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経営セーフティ共済(旧中小企業倒産防止共済)を徹底解説

経営セーフティ共済

今回は経営セーフティ共済(旧名:中小企業倒産防止共済)についてご説明いたします。経営セーフティ共済とは、企業の取引先が倒産した時に共済金を受け取ることができる制度です。平成303月時点では約46万もの企業や事業者が加入しています。このご時世コロナウイルスの影響で日本経済全体に不況の波が押し寄せており、現在商売のパートナーである、取引先もいつ倒産になるかもわからない状況になるかもしれません。そこで、今回は経営セーフティの概要、メリット・デメリット、加入方法等を解説します。

ココがポイント

  1. 経営セーフティ共済とは、取引先の売掛債権の損害額を共済金として掛け金の10倍まで借入できる制度です。
  2. 経営セーフティ共済の掛け金は全額損金計上できるため、節税にも役立てることが可能です。
  3. 起業1年目の場合は加入できない、最低12ヶ月は掛け金を支払わないと返戻金がないなどのデメリット部分も確認しておきましょう


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経営セーフティ共済とは?

経営セーフティ共済とは、取引先が倒産した場合、売掛債権の損害額を共済金として受け取ることができる共済です。この共済の狙いとしては、取引先倒産による連鎖倒産を防ぐためにあります。共済金の受取額最大8000万円。掛け金は企業が任意に設定することができます。

経営セーフティ共済の加入資格

では経営セーフティ共済の加入資格はどのようなものがあるのでしょうか。一年以上の事業継続している個人事業主や会社で一定以下の資本金・従業員の基準をクリアする必要がございます。ご参考までに下記にまとめましたのでご参考にしていただければと思います。

経営セーフティ共済加入のための業種・従業員・資本金基準

業種 資本金の額または出資の総額 常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く。) 3億円以下 900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下

参照:中小機構HP

経営セーフティ共済のメリット・デメリット

経営セーフティ共済に加入する上でもメリット・デメリットについて解説します。

経営セーフティ共済のメリット

税制優遇で節税できる

経営セーフティ共済では、支払う掛け金を全額損金計上することが可能です。つまり課税所得を減少させ、節税につながります。つまり、月額10万円だと年間120万円の損金計上、月額20万円であれば年額240万円になります。また、月払い、年払い等支払方法を選択可能なため、キャッシュフローを安定化させることも可能です。

取引先が倒産後すぐ借入ができる

経営セーフティ共済は、取引先が倒産(または倒産とみなされた状態)になった時、すぐに借入が可能です。そのため、キャッシュフローを安定させることが可能なため、支払事項を円滑に済ませることが可能です。また以下に倒産とみなされた状態をまとめさせていただきましたのでご確認いただければと思います。(中小機構HP抜粋)

共済金の借り入れが受けられる取引先の倒産の定義
取引先の倒産の定義 倒産日
法的整理 取引先について破産手続開始、更生手続き開始、再生手続き開始、特別清算開始の申し立てがされた場合 申し立てがされた日
取引停止処分 取引先が手形交換所に参加する金融機関により取引停止処分を受けた場合 取引停止処分の日
私的整理 取引先の債務整理の委託を受けた弁護士などによって加入者に対し支払いを停止する旨の通知がされた場合 通知がされた日
災害による不渡り 甚大な災害の発生により取引先の手形などが「災害による不渡り」となった場合 その手形などの手形交換日又は呈示日
特定非常災害による支払不能 大規模な災害(特定非常災害)により取引先の代表者が死亡などした場合に、弁護士などによって加入者に対し支払いを停止する旨の通知がされた場合 通知がされた日

掛け金の10倍まで借り入れ可能

経営セーフティ共済は、掛け金として支払う最大額は800万円です。つまり、借り入れ限度額は800万円×10倍=8000万円まで借り入れが可能ということになります。正確には、取引先の売掛債権の損害額と、掛け金の10倍の金額いずれか少ない方の共済金を借り入れることができます。また借入額によって返済期間が異なりますので、下記を参考にしていただければと多います。

借入額 返済期間
5,000万円未満の場合 6ヶ月〜5年間
5,000万円以上6,500万円未満の場合 6ヶ月〜6年間
6,500万円未満の場合 6ヶ月〜7年間

無担保無利子で借り入れ可能

経営セーフティ共済は、金融機関の融資とは異なり、無担保・無利子で受け取ることが可能です。そのため、担保にすべき物がない場合でも借り入れ可能です。

40ヶ月以上掛け金の支払いを実施すると、100%返戻金として受け取ることが可能

経営セーフティ共済は、掛け金の支払期間が40ヶ月以上の場合、解約すると返戻金が100%受け取ることが可能です。しかし、ご注意いただきたいのは、解約した時の返戻金は益金算入となるため課税されるということです。そのため、納税の金額が多額になる恐れもあるため、計画的に解約することをお勧めいたします。また40ヶ月未満で解約した場合でも満額ではありませんが、一定の返戻率にて返戻金が発生します。各返戻率につきましては、以下にまとめておりますのでご確認ください。

掛け金の支払い期間 任意解約(通常の解約の場合) みなし解約*1 機構解約*2
12ヶ月以上 80% 85% 75%
24ヶ月以上 85% 90% 80%
30ヶ月以上 90% 95% 85%
36ヶ月以上 95% 100% 90%
40ヶ月以上 100% 100% 95%

※1「みなし解約」とは、個人事業主が亡くなった場合や、法人(会社など)を解散した場合、法人を分割(その事業のすべてを承継)した場合、個人事業のすべてを譲渡した場合に該当します。

※2「機構解約」とは、12ヶ月分以上掛金の払込みが滞った場合に、中小機構が行う解約です。

掛け金は5,000円〜自在に設定可能かつ加入後変更可能

経営セーフティ共済は月々の掛け金を5,000円〜20万円まで調整することが可能です。また、加入後に掛け金支払額を変更することも可能です。そのため、支払が困難になった場合は、掛け金を減額することも可能です。

取引先の倒産以外でも借入ができる

経営セーフティ共済は取引先の倒産以外でも貸し付けを受けることができます。例えば各支払が困難になり急な資金が必要になった場合は、年利0.9%という比較的利率で借入が可能です。しかし、一年以内に返済することが義務付けられており、返済できなければ年14.6%の違約金が課されますので、短期の資金繰りをカバーする観点での利用が良いでしょう。借入を行う際には慎重な検討をしていただければと思います。

解約しても再加入が可能

経営セーフティ共済の場合は、解約した場合でも一定条件を満たすことができれば再度かnゆゆが可能になります。ただし、その場合、半年間の共済金の借り入れが不可になります。

経営セーフティ共済のデメリット

夜逃げなどには適用されない

経営セーフティ共済は上記のように取引先の倒産(または倒産状態)になった場合でも補償されますが、夜逃げ等は倒産状態だとみなされません。

起業1年目の方は加入できない

経営セーフティ共済の加入資格として、起業してから一年目は経営セーフティ共済に加入する事はできません。

掛け金を支払う金額が12ヶ月未満の場合は返戻金が発生しない

メリットの部分でも述べさせていただいたように解約返戻金は解約月毎にパーセンテージが異なりますが、12ヶ月未満の場合は返戻金が発生しません。そのため、どうしても返戻金が欲しい場合は、掛け金を減額し、12ヶ月以上支払を継続する必要があります

解約のタイミングに気をつける

解約をしたタイミングで、掛金の最大100%の解約返戻金が戻ってきますので、支払い時損金算入できた金額分が課税対象となりますので、退職金を受け取ったりその他支出が多く赤字決算が想定される期に解約し、税金対策を実施する必要があります。

借入を実施した場合、借入額の10%が掛金から取り崩される

中小企業倒産防止共済は、無利子・無担保で借り入れができる代わりに、借入を実施するとその1/10の額が掛金総額の中から取り崩されてしまいます。借入を実施した後、返済を設定された返済期間よりも早く完済でき他場合、「早期償還手当」が受け取れますが、翌月に完済したとしても貸付を受けた額の3.05%~4.12%となります。(取り崩された掛け金の30.5~41.2%)取引先が倒産したことで、キャッシュフローが悪化した場合、取引先の規模が大きければ大きいほど経営へのダメージが大きくなりますので、一般的な金融機関での借入難易度が上がります。そういった"非常事態"に経営セーフティ共済からの借入を検討するようにしましょう。

経営セーフティ共済の手続き方法

では経営セーフティ共済の手続き方法はどのように行えば良いのでしょうか。事業形態ごと書類が異なりますのでご注意いただければと思います。

  1. 必要書類を入手する
  2. 必要書類を記入する
  3. 中小機構の窓口へ提出する
  4. 中小機構から書類を受け取る

法人で経営セーフティ共済に加入する際の提出書類

・商業登記簿謄本または登記事項証明書

(原本発行から3ヶ月以内のものをご用意してください。)

・法人税の確定申告書提示書類

・法人税を納付したことを証明する納税証明書提示書類

個人で経営セーフティ共済に加入する際の提出書類

・所得税の確定申告書

・所得税を納付した証明書

・確定申告書を提出した時の帳簿等

法人・個人共通で経営セーフティ共済に加入する際の提出書類

・契約書

・掛け金預金口座振り替え申出書

・重要事項確認書兼反社会的勢力の排除に関する同意書

経営セーフティ共済と似た性質の商品

取引先信用保険

経営セーフティ共済と似たような性質を持ったものも存在します。それが損害保険の取引先信用保険です。取引先信用保険は取引先が倒産した際に事前に決まった保険金を受け取ることができる制度で経営セーフティネットとは違ったメリットもございます。。しかし、取引先の審査が必要であったり損害額の80%〜90%のみの受け取りしかできない等デメリットもございますので内容を確認の上どちらが良いかご検討をおいただければと思います。

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まとめ

経営セーフティ共済に加入することにより、年間最大240万円を損金計上できるなど非常にメリットの大きい仕組みとなっています。一方で、解約条件に合わない形で解約してしまうと、元本が割れしてしまうケースもありますので注意が必要ですコロナ騒動が原因で今後不況の波に陥る可能性もありますので、是非加入をご検討いただければと思います。

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