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運送業者貨物賠償責任保険とは?補償内容や保険の選び方を解説

運送業者貨物賠償責任保険

運送業者が必ず加入しておくべき保険はある?

運送中のどんな場合のトラブルを補償してくれるのかな?

運送業者の方は、運転中いつトラブルに巻き込まれるか分からないため保険に加入している方は多いです。

しかし、補償内容が難しくて分からなかったり、本当に必要な保険なのか理解できなくて不安を抱くこともあるでしょう。

今回は、運送業者の方が加入するべき保険の種類や選び方について解説します。

この記事を読んだあなたは、どんな補償内容が必要なのか、加入している保険はリスクをカバーできているかを知れるでしょう。

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目次

運送保険の必要性

運送業をするにあたって、どのようなリスクに備える必要があり、なぜ保険が必要なのでしょうか。

考えられるリスクについて見ていきましょう。

1.預かった荷物に対するリスク
2.設備などの財物に対するリスク
3.従業員に対するリスク

運送業者のリスク

考えられる5つのリスクの詳細や、該当する保険を表にまとめました。

リスク詳細保険
1.預かった荷物に対するリスク依頼主から預かった荷物を運送中や保管中に、損害が発生した場合運送事業者貨物賠償責任保険(運送賠償責任保険)
2.設備などの財物に対するリスク事業に必要な設備に損害が発生した場合火災保険など
3.従業員に対するリスク従業員が業務中に死亡やケガをした場合労上乗せ保険など
4.経営者に対するリスク経営者が不慮の事故に遭った場合や病気で寝たきりになり仕事ができない場合経営者保険など
5.自動車に対するリスク運転中に事故を起こした場合自動車保険

運送業者は、さまざまなリスクを抱えています。

特にお客様や第三者に損害を与えると賠償金が高額になる可能性もあるため、必要な保険に加入して補償を持つ必要があります

運送業者貨物賠償責任保険とは?

お客様から預かった荷物に対するリスクをカバーする運送業者貨物賠償責任保険は、「運送保険」や「運賠保険」とも呼ばれています。

お客様から預かった荷物に損害を与えた場合の賠償責任を補償してくれる保険です。

どんな時の補償される?

・輸送中:走行中、車上仮置中、積込み中、荷卸し中など
・保管中:梱包作業中、開梱作業中、タグ貼り等の流通加工中など

どんな損害が補償対象?

・破損
・水濡れ
・盗難
・火災、爆発
・輸送用具の衝突

運送保険の補償内容

補償詳細
損害賠償金荷主や元請運送人に対して払う損害賠償金
損害防止費用契約者・被保険者が保険事故が原因の損害の発生や拡大の防止に努めるために支出した費用
請求権の保全、行使手続費用請求権の保全や行使に必要な手続きをするために必要とした費用
争訟費用被保険者が訴訟・仲裁・調停・和解のために使った費用
協力費用保険会社が被保険者に代わって損害賠償請求の解決にあたるため被保険者に協力を求めた場において、被保険者が保険会社に協力するために支出した費用

すべてが補償される訳ではなく、保険会社によっては特約を付けた場合に補償される場合もあるため、確認が必要です。

追加できる特約

基本の補償内容に追加することで、手厚い補償を持つことが可能です。

追加できる特約をまとめました。

特約名補償内容代表的な費用
残存物取片付け費用・廃棄費用担保特約処分に必要となる残存物取片付け費用や廃棄費用を補償残存物取片付け費用・廃棄費用
継続費用特約貨物の輸送中に事故が発生し、自力走行が不可能となった場合に貨物を積み替えて輸送するために必要な費用を補償荷卸し費用・一時的な保管費用・再積込費用・代車費用など
検査費用特約事故が発生して、貨物の損傷の有無を確認するために必要な費用を補償検査費用・仕分費用・再梱包費用など
納入継続追加費用特約事故が発生して、受損貨物の代替品に使った費用を補償緊急調達費用・緊急輸送費用
誤配費用特約誤配送や積忘れなどが発生した場合の費用継搬費用・急送費用・回収費用
冷凍・冷蔵貨物にかかわる温度設定誤りなど特約輸送中の冷凍や冷蔵貨物に生じた温度変化による損害を補償
第三者賠償責任特約通行人や第三者の人やモノに損害を与えた場合の費用を補償賠償責任費用
特定危険に関する特約輸送中に火災や爆発など衝突等が発生した場合に、設定した支払限度額の5倍を限度に保険金が支払われる
臨時代替輸送用具に関する特約特定している輸送用具が整備や修理のため使用できない期間、臨時に借用した輸送用具を保険適応の輸送用具として適用させる

保険会社により、特約の名前や補償は異なるため、加入する保険会社にある特約を確認しましょう。

保険金が支払われない場合

保険金が支払われない場合や、保険金額が制限される場合について紹介します。

・故意による損害
・出発時に貨物を安全に輸送するに適していなかった場合
・地震や噴火、津波によって生じた損害

上記のことが原因で起きた損害については、保険金が支払われません。

また、支払われる保険金が制限される物があります。

制限内容
貨紙幣類・有価証券・新株券1梱包あたり10万円が限度
貴金属・宝石・宝飾品・書画・骨董・彫刻物などの美術品1個または1組あたり10万円が限度

高価な物であっても保険金の支払い限度額が10万円の場合があるため、注意が必要です。

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運送保険でカバーできる範囲は?

トラック

運送業者貨物賠償責任保険では、カバーできる範囲を2パターンから選ぶことが可能です。

・全てをカバーする
・典型的なリスクを部分的にカバーする<

全てをカバーする場合

原則としてどんなケースでも保険の対象になるパターンです。

盗難や紛失や水漏れ、火災などでも補償の対象になる場合があります。

しかし、全てのリスクをカバーできる分、保険料が高くなるため、注意が必要です。

典型的なリスクを部分的にカバーする場合

補償する範囲を部分的に絞ることが可能なパターンです。

保管中の水漏れや、食品の温度管理が原因で損害が起きた場合の補償はいらないと考える方も少なくないでしょう。

交通事故によって荷物に損害があった場合だけをカバーできれば良いと思う方は、典型的なリスクに絞って契約すると、保険料も抑えられるためおすすめです。

運送保険の契約形式

運送業者貨物賠償責任保険では、2つの契約形式があります。

事業全体をカバーする契約
トラックごとにカバーする契約

事業全体をカバーする契約

事業全体を補償の対象とする「包括契約」です。

前年度の売上高を基準にして保険料を算出するため、前年度の事故率が高いなどの不利なデータがある場合は保険料が高くなります。

しかし、事業全体を一つの契約で済ませられるため、保険の加入漏れ防止にもなり事務処理が簡略化されることがメリットです。

トラックごとにカバーする契約

自動車1台単位で契約する「車両特定方式です。

自動車1台の稼働状況を見て保険料が算出されるため、事故が発生した自動車は保険料が高くなりますが、会社全体としては保険料の値上がりは抑えられるでしょう。

しかし、1台ごとに保険に加入するため事務処理が面倒です。

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運送業者貨物賠償責任保険の注意点

運送保険に加入する際に知っておくべき注意するポイントを2つ、紹介します。

・故意や重大な過失の場合は補償されない
・美術品などは保険金に制限あり

故意や重大な過失の場合は補償されない

当然ですが、「わざと起こした事故」や「気をつけていれば防げた事故」など故意や重大な過失が原因で発生したトラブルは補償対象外となるため、保険金を受け取ることができません。

わざと事故を起こす方はいないと思いますが、気をつけていれば防げた事故は該当する可能性があります。

重大な過失に該当するような事故を起こさないために、日頃から従業員の教育や会社の体制を整える必要があるでしょう。

美術品などは保険金に制限あり

保険に加入していたとしても、美術品や宝石など高額なものは保険金の支払いに限度額が設定されていることを理解しておきましょう

高価な物については、お客様に品物と金額を申告していただき、別で運送保険に入ってもらうことでリスクをカバーできます。

消費税法上の保険料の取り扱い

消費税

日本で消費される商品やサービスには消費税が課されます。

運送保険の保険料は、消費税方法上でどのような取り扱いになるのかを解説します。

非課税取引

運送業者貨物賠償責任保険の保険料は、「非課税取引」になります。

(4) 預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等

預貯金や貸付金の利子、信用保証料、合同運用信託や公社債投資信託の信託報酬、保険料、保険料に類する共済掛金など

引用:国税庁HP_非課税となる取引

国税庁HPの「非課税となる取引」に載っています。

保険料は非課税扱いになりますが、保険金については不課税対象となり、受け取り方により勘定科目が変わるため注意が必要です。

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運送保険の勘定科目

運送業者貨物賠償責任保険の運送料の区分や保険契約者によって、取り扱いが異なります。

3つのパターンについて紹介します。

・保険契約者が荷主、運送料と保険料が区分されている場合
・保険契約者が荷主、運送料と保険料が一括請求されている場合
・保険契約者が運送業者の場合

保険契約者が荷主、運送料と保険料が区分されている

保険契約者:荷主
請求:運送料と保険料が区分されて請求
   運送料→課税仕入れ
    保険料→非課税仕入れ

保険契約者が荷主で、運送料と保険料が明確に区分されて請求された場合、運送料は課税仕入れ・保険料は非課税仕入れとなります。

会社(荷主)が保険契約者で、運送料200,000円、保険料30,000円を運送会社に支払った場合は?

運送料→200,000円は課税仕入れ
保険料→30,000円は非課税仕入れ

保険契約者が荷主、運送料と保険料が一括請求されている

保険契約者:荷主
請求:運送料と保険料が一括で請求
   運送料・保険料→課税仕入れ 

保険契約者が荷主で、運送料と保険料が区分されずに一括で請求された場合、運送料と保険料ともには課税仕入れとなります。

会社(荷主)が保険契約者で、運送料(保険料を含む)として230,000円を運送会社に支払った場合は?

運送料(保険料を含む)→230,000円は課税仕入れ

運送料と保険料が明確に区分されずに、保険料を含む運送料として一括で請求されている場合は、課税仕入れとして勘定されます。

実際に保険料が何円であったかが明確ではないからです。

保険契約者が運送業者

保険契約者:運送業者
請求:運送料と保険料が区分されて請求
   運送料→課税仕入れ
保険料→課税仕入れ

保険契約者が運送業者で、運送料と保険料が区分されて請求された場合でも、運送料と保険料ともには課税仕入れとなります。

運送業者が保険契約者で、運送料200,000円、保険料30,000円を運送会社に支払った場合は?

運送料→200,000円は課税仕入れ
保険料→30,000円は課税仕入れ

保険の契約者が運送業者のため、保険料を含む全額が運送業者に係る対価になりすべて課税仕入れとなります。

まとめ

運送業者は、お客様からお預かりした荷物を守るために運送業者貨物賠償責任保険への加入は必須であるといえます。

全てのトラブルで保険金が支払われる訳ではなく、特に宝石や美術品など高額な品物の場合は限度額が定められているため、注意が必要です。

基本のプランに特約を付けて自社が必要とするリスクをカバーできる保険に入りましょう。

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この記事を書いた人

保険相談Times(株式会社インシュアランスブレーン)では、海外旅行保険(留学・ワーホリ・駐在・海外長期渡航など)・火災保険・法人損保に関するお問い合わせを日々多数いただいています。その中で、お客様からのご質問・やり取りの中から「この情報は保険加入前に知っておいた方がいいな」といった内容を記事にまとめて保険の選び方を発信しています。
スタッフの詳細なご紹介:https://hokentimes.com/oversea/staff

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