農産物販売者が加入した方が良い保険はどんなものがあるのかな?
PL保険に入るべきか悩んでいるが、補償内容がよく分からない……
PL保険は、農産物を含め幅広いモノを取り扱う業種が加入している損害賠償責任をカバーする保険です。
そのため、農業ビジネスに必要な保険であるのかいまいちよく分からない方も少なくないでしょう。
今回は、農産物に必要なPL保険に関する基礎知識を分かりやすく紹介します。
この記事を読んだあなたは、PL保険について理解できるでしょう。
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農業で考えられるリスク
農業において考えられるリスクは3つあります。
・異物混入、食中毒
・基準値を超える残留農薬の発覚
・家畜の脱走
異物混入・食中毒
異物混入や食中毒は、食を扱う業種にはつきもののリスクです。
出荷した農産物に異物が混入していたためお客様にケガを負わせたり、販売した商品から食中毒が発生したりすることがないとは言い切れません。
被害者の数が多いほど、損害賠償額も大きくなるでしょう。
農業だけではなく、食を取り扱う業種にとって異物混入・食中毒は気をつけなければいけない事項です。
基準値を超える残留農薬の発覚
大量の野菜や果樹を育てるために農薬を使用している農家も少なくないでしょう。
農薬は一定量を超えて使用すると体に悪影響を及ぼす可能性があるため、使用して良い量が定められています。
一定の基準値を超える農薬が発覚した場合は、商品を回収しないといけなくなるでしょう。
残留農薬が発覚した場合は、回収費用や利益喪失などのリスクがあるため、注意が必要です。
農産物はPL法の対象外?
PL法とは?
PL法は、製造物の欠陥などにより人の身体や財産に損害を与えた場合の損害賠償責任について定められている法律です。
この法律は、製造物の欠陥が原因で生命、身体又は財産に損害を被った場合に、被害者が製造業者等に対して損害賠償を求めることができることを規定した法律です。この法律は、不法行為責任(民法第709条)の特則であり、不法行為責任に基づく損害賠償請求の場合には、加害者の過失を立証しなければならないところ、製造物責任については、製造物の欠陥を立証することが求められます。
引用:消費者庁_製造物責任法の概要Q&A
農産物はPL法の対象?
この法律では、製造物を「製造又は加工された動産」と定義しています(本法第2条第1項)。人為的な操作や処理が加えられ、引き渡された動産を対象としており、このため、不動産、電気、ソフトウェア、未加工農林畜水産物などは、この法律の対象にはなりません。
引用:消費者庁_製造物責任法の概要Q&A
PL法の対象は、「製造又は加工された動産」と定義されているため、生野菜などの未加工の農林畜産物はPL法の対象にはならないでしょう。
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農産物に必要な保険
農産物で考えられるリスクを紹介しましたが、次はリスクを踏まえて農産物に必要な保険種類について紹介します。
・施設賠償責任保険
・リコール保険
・PL保険(生産物賠償責任保険)
施設賠償責任保険
施設賠償責任保険は、損害賠償が発生した場合に賠償金をカバーしてくれる保険です。
観光農園や体験型農業を行っている場合、下記のケースが考えられます。
・いちご狩り中に、水たまりで滑って子どもがケガをした
・牧場で乳搾りをしている時に、牛が観光客を蹴ってケガをさせた
ハウスや牧場などにお客様を招くビジネスをしている場合、施設賠償責任保険は必要でしょう。
リコール保険
リコール保険は、製品・商品のリコールを実施する際の諸費用を補償する保険です。
出荷した野菜や商品などが原因でお客様にケガを負わせてしまった場合、すぐに商品を回収しなければいけません。
そのような時にリコール保険に加入していると、商品回収に対する補償やリコール時の対応を保険会社に相談できるため、万が一の時に役に立つでしょう。
リコール保険は、他の保険に特約として追加しないといけない場合もあるため、保険会社に確認が必要です。
PL保険(生産物賠償責任保険)
PL保険は製造または販売した商品などが原因で、他人にケガをさせた場合などに、事業者が法律上の損害賠償責任を負担する場合の損害費用を補償する保険です。
農産物を製造・販売する業者にとって、必要な保険といえるでしょう。
PL保険については、後ほど補償内容などの詳細を説明します。
PL保険(生産物賠償責任保険)とは?
PL保険の補償内容について紹介します。
PL保険に加入することで、賠償責任を補償するだけではなく、万が一の備えもしっかりしている会社として信頼を得られることがメリットです。
補償内容
PL保険に加入することで補償される内容は、下記の通りです。
損害賠償金 | 損害を与えた被害者に対して支払う賠償金 |
損害防止・軽減費用 | 被害拡大を防ぐための措置にかかる費用 |
争訟費用 | 訴訟を受けた場合の訴訟費用・弁護士費用 |
緊急措置費用 | 事故発生時の応急手当にかかった費用 |
権利保全行使費用 | 他にも責任を負うべき会社がある場合、その会社に対して求償権を保全または行使するための費用 |
協力費用 | 保険会社が事故解決のために行う要求に協力するために要した費用 |
補償される内容や金額は、保険会社や契約内容によって異なってくるため、確認が必要です。
補償対象外になるケース
・故意によって生じた損害賠償責任
・重過失の場合の損害賠償責任
・危険すぎるモノを取り扱った場合に起こった損害賠償責任
・被保険者と生計を共にする同居の親族に対する損害賠償責任
・従業員が業務中に被った身体の障害に起因する損害賠償責任
・地震、噴火、洪水、津波などの自然災害が原因で起こった損害賠償責任
・正当な理由がなく、リコールなどの措置を取らなかったために起こった損害賠償責任
その他にも各保険会社の「保険金をお支払いしない主な場合」に補償対象外のケースが公表されているため、確認が必要です。
PL保険の基礎知識などの詳細については、下記の記事をご確認ください。
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農産物によるPL保険の損害事例
JA上伊那は「ぶなしめじ」に蛍光灯の一部が混入したおそれがあるとして、およそ18万5千パックを自主回収しています。 自主回収の対象となっているのは、JA上伊那が出荷したぶなしめじ、およそ18万5千パックで包装フィルムに「生産者番号85」と表示されているものです。
JA上伊那によりますと、きのう収穫されたぶなしめじに蛍光灯の破片が付着しているのが見つかり、栽培している工場内を確認したところ、蛍光灯1本が破損していたということです。
JA上伊那では、破片が混入した恐れがある事から、18日から24日までの出荷分18万5千パックを自主回収する事にしました。 JA上伊那は「消費者の皆様に大変なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げるとともに回収に全力をあげて取り組みたい」とコメントしています。 これまでに、けがをした人や健康被害の報告などはないということです。
引用:伊那谷ねっと
こちらは、農家が原因ではありませんが、農産物に異物が混入していた事故です。
このような事故は、注意していたとしても発生する可能性があります。
そのため、万が一の時に備えて必ずPL保険に加入することをおすすめします。
PL保険(生産物賠償責任保険)の注意点
農産物を取り扱う業者がPL保険に加入する場合に注意すべきポイントが2つあるため、紹介します。
・補償の対象外になるケースがある
・自己負担ゼロというわけではない
補償の対象外になるケースがある
PL保険に加入したからといって、どんな場合でも損害が補償される訳ではありません。
故意によって発生したトラブルや、重過失・危険な物を取り扱った場合の事故は、保険金支払いの対象外になります。
また、PL保険には国内向けと海外向けと保険が別で存在します。
国内向けのPL保険に加入していた場合に、海外でトラブルが発生した場合は保険が適用されないため注意が必要です。
自己負担がゼロというわけではない
PL保険は、事故が発生した場合にすべて保険で対応する自己負担がない保険ではありません。
保険金には、免責金額といって一定額の自己負担しないといけない金額が存在します。
損害賠償額が1,500万円の場合で、免責金額を100万円に設定している保険の場合。
保険金として1,400万円が支払われるが、免責金額の100万円は自己負担額となる。
免責金額を高くするか低くするかは、ご自身で設定が可能です。
免責金額を高く設定すると、保険料は安くなります。
反対に、免責金額を低く設定すると、保険料は高くなります。
自己負担額をどのように設定するかは、自社の規模や状況によって考えましょう。
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おすすめの保険会社
PL保険は、ほとんどの保険会社で取り扱いがあります。
・AIG損保
・東京海上日動
・三井住友海上
・日新火災
・損保ジャパン
保険会社によって、商品名や補償内容が多少異なる場合があります。
まずは、複数の保険会社の内容を比較して、ご自身のリスクに合った補償を受けられる保険会社を選びましょう。
まとめ
PL保険は、農産物を取り扱う業者の方は万が一のリスクに備えて加入した方が良い保険です。
食に関わる農産物では幅広いリスクが考えられるため、お客様から損害賠償責任を求められることが考えられます。
万が一、トラブルが発生した場合でもPL保険に加入していると迅速に対応できるため、自社やお客様を守るためにもPL保険に加入することをおすすめします。
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本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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