PL保険は、完成した製品(商品)が原因で、購入者がケガや病気になった際の賠償責任を補償する保険です。
今回は、PL保険への加入が必要な業種、保険料の相場などを解説していきます。
ちなみに、購入者が損害賠償請求を行使できる期間は、損害が発生してから3年以内、又は製品が流通してから10年間とされています(※但し、例外もあります)。
PL保険とは
PL保険とは、自社製品や商品に欠陥や不備があり、購入者に対して損害賠償の責任が生じた際に補償が適用される保険です。
PLは「Product Liability(製造物責任)」の略で、PL保険=生産物賠償責任保険とも呼ばれています。
1995年7月にPL法が施行され、製造・販売業者は、自社に過失がなくても損害賠償の責任を問われる可能性が高まりました。
購入者が欠陥を証明できれば、過失の有無に関わらず損害賠償請求できるようになったため、現在は多くの各種製造業者や飲食業者が加入しています。
責任保険契約についての先取特権(保険法:第22条)
PL事故が原因で事業者が倒産してしまった場合、被害者は十分な損害賠償を受けられない可能性が出てきます。
しかし、保険法(第22条)では、被害者がPL保険の保険金を優先的に受け取れる先取特権を認めています。
もし、会社が倒産して保険金が破産処理に回されることになったとしても、PL事故の被害者は損害賠償金を受け取ることが出来ます。
参考:一般社団法人日本損害保険協会「損害保険Q&A」
加入しておいた方が良い業種
「PL保険は、建設業や製造メーカーが加入するもの」というイメージが強いかもしれませんね。
しかし、実はサービスを提供している業種が損害賠償請求される可能性もあるのです。
- 製造業
- 卸売業
- 飲食業
- 販売業
- 美容室・エステ業
上記は、ほんの一例です。
「自社には関係ないと自己判断していたが、実は加入しておくべき保険だった」となるケースは珍しくありません。
加入の必要性については、一度保険のプロに相談しておくことをおすすめします。
海外のPL事故が対象になる保険もある
海外へ製品を輸出している業者や、海外との取引がある業者は、海外PL保険への加入も検討しておいた方が良いでしょう。
海外PL保険では、海外で発生しうるPL事故の損害賠償金や弁護士費用が補償されます。
保険会社によっては、弁護士事務所の選任や通訳者の選任もサポートしてもらえますよ。
尚、国内で販売した製品が海外で使用されて発生したトラブルも、海外PL保険の対象になります。
海外との取引をしていなくても、自社製品が海外に持ち出される可能性がある場合は、海外PL保険への加入を検討しても良いといえます。
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PL保険で補償される内容
PL保険に加入しておくと、基本的に以下の補償を受けることが出来ます。
- 損害賠償金
- 訴訟費用・弁護士費用
- 緊急措置費用
- 損害防止及び軽減費用
- 求償権保全・行使費用
- 協力費用(資料提供、調査など、保険会社の要求に応じた際発生する費用)
ちなみに、PL事故を発生させた製品の回収費用や、修理・交換費用などは補償されない保険商品がほとんどです。
回収費等もカバーしたい場合は、リコール特約を付帯できる保険会社か、別途リコール保険へ加入するとよいでしょう。
PL保険に付帯できる特約補償
特約補償を付帯させることで、幅広いリスクに備えることが可能になります。
・不良完成品損害補償特約(自社の部品・材料が使用された完成品の損壊に起因する損害)
・不良製造品損害補償特約(製造した部品製造機に起因する損害)
・食中毒・特定感染症利益補償特約(営業停止期間中の損害を補償)
・リコール費用特約(リコール対象製品の回収費等を補償)
業種に応じた特約を選んで、損害賠償が発生した際の金銭的負担を軽減させましょう。
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PL保険の対象になる事故例
では、具体的にどのような事象がPL事故に該当するのでしょうか。
製造業や工事業だけではなく、飲食業や販売業など、各業種の具体的な事故例をみていきましょう。
完成品メーカー
- 製造した電子レンジから発火し、購入者の家が火事になってしまった
- 製造した屋根瓦に欠陥があり、設置後に雨漏りや瓦のひび割れが起こり損害を与えてしまった
原材料・部品メーカー
- 製造したネジ(部品)が不良品で、完成品が正しく作動しない状態になってしまった
- 製造したビンの耐久性に問題があり、破裂した破片で購入者にケガを負わせてしまった
食品製造・飲食店など
- 飲食店で提供した食事が原因で食中毒者を出してしまった
- 製造機の破損したカケラが食品に混入していて、口にした人がケガをしてしまった
請負業者・販売業者
- 販売した商品の鮮度が悪く、食中毒事故が発生した
- 工事完成・引き渡し後に欠陥が見つかり、依頼主に損害を与えてしまった
- 設置した看板が落下し、看板の下にあった財物を損壊してしまった
PL事故が発生した場合の損害賠償金は、数千万円単位になるケースも珍しくありません。
最悪の場合、PL事故が原因で倒産という事態にもなりかねないため、製品(商品)を提供している業者は加入しておいた方が安心です。
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PL保険の補償対象外になる事故例
- 法令に違反して製造、販売した製品で発生した事故
- 正当な理由なく、リコール等の措置を取らなかったことに起因する損害・事故
- アスベストを使用したことに起因する事故
- 地震、洪水、津波などの天災によって生じる損害
- 排水、排気に起因する賠償責任
また、製造した航空機関連の部品に起因する事故、たばこ製品の事故などもPL保険の対象外になります。
PL保険の保険料はいくら?
PL保険の保険料は、主に以下の項目によって決定されます。
- 業種(保険の対象となる仕事の内容)
- 売上高
- 支払い限度額
- 免責金額
- 付帯させる特約
保険の対象になるのが、生産物(提供する飲食物など)なのか、仕事の結果(工事の作業した結果)なのかによっても保険料は異なります。
事業規模、設定する支払い減と額によっても異なるため、年間数万円で収まる場合もあれば、数十万円かかる場合もあります。
付帯できる特約内容・補償範囲についても保険会社によって様々なので、複数社から見積もりをとってみるとよいでしょう。
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PL保険を扱っているおすすめの保険会社・団体
PL保険は、大手保険会社の他、商工会議所でも会員向けの保険制度を展開しています。
保険会社・団体名 | 商品名 |
損保ジャパン | 商売繁盛(業種ごとに必要な補償をパッケージ化したプランを展開している) |
東京海上日動 | PL保険(生産物賠償責任保険) |
三井住友海上 | 生産物賠償責任保険 |
AIG損保 | 事業総合賠償責任保険(STARs) |
日本商工会議所 | ビジネス総合保険制度(2020年6月以前の名称は「中小企業PL保険制度」) |
損保ジャパンでは、工事業・輸送業・販売業など、業種ごとに必要な補償をパッケージ化した商品を展開しています。
PL事故以外の賠償トラブルに対応できる保険を展開している保険会社もあります。
また、日本商工会議所が会員向けに提供している「ビジネス総合保険制度」は、商工会議所が大口契約者になっているので、割安な保険料で加入できます。
PL事故以外のリスクにも対応できるため、商工会議所会員になっている方は検討してみてはいかがでしょうか。
PL保険は個人事業主も加入できる?
ハンドメイド作家や、キッチンカーで移動カフェなど、最近は事業形態も多様化しています。
PL保険は、加入対象者を「法人のみ」としている保険会社もありますし、個人事業主も加入対象になっている保険会社もあります。
もし、ご自分の仕事がPL法に該当するか分からない、賠償保険に加入しておくべきか分からないという場合は、保険会社や消費者庁に問い合わせてみるのもよいでしょう。
【まとめ】PL保険に加入して多額の賠償リスクに備えよう
工事の請負業者、製造業、飲食業、販売業など、PL事故の危険性はほとんどの業種に潜んでいます。
取引先からPL保険への加入を義務付けられるケースも増えているので、PL法に基づいた損害賠償責任を問われる可能性がある企業は加入しておくべき保険です。
PL保険は様々な保険会社で取り扱っています。
保険料や補償範囲、特約補償は保険会社によって異なるため、比較して自社に合ったプランを選ぶようにしてください。
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本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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