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パワハラ保険とは?雇用慣行賠償責任保険の重要性を解説

パワハラ保険

経営者は雇用慣行賠償責任保険に加入するべきと言われるけど、何のことか分からない……

どんなリスクに対して補償してくれる保険なの?

雇用慣行賠償責任保険に加入することによって、どのようなリスクをカバーしてくれるのか分からないという方も少なくないでしょう。

しかし、分からないからといって放っておくとトラブルが発生した時に大変な目に遭う可能性が高いです。

特に規模の小さい企業にとっては、会社を畳まないといけないほどの損害になることもあります。

今回は、従業員を雇っている企業に必要な雇用慣行賠償責任保険について解説します。

この記事を読んだあなたは、雇用慣行賠償責任保険について理解し不安が解消されるでしょう。

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目次

EPLI保険とは?

雇用慣行賠償責任保険(Employment Practice Liability Insurance)は、EPLI保険やパワハラ保険、ハラスメント保険とも呼ばれている法人向けの損害保険です。

不当解雇やセクハラ、パワハラなどが原因で会社と従業員が職場環境や業務上をめぐりトラブルになり、会社が従業員から訴えられて損害賠償を負った時に保険金が支払われる保険です。

規模の小さい会社ほど、被害に遭ったら経営が傾く可能性が高いため、必要と言えるでしょう。

そもそも、不当行為とはどのようなことを指すのか下記の表で確認しましょう。

ハラスメントセクハラ・パワハラ・従業員の就業環境を害すること
不当解雇退職を推奨すること・会社の都合で一方的に従業員を解雇すること
差別的好意性別や年齢、国籍などを理由に労働条件を差別すること
人格権の侵害誹謗・中傷・名誉毀損・プライバシーの侵害など行うこと
不当な評価理由が不当な降格・不採用・職種の変更をすること

パワハラ防止法が義務化

近年、会社にとって雇用慣行賠償責任保険(EPLI保険)の必要性は高くなっていると言えます。

2019年5月に職場でのパワハラなどを防ぐために、「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」が成立し、2020年6月に施行されました。

そして、2020年4月には、中小企業も対象となりパワハラ防止法が全企業に義務化されました。

パワハラ防止法が全企業に義務化されたことから、雇用慣行賠償責任保険(EPLI保険)は近年注目されている保険と言えます。

円滑な人間関係が築けるように環境を整えたとしても、人と人の問題のため、トラブルが発生しないと断言することは難しいでしょう。

近年では、従業員が雇用トラブルの声を上げやすくなり、会社の責任を追及しやすくなっていることから雇用慣行賠償責任保険(EPLI保険)の必要性は高いです。

雇用慣行賠償責任保険の補償内容

保険会社によって異なりますが支払われる保険金は、主に下記の2種類あります。

・法律上の損害賠償金:会社が従業員から損害賠償金を求められた際の法律上の賠償責任を負担
・争訟費用:弁護士費用や証拠収集のために要した費用など

「法律上の損害賠償金」は、裁判で損害賠償を命じられる場合を想像する方も少なくないでしょう。

しかし、「和解・調停・示談」により発生した賠償金も含まれます

また、労働トラブルを解決するにあたって弁護士などの専門家の協力は必須となるでしょう。

その際の、相談料や着手金などの費用も保険金でカバーすることが可能です。

補償の対象

雇用慣行賠償責任保険は、社長や役職のある方が訴えられた場合が補償の対象になるわけではありません。

訴えられた人の雇用形態は関係ないため、肩書がない従業員が不当行為をした場合でも補償の対象になります。

もちろん、正社員だけではなく、契約社員や派遣社員、アルバイトも対象に含まれているため、アルバイトから正社員が訴えられたとしても補償の対象になります。

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雇用慣行賠償責任保険の重要性がわかる事例

会社にとって雇用慣行賠償責任保険の重要性は、下記の理由から高いと言えます。

雇用慣行賠償責任保険が重要な理由

・近年、従業員が被害の声を上げやすくなり、会社の責任を追及しやすくなっているから
・損害賠償金が高額になると会社経営に大きな打撃をもたらすから

ハラスメントをしようと思ってする方はいないと思いますが、捉え方は人それぞれのため、言われた側がハラスメントと思ったら不当行為になる可能性があります。

現在は、昔のように正社員だけの職場は少なく、さまざまな雇用形態で働く人がいるため、無意識や悪気のない発言でも訴えられる可能性があるでしょう。

事例1:不当解雇

事例1

A氏は病気で2ヶ月間入院し、退院した後も自宅療養で休職した。

5ヶ月後にA氏が復職を申請したが、会社は却下して解雇。

A氏は「不当解雇」として会社に対する「労働審判」を申し立てた。

調停内容:会社が解決金700万円支払
参照:三井住友海上ビジネスJネクストチラシ

この他にも「向上の見込みがないと判断した社員を解雇した」などといった事例があります。

事例2:セクハラ

事例2

B氏は会社の上司からセクハラ行為を受け休職することとなった。

会社に責任を追及したところ否定されたため、B氏は会社に対して慰謝料などを求め労働局へ「あっせん」を申請した。

合意内容:会社が慰謝料200万円支払

参照:三井住友海上ビジネスJネクストチラシ

この方にも「上司から性的な発言をされて、精神病を患い会社に出勤できなくなり退職することになった」などのケースも多く見られます。

事例3:パワハラ

事例3

C氏は退職に追い込むことを目的とした様々な「孤立化・いやがらせ」を受け、最終的に整理解雇された。

C氏はこれらの「いじめ」に対し、会社と代表取締役2名を相手取り、損害倍書を請求した。

判決内容:代表取締役個人及び会社双方へ慰謝料150万円の賠償命令(整理解雇は無効)

参照:三井住友海上ビジネスJネクストチラシ

この他にも「上司から長期間、罵倒や叱責を受けたことが原因で鬱病と診断された」などのケースもよくあるパターンです。

また、3つの事例以外にも「妊娠したため、希望していないにも関わらず管理職を降格させられた」などもあります

従業員に成長してもらうために良かれと思いキツく指導した場合でも、パワハラとして訴えられることもあります。

万が一、トラブルが発生した場合に賠償金の支払いや謝罪などのことを考えると、小さい会社だと経営が傾く恐れもあるため、保険に加入しておく必要があると言えます。

ハラスメントを訴えられる前にできること

対策

ハラスメント保険・パワハラ保険に加入したからと言って安心してはいけません。

まずは、ハラスメントによる訴えが起こらないような環境を作ることが一番大切です。

そのために会社が取るべき対策を3つ紹介します。

簡単な流れ
  1. 改めて社内のハラスメントルールを見直す
  2. 従業員へ理解を深める
  3. 必要な研修を実施する

STEP1:社内のハラスメントメールを見直す

改めて社内のハラスメントルールを見直すことをおすすめします。

パワハラ・セクハラ・マタハラなど、昔は耳にすることが少なかったさまざまなハラスメント行為のワードを聞くようになりました。

会社のルールが今の時代に沿ったものであるかを確認し、時代に沿ったルールに変えていく必要があります

STEP2:従業員への理解を深める

社内のハラスメントルールが整ったら、次は従業員への周知や理解を深めることが重要になります。

定期的に理解度チェックなどを実施することで、従業員の意識付けに繋がります。

ここで重要なのは、役員だけではなく雇用形態に関係なく全ての従業員に実施し同じ認識を持ってもらうことです。

STEP3:必要な研修を実施する

従業員へ理解を深めた後、必要によっては研修を実施しましょう。

研修を実施することで、更に社内のハラスメントルールを定着させることができます。

理解度が低い役員や従業員には、専門家に依頼して1対1で研修する機会を与えることで納得してもらえるでしょう。

しかし、いくらハラスメント対策をしてもトラブルが発生する可能性があるため、雇用慣行賠償責任保険へ加入することは大切になります。

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雇用慣行賠償責任保険を選ぶポイント

雇用慣行賠償責任保険を選ぶポイントを、3つ紹介します。

ポイント

・備えるべきリスクや優先順位を考える

・保険金が支払われる要件を確認する

・賠償責任保険に特約として追加できるか確認する

備えるべきリスクや優先順位を整理する

損害賠償責任に対するリスクは業種によって変わってきます。

例えば、建設業の場合は「現場で起きる事故」に対するリスクを最優先で考える必要があります。

しかし、製造業の場合は「自社が製造したもの」に対するリスクに備えなければいけません。

また、病院では「医療行為」で起きるリスクを医療専門の保険で備えます。

まずは、自社にとって最優先で必要な補償は何かを検討して、優先順位を考えましょう

その中で、雇用慣行賠償責任保険の優先順位が高い場合は必ず加入することをおすすめします。

家族経営の場合は必要ない保険ですので、まずはご自身の会社にとって必要であるかを検討しましょう。

保険金が支払われる要件を確認する

保険会社によって、保険金が支払われる要件や保険料などが異なります。

すでに他の保険に加入されている場合は、雇用慣行賠償責任保険に追加で加入することで適応される割引がある可能性もあります。

まずは、複数の保険会社を比較して自社が必要とする補償内容にピッタリの保険会社を探すことをおすすめします。

賠償責任保険に特約として追加できるかを確認する

雇用慣行賠償責任保険を単体で加入する場合もありますが、もともと加入している賠償責任保険がある場合、保険会社によっては特約として追加できる場合もあります。

もともと加入している保険がある場合は、「雇用慣行賠償責任保険」を特約として追加できるかを確認しましょう。

新たに保険に加入するよりも、特約として追加する方が保険料が安く抑えられる可能性があります。

雇用慣行賠償責任保険の注意点

雇用慣行賠償責任保険で注意するべきことを2点紹介します。

・海外で発生したトラブルは補償対象外
・他の保険と補償内容が重複していないか

海外で発生したトラブルは対象外

雇用慣行賠償責任保険は、基本的に日本国内で発生した不当行為により、日本で損害賠償請求があった場合が対象となります。

そのため、海外で発生した不当行為や、海外で損害賠償請求があった場合は補償対象外となるため、保険金を受け取ることができません。

海外に店舗や支店がある会社の場合、海外で起こったトラブルには対応できないことを理解しておく必要があります

他の保険と補償が重複していないか

雇用慣行賠償責任保険以外にも、他の保険に加入している方も少なくないでしょう。

その場合は、他の保険の補償内容と雇用慣行賠償責任保険の補償内容が重複していないかを確認することをおすすめします。

補償内容が重複しているからといって、万が一の際に保険金を2倍もらえるということではありません。

そのため、補償内容が重複している場合は、保険料を余分に支払っていることになります。

無駄な保険料を支払わないためにも、補償内容が重複していないかをチェックしましょう。

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雇用慣行賠償責任保険を提供している保険会社

保険会社

雇用慣行賠償責任保険の取り扱いがある保険会社を紹介します。

・AIG損保
・三井住友海上
・東京海上日動

保険会社によって、雇用慣行賠償責任保険として単体で加入できるケースもあれば、他の保険に特約として追加できるケースもあります。

もし、保険をお任せしている保険会社がある場合はまずは担当者に相談することをおすすめします。

まとめ

雇用慣行賠償責任保険は、ハラスメントや不当解雇などで訴えられるリスクがある今の時代、企業にとって会社や従業員を守るために必要な保険です。

現在、加入が急増している雇用慣行保険は今の時代に加入しておくべき保険といえるでしょう。

パワハラ保険への加入と、ハラスメント対策を行うことで安定した企業運営を目指しましょう。

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この記事を書いた人

保険相談Times(株式会社インシュアランスブレーン)では、海外旅行保険(留学・ワーホリ・駐在・海外長期渡航など)・火災保険・法人損保に関するお問い合わせを日々多数いただいています。その中で、お客様からのご質問・やり取りの中から「この情報は保険加入前に知っておいた方がいいな」といった内容を記事にまとめて保険の選び方を発信しています。
スタッフの詳細なご紹介:https://hokentimes.com/oversea/staff

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