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工事保険選びで失敗しないために必要な基礎知識まとめ

工事保険基礎知識

工事保険とは、工事期間中に起きたトラブル(事故・火災・盗難など)によって生じた損害をカバーするための保険です。

しかし、工事保険は、保険のプロでさえも特約内容を把握するのに苦労するほど複雑です。

工事の種類ごとに加入すべき保険が異なるため、

「加入していた保険が補償の対象外だった・・・・・・」

「保険料をムダにしてしまった」

などという、建設業の方の失敗談は少なくありません。

今回は、工事保険の種類(補償内容)、対象になる工事、同時に加入しておいた方が良い保険についてご紹介していきます。

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目次

建設業で考えられるリスク

建設業では、外で機械や設備を使って仕事をすることが多いため、さまざまなリスクが考えられます。

万が一の危険に備え、事前に対策できるリスクを考える方が良いでしょう。

工事中に第三者の人やモノに損害を与えるリスク

参考

・工事中に、資材を落とし通行人が怪我を負った
・ペンキを塗っている最中に、近くにあったモノにペンキが飛んで汚してしまった
・高いところを工事している時に、近くに停まっていた車に道具を落とし壊してしまった

安全第一で工事をしていたとしても、他人や他人のモノを壊してしまうことが考えられます。

どのように被害者に賠償するかを考える必要があります。

工事後に工事ミスで怪我や損害を与えるリスク

参考

・ビルの看板を取り付けた後、作業の欠陥が原因で看板が落下し、通行人にケガを負わせてしまった
・水道工事完了後、施工ミスが原因で水漏れを起こし床が水浸しになった
・飲食店の電気工事の後、工事ミスが原因で電気がショートしてしまい、お店が営業できなくなった

建設業では、工事が完了するだけではなく、工事後に利用者が安心安全に使えることが求められます

万が一、工事完了後に工事ミスが原因で怪我や損害を与えた場合にどういった対応をするかで今後の仕事にも繋がるでしょう。

従業員やアルバイトが怪我を負うリスク

参考

・従業員が足を踏み外し、3階の高さから落ちて足や腕を骨折した
・資材を切っている時に、誤って自分の指を切ってしまった
・5階で作業をしていた人が誤って道具を落とし、下にいた従業員に当たり怪我を負わせた

工事現場では、多くの従業員が集まり、さまざまな資材や道具を使って仕事をしています。

そのため、予想していない事故が起きてしまうことも考えられます

注意して仕事をしていたとしても、怪我を負う危険性が多く潜んでいます。

大事な従業員に万が一のことがあった場合に、補償を受けられるように体制を整えておくことも大事でしょう。

経営者の死亡・怪我で経営が怪しくなるリスク

参考

・経営者が作業中に全治3ヶ月の怪我を負ってしまった
・持病の癌が再発して、今後経営をしていくことが難しくなった

会社の大黒柱である経営者に万が一のことがあった場合、会社だけではなく家族や従業員の生活が危うくなることが考えられます。

自分だけのお金ではなく、他人の生活を背負っているため、万が一の時には莫大な金額が必要になることもあるでしょう。

家族や従業員守るためにも、いざという時のために補償を手厚く持つ必要があります。

工事保険とは

工事保険とは

「工事保険」とは、工事に関する保険を総称した言葉です。

実際には、「建設工事保険」「土木工事保険」「組立保険」の3つの中から、加入する保険を選ぶことになります。

建設工事保険

建設工事保険は、ビルやマンション、家など、建物を建築する工事が対象になります。

建築工事中は、第三者による放火やイタズラ、盗難など様々なリスクがありますよね。

工事保険では、工事に関する「物」に対しての損害をカバーすることができます。

主な補償対象と支払われる費用

建設工事保険の補償対象例は、主に以下の通りです。

補償対象となる事象具体例
自然災害・積雪による被害
・台風や大雨などの風水被害
・落雷等による被害
外部要素のトラブル・盗難被害
・放火被害
・イタズラ被害
・自動車などが衝突してきた際の損害
工事中のトラブル・溶接、火花が散るような作業が原因で起きてしまった火災
・地盤沈下
・地すべり
・施工ミス

以上のトラブルにより損害が生じた場合、

  • 損害発生前の状態に戻すためにかかる費用(復旧費)
  • 損害をこれ以上拡大させないために対策を講じて発生した費用(損害防止費用)
  • 損害物の撤去にかかる費用(残存物取片づけ費用)
  • 損害を補うために臨時で発生した費用(臨時費用)

上記の費用に対して、保険金が支払われます。

工事保険では、建物の一部になる鉄骨や木材、足場として使用する工事用仮設材、建設中に使用するプレハブ建物(仮事務所)は保険の対象物。

発電機、掘削機、ブルドーザー、金づちやノコギリといった「工事用仮設備」「工事用機械器具」に含まれる物は保険の対象外です。

保険が適用される期間

保険適用期間は、工事の着工日から終了日(対象物受渡し日・工事完了日)になります。

保険期間内に工事が完了しない見込みであれば、加入している保険会社に早めに連絡を入れて、延長手続きをしておきましょう。

もし延長手続きを行わず、保険期間終了後に事故が発生した場合は、保険金を受け取れません。

土木工事保険

土木工事保険は、「道路舗装工事」「上下水道工事」「地下鉄・鉄道・トンネル工事」「埋め立て・河川・海岸工事」が対象の保険です。

駐車場工事も、基本的には土木工事保険です。

ただし、建物を利用する人たちのための駐車場工事であれば、建設工事保険の対象になります。

棲み分けが複雑なので、工事の内容はしっかりと保険会社に伝えた上で加入する保険を選びましょう。

主な補償対象と支払われる費用

土木工事保険では、予測できない突発的なトラブルが起きた場合に対して、保険金が支払われます。

補償対象となる事象具体例
自然災害・積雪による被害
・台風や大雨などの風水被害
・落雷等による被害
外部要素のトラブル ・盗難被害
・放火被害
・イタズラ被害
・自動車などが衝突してきた際の損害
工事に伴うトラブル ・溶接、火花が散るような作業が原因で起きてしまった火災
・地盤沈下
・地すべり
・施工ミス

上記の事象により損害が発生した場合、復旧費が補償されます。

土木工事保険は、元の状態に戻すためにかかった費用をカバーする保険なので、損害防止策を講じた場合に発生した費用は対象外です。

補償の対象物は、工事の対象になっている施設や物です。

工事のために建てた仮事務所(宿舎)や、工事用の資材も補償の対象になっています。

ただし、人や、工事に使用する機械、自動車は補償の対象外です。

人に対する保険は、「労災保険」「請負業者賠償責任保険」

工事に使用する機械は「機械保険」

自動車に対する保険は「自動車保険」が対象になっています。

保険が適用される期間

土木工事保険の保険適用期間は、工事の着工日から終了日(対象物受渡し日・工事完了日)になります。

基本的には、1つの工事に対しての保険期間が適用されますが、1年間に請け負うすべての土木工事を補償する保険商品もあります(年間包括契約)。

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組立保険

組み立て保険の対象になる工事は、主に6種類あります。

対象になる工事例と保険の対象

組立保険の補償対象となる工事具体例
建物付帯設備工事
  • 建物への空調、給排水設備、電気設備、ガス設備の据付工事※据付品の取替え、増強工事も補償対象
家電品の据付工事
  • テレビ、冷蔵庫、洗濯機など、家電品を設置する工事
建物の内装・外装工事
  • 内装工事:建物内の改装、天井取替など
  • 外装工事:外壁塗装、屋根補強など
通信設備の据付工事
  • 通信用ケーブル、アンテナ設置
  • 電源装置、交換機、無線送信機等の据付工事
建物外電気・送配電設備工事
  • 配電盤、変圧器、遮断器など、受変電・送配電設備の工事
その他の組立工事
  • 金属工作機械、送風機、食品加工機械などの据付工事

組立保険では、上記工事における自然災害や盗難被害、火災などが原因で生じた損害に対して、以下の費用を保険金として受け取ることができます。

  • 損害発生前の状態に戻すためにかかる費用(復旧費)
  • 損害をこれ以上拡大させないために対策を講じて発生した費用(損害防止費用)

据付工事中だけではなく、試運転中の事故やトラブルも補償対象に含まれます。

保険が適用される期間

組立保険の保険適用期間は、工事の着工日から終了日(対象物受渡し日・工事完了日)になります。

尚、1年間包括契約できるプランもあるので、請負状況に合わせて保険期間を選ぶことができます。

保険期間内に工事が終わらない場合は、手続きを行えば保険期間を延ばすことが可能です。

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工事保険は施工ミスも補償される?

建設工事中の現場と作業員

工事保険は、基本的に工事期間中の損害をカバーする保険です。

しかし、受け渡し完了・工事完了後に施工ミスが発覚することは、どの業者でも起こり得ることです。

工事保険では、工事完了後の一定期間、施工ミスによる損害を補償するための特約を付けることができるので、万が一の時でも安心です。

工事保険の保険料はいくらが相場?

工事保険に支払う保険料は、工事の規模請負金額、期間人数特約補償などによって異なります。

ただ、過去に事故歴がなければ「包括契約(年間契約)」にすると保険料が割引きされることがあるので、保険料を安く抑えたい方は検討してみると良いでしょう。

包括契約(年間契約)

年間包括契約は、年間を通して請け負うすべての工事を年間で契約する方式です。

工事の大小に関係なくすべてが補償対象になるため、保険に加入し忘れたという心配はありません。

工事ごとに手続きをしなくて良いこともおすすめです。

スポット契約(個別契約)

スポット契約は、工事ごとに保険に加入する方式です。

保険料は工事毎に決まることや、保険期間を工事の期間だけに合わせて設定できることが特徴です。

工事保険は一人親方も加入しておいた方がいい

一人で建設工事している男性

工事現場で、物を壊してしまったり、思わぬトラブルで損害が発生した場合、一人親方にとっては大きな損失になってしまう可能性が高いです。

工事保険に加入していないと現場に入れない、仕事を依頼してもらえないこともあるため、基本的には加入しておいた方が無難です。

保険料は、請け負う金額や工事の規模によって高くなるため、比較的小規模な工事になる一人親方の場合は安く抑えることができます。

ちなみに、大手ゼネコンなどから仕事を請け負う際、工事保険の他に、労災保険への加入を義務付けられることがあります。

一人親方は個人事業主なので、日本政府が運営している労災に加入することはできません。

しかし、労働局から認可されている「労災保険特別加入団体」を通して『一人親方労災保険特別加入制度』を利用することができます。

特別に労災保険に加入することができるので、工事保険と合わせて加入しておきましょう。

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工事保険と併用して加入しておきたい保険

工事現場で打合せしている作業員たち

工事保険は、工事現場で使用する「物」が補償対象になっている保険です。

作業員のケガや、周りの人に対する補償はついていないため、他の保険も一緒に加入しておくとをおすすめします。

工事保険と合わせて加入しておきたい保険
  • 貨物保険
  • 請負者賠償責任保険
  • 生産物賠償責任保険(PL保険)
  • 労働災害総合保険
  • 法人向け自動車保険
  • 企業財産包括保険

では、各保険の特徴・補償内容についてみていきましょう。

貨物保険

貨物保険は、輸送・保管される貨物が補償対象になる保険です。

例えば、工事現場まで輸送中に起きた事故で、資材を破損してしまったり、盗難被害に遭った際の損害をカバーしてもらえます。

貨物に関する保険は、国内輸送のみを補償するタイプ、国内外の輸送を補償するタイプなどがあります。

工事の規模や対象エリアによって使い分けるとよいでしょう。

請負業者賠償責任保険

請負業者賠償責任保険は、作業員以外の第三者及び物が補償対象になっている保険です。

補償対象になる事例

・作業現場から工具を落としてしまい、通行人にケガを負わせてしまった
・隣接する建物を破損してしまった
・使用していない資材が倒れ、周囲にいた人がケガをしてしまった

工事に起因する対人・対物事故が発生した際、賠償責任をカバーしてくれます。

賠償金額だけではなく、訴訟に発展した場合は訴訟費用や弁護士費用も補償されます。

生産物賠償責任保険(PL保険)

工事完了後に、第三者の人やモノにケガや被害を与えた場合に補償される保険です。

工事中に起こった出来事が対象となる請負業者賠償責任に対し、工事が完了した後の出来事を対象とするのが生産物賠償責任です

労災保険

労災保険は、政府が運営している政府労災の他に、任意で加入する民間の保険があります。

政府労災で賄いきれない補償金をカバーしてくれる『法定外補償保険』。

労災認定された従業員に対しての、賠償金額を補償する『使用者賠償責任保険』(法律上、賠償責任を負うことになった際に有効)。

これらの保険に加入しておくことで、公共工事を受注する際、経審(経営審査事項)の加点ポイントにもなります。

また、大手ゼネコンなどでは加入を義務付けていたり、加入している業者を積極的に採用している傾向があるため、受注枠を増やすためにも加入しておいた方が得策です。

法人向け自動車保険

建設業では、資材や機械を運んだり、現場に行くために自動車は欠かすことができないものです。

しかし、自動車を運転するにあたって、交通事故を絶対に起こさないとは言い切れません。

どれだけ注意して運転していても、事故を起こす可能性は十分にあります

事故やトラブルが発生した場合、相手への賠償金額が想像以上にかかることも考えられます。

法人の場合、車の台数などによって保険料が違うため、保険の担当者に相談が必要です。

企業財産包括保険

会社が所有する工場・事務所・倉庫等の複数の物件を、1つの契約で補償することができる保険です。

所有している財産ごとに保険に加入する必要がないため、手続きが1回で済ませることも特徴のひとつです。

財物の損害だけではなく、「利益の減少」や「営業継続費用」といった間接損害も補償することができます。

敷地内に保険の対象が増えた場合でも、一定額を限度に自動補償することもできるため、手間や加入漏れを防ぐことができ便利でしょう。

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まとめ

ヘルメットをかぶった工事作業員

今回は、工事保険の種類(補償内容)、対象になる工事、同時に加入しておいた方が良い保険についてご紹介してきました。

工事保険はの種類は主に3つ。

  • 建築工事保険|ビルや家などを建築する際に加入する保険
  • 土木工事保険|道路舗装、トンネル工事、駐車場工事をする際に加入する保険
  • 組立保険|空調設備、冷暖房設備、配電盤、タンク、パイプなどを据付工事する際に加入する保険

請け負う工事の業種や内容によって、加入すべき保険は異なるので、各保険の特徴をしっかり把握してトラブルに備えましょう。

ちなみに、工事保険は、東京海上日動損保ジャパン三井住友海上など、大手の保険会社でも扱っています。

補償内容やパックプランなど、比較的分かりやすく手厚い補償を受けられるようになっているので、まずは上記3社をチェックしてみることをおすすめします。

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本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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この記事を書いた人

保険相談Times(株式会社インシュアランスブレーン)では、海外旅行保険(留学・ワーホリ・駐在・海外長期渡航など)・火災保険・法人損保に関するお問い合わせを日々多数いただいています。その中で、お客様からのご質問・やり取りの中から「この情報は保険加入前に知っておいた方がいいな」といった内容を記事にまとめて保険の選び方を発信しています。
スタッフの詳細なご紹介:https://hokentimes.com/oversea/staff

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