカスタマイズできることが最大の魅力です。
基本的な補償は「火災」「落雷」「風災」「雪災」「爆発」などで、追加で「水災」「地震」を付けられますが、不要だと思う補償を外して保険料を安くすることも可能です。
火災共済より保険料は高くなりますが、自分に必要なプランに加入できるため無駄が省けるでしょう。
火災共済のメリット・デメリット
火災共済は、保険料が安く、割戻金が返ってくることが最大の魅力です。
しかし、保険商品がパッケージ化されているため、「水害が多く発生する地域に住んでいるから水災の保障を増やしたい」といった場合でも、保障を手厚くすることができません。
火災保険よりプランは自由にカスタマイズできませんが、保険料が安いため少しの保障で良いから保険に加入して安心したいという方におすすめです。
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まとめ
火災共済にするか、火災保険にするかとお悩みの方は、ぜひメリットデメリットを理解した上で選択するようにしましょう。
いざという時に、十分な補償が受けられず住宅ローン残債が残ってしまい家計が圧迫されるというケースには注意が必要です。
その分、現金を貯金しておくなどして家計に余裕を持たせて生活することで上記リスクも回避できますので、家計全体で大きな被害をどう考えるかが重要になります。
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