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法人向け火災保険の基礎知識!相場や勘定科目を解説

法人向け火災保険 相場 勘定科目

会社の店舗や事務所で火事が発生したら、どうしたら良いのだろう……

法人で加入する火災保険の補償内容がいまいちよく分からない。

個人の火災保険には加入しているけど、法人向けの火災保険をいまいち理解していない方も少なくないでしょう。

法人の場合は、火災のリスクをどのようにカバーすれば良いかが気になると思います。

今回は、法人の火災保険の補償内容や相場、勘定科目について基礎知識を解説します。

この記事を読んだあなたは、自社に適した火災保険を知ることができるでしょう。

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目次

火災の発生件数

実際に飲食店や事務所、工場などで火災が起きるリスクはどれぐらいあるのでしょうか。

東京消防庁が発表している「令和5年版火災の実態」での、火災件数を紹介します。

飲食店

飲食店での火災件数は下記の通りです。

年別火災件数
令和2年244件
令和3年288件
令和4年289件

特に、「酒場・ビヤホール」での火災が多く、火災件数の2割以上を占めています

飲食店が忙しい時間帯の18時~20時台が多く、出火原因では中華料理店での大型ガスコンロが一番多い原因です。

飲食店では、ほとんどの場合が火を使うため、どれだけ注意をしていても火事を起こす可能性が考えられます。

バーやナイトクラブの場合は、火災リスクが少ないですが、特に中華料理店や火と油を多く使う飲食店の場合は、必ず手厚い補償内容の火災保険に加入した方が良いでしょう。

事務所

会社の事務所や銀行などの火災件数は下記の通りです。

年別火災件数
令和2年155件
令和3年162件
令和4年141件

特に、「電気設備機器」からの火災が多く、火災件数の8割以上を占めています

火を使うことがない事務所でも、意外と発生件数が多いため、注意が必要です。

ACアダプターや充電式電池が火事に繋がる恐れがあるため、事務所だから火事の心配はないだろうと気を抜かずに、火災保険に加入することをおすすめします。

工場・作業場

大規模な工場だけではなく、小規模な作業場までまとめた火災件数は下記の通りです。

年別火災件数
令和2年64件
令和3年74件
令和4年93件

特に、食品製造・金属製品製造・印刷業などの「製造業」が全体の6割以上を占めています

火災原因は、電気設備などからの火災が多く、コンデンサ(低圧)が原因の火災が多いです。

工場の火事は全焼火災の件数が一番多く発生しているため、仕事を再開するまでに要する時間や損害が大きいので、火災保険は必須でしょう。

法人向け火災保険とは?

法人向けの火災保険は、火災により会社が所有する建物や企業財産に損害があった場合に補償される損害保険です。

個人の火災保険よりも火事になった場合の損害が大きいため、火災保険への加入は必須といえるでしょう。

保険の対象

法人向けの火災保険は、保険の対象となるものが個人保険よりも多いですが、すべてを把握している方は少ないでしょう。

保険の対象は大きく分けて4つあります。

保険の対象内容
建物土地に定着し、屋根や柱、壁がある建物オフィス・工場・店舗など
設備や什器屋外・屋内を問わない設備や什器設備・機会・器具・装置・工具・什器・備品など
商品完成した商品・出荷予定の商品商品・材料・原料・資材
製品完成した製品・出荷予定の製品製品・仕掛品・半製品

建物に固定されている看板や車庫、物置(66㎡未満)は、建物に含めることが可能です。

しかし、建物に固定されていない看板や屋外の設備は、屋外設備として保険の対象にする必要があります。

保険の対象外

会社が所有している財産でも、火災保険の対象外になるものは下記の通りです。

・自動車

・船舶、航空機、ケット

・現金、通帳

・契約書、設計書、図面、データ

・浅橋、海上にある設備

・動物、植物

上記のような物は、保険の対象外になります。

火災保険に加入したからといってすべての物が補償される訳ではないことを覚えておきましょう。

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法人向け火災保険の補償内容

保険の対象・対象外のものについて説明しましたが、実際に会社で火事が発生した場合、火災保険で補償される内容について紹介します。

基本的な補償内容

法人向けの火災保険の基本的な補償内容は、下記の表の通りです。

補償内容
火災・落雷・破裂・爆発失火・延焼・ボヤなどの火災、落雷、爆発による損害
風災・ひょう災・雪災風災・雪災・雹災による損害
水災水災による損害
盗難盗難による損害
水濡れ給排水設備の故障による水濡れ損害
破損・汚損破損や汚損による損害
電気的事故・機械的事故電気的・機械的な事故による損害
その他不測かつ突発的な事故予測できな事故による損害

自然災害の場合でも、地震や噴火、津波が原因の損害は火災保険では補償されないため注意が必要です。

別途、地震保険に加入する必要がありますが事業用途である建物や設備、商品は原則地震保険を追加することはできません。

しかし、事業用途の建物であっても居住部分が存在する場合は、地震保険を追加することも可能です。

保険会社によって多少判断が違うため、確認しましょう。

その他の補償内容

その他の補償内容として、火災により休業した場合の費用など、さまざまな費用についても補償されます。

保険会社によっては、自動付帯の場合もあれば、特約を付加している場合のみカバーされる場合があるため、ご自身の保険内容を確認しましょう。

費用内容
臨時費用保険金損害保険金が支払われる場合に臨時に発生する費用を補償
修理付帯費用保険金対象物に損害が起きた時に復旧に伴う費用の補償
損害防止費用保険金損害の拡大を防ぐための費用や消化剤等の再取得費用の補償
応急処置費用保険金緊急処置が行われた場合の緊急処置費用を補償
失火見舞費用保険金建物から発生した事故で近隣等第三者に損害が生じたときの見舞費用
残存物取り片付け費用保険金損害が生じた保険の対象の残存物の取片づけに必要な費用を補償
地震火災費用保険金地震などが原因の火災で、建物が半焼以上となった場合の費用
休業損害休業する場合の人件費や固定費、広告費を補償

上記以外に、火災保険にプラスして賠償責任保険を追加することも可能な保険会社があります。

施設賠償責任自社の建物の欠陥などにより他人にケガを負わせたり、他人の財物を壊したりした場合の賠償責任を補償
受託物賠償責任他人から預かったものに損害を与えた場合の賠償責任を補償
借家人賠償責任借用物件で火事を起こした場合、建物のオーナーに対しての賠償責任を補償

これ以外にも、地震大国の日本では地震によって経営が傾くほどの損害も考えられるため、大地震から経営を守るための「地震BCP補償」が用意されている保険会社もあります

保険金額

火災保険の保険金額は、再調達価額と時価の2種類があります。

再調達価額(新価)

同じ建物や財物を再度購入する時にかかる金額をもとにした評価額

時価

新価から使用した経過年数に応じた減価額を差し引いた金額をもとにした評価額

新価か時価か、契約する際にどちらかを設定しているため、それにもとづいて保険金が支払われます。

また、免責金額(自己負担額)を設定できるため、損害額から免責金額を引いた金額が保険金として支払われます。

基本的には、保険金額の上限までの金額を受け取れるため、火災の損害があっても保険に加入していれば安心できるでしょう。

法人と個人の火災保険の違いは?

法人と個人の火災保険がどう違うのか気になる方も多いでしょう。

基本的にどちらも仕組みや内容は似ていますが、少しだけ補償される内容が異なります。

法人向けの火災保険には、休業によって損害が出た場合の補償がありますが、個人保険にはありません。

また、何を補償するのかが大きくことなります。

個人向け火災保険:生活を維持するための補償

法人向け火災保険:会社の存続に必要な設備や商品などを補償

あとは、法人名義で火災保険に加入すると、保険料を全額経費として処理できるところが大きな違いです。

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法人向け火災保険の保険料の勘定科目は?

経理処理

法人向けの火災保険の保険料は、経理上どのような扱いになるかを紹介します。

経理処理

火災保険の保険料は、経費として全額損金することが可能です。

火災保険以外にも、地震保険や賠償責任保険なども会社のために加入している保険のため、全額経費計上することができます。

下記のような勘定科目で処理を行います。

勘定科目:損害保険料

貸方および借方:支払った保険料の全額

対象となる建物が住宅兼会社の場合は、一部のみを損金算入することになるため注意が必要です。

また、2年以上の長期契約の場合で保険料を一括で支払った場合は、当年度分の保険料を損害保険料として計上し、翌年以降分の保険料は長期前払費用として資産計上で処理することが可能です。

保険料の相場

法人向け火災保険の保険料の相場は、会社の所在地や構造、免責や業種によって異なります。

また、保険会社によって保険料の基準や追加できる特約が変わってきます。

そのため、火災保険に加入する場合は、必ず複数の保険会社に相談して比較検討することをおすすめします

法人向け火災保険の契約方法

法人ならではの契約方法について紹介します。

包括契約

包括契約は、一定規模の法人が持っている敷地内に複数の物件がある場合、物件ごとに加入するのではなく包括して契約することが可能です。

包括契約では、割引があるため、保険料を抑えることができます。

また、複数の敷地がある場合でも、一括で契約することが可能です。

保険期間中に新しく物件が増えた場合でも、条件によっては自動補償されることがあるため、保険に追加加入する手間が省けます。

また、個々に契約していないので書類がまとまっており、保険を見直す場合でもわかりやすいでしょう。

しかし、保険会社や商品によっては条件により包括契約ができない場合があるため、注意が必要です。

免責金額の設定

保険料を抑えたい場合は、免責金額の設定で安く抑えることも可能です。

免責金額(自己負担額)を大きく設定した場合は、保険料は安くなります。

その反面、免責金額を少なく設定した場合は、保険料は高くなります。

万が一、火災で損害を受けた場合にしっかりと保険金でカバーしたい場合は、保険料は少し高くなりますが、免責金額を少なく設定することをおすすめします。

補償方式の選択

近年の集中豪雨や台風などにより水害の被害も増えていることから、水災補償では浸水条件や縮小支払割合の選択が可能なものがあります

・損害額すべてが支払われる

・一定の条件に該当した場合に損害額が支払われる

・一定の条件に該当した場合に一定額が支払われる

上記のような補償方式から、ご自身でリスクを考えた上でどのプランにするかを選択しましょう。

法人向け火災保険の加入方法

法人向けの火災保険の加入方法は、損害保険会社や保険代理店から加入できます。

最近では、インターネットから保険代理店に相談することも可能なため、電話をせずに好きな時間帯に問い合わせフォームからメールで相談できるため、便利です。

特に、法人向けの火災保険はややこしいため、ご自身で補償内容を決めるのは難しいでしょう。

ご自身のみで補償内容を決めると補償が不十分なことも考えられます。

火災保険に詳しい保険会社の担当者と相談しながら、プランを決めることをおすすめします。

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法人向け火災保険に加入するポイント

法人向け火災保険に加入する場合や、見直す場合のポイントを紹介します。

・保険金額の設定は適切な金額であるか

・屋外設備は補償に含まれているか

・賠償責任特約は、他の保険の補償内容と重複していないか

・どのような時に保険金が支払われないかを理解しているか

・免責金額分は自社で支払われる財力があるか 

火災保険に加入していたとしても、適切な保険金が支払われなかったり、必要な補償が含まれなかったら加入している意味がなくなってしまいます。

しっかりとポイントを把握して、さまざまなリスクをカバーできる保険であるかを確認しましょう。

まとめ

法人向け火災保険は、会社が所有する建物や財産をさまざまなリスクからカバーしてくれるため、加入することをおすすめします。

自社のリスクをカバーするための必要な補償を洗い出しておくことで、法人向け火災保険特有の契約方式などを活用して保険プランニングが可能です。

必要な補償が漏れていないか、補償内容が他の保険と重複していないか注意しましょう。

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本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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この記事を書いた人

保険相談Times(株式会社インシュアランスブレーン)では、海外旅行保険(留学・ワーホリ・駐在・海外長期渡航など)・火災保険・法人損保に関するお問い合わせを日々多数いただいています。その中で、お客様からのご質問・やり取りの中から「この情報は保険加入前に知っておいた方がいいな」といった内容を記事にまとめて保険の選び方を発信しています。
スタッフの詳細なご紹介:https://hokentimes.com/oversea/staff

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