料理や商品を作る・加工する・輸入する個人事業主には、PL保険(生産物賠償責任保険)の備えが必要です。保険料は、事業の規模や業種などの条件をもとに見積もりで決まります。
保険相談Times編集部「小さな店だから大丈夫」と思っていても、食中毒が1件起きるだけで複数のお客様への賠償になることがあります。まずはご自身の事業がPL保険の対象になるかを確かめましょう。
PL保険(生産物賠償責任保険)の基礎知識
PL保険は、事業者が製造・販売した商品や、引き渡した仕事の結果が原因で他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりして、法律上の損害賠償責任を負ったときに保険金が支払われる保険です。
「製造物責任法(PL法)」により無過失でも責任を負う
製造物責任法(PL法)では、製造物の欠陥によって人の命・身体・財産に損害が生じたとき、製造業者等は過失の有無にかかわらず賠償責任を負います[1]。被害者は事業者の過失ではなく、製品に欠陥があったことを示せば賠償を求められます。
PL法で「製造業者等」に当たるのは、製造・加工した人、輸入した人、製造業者として名前を表示した人です[1]。
- 飲食店:調理は食材の「加工」に当たり、提供した料理は製造物として扱われることがあります。
- ハンドメイド作家・食品の製造販売:ご自身で作った商品は製造物です。
- 輸入品の販売:ご自身で輸入した商品は、輸入者として製造業者と同じ責任を負います。
- 仕入れた商品を売るだけの小売:PL法の「製造業者等」には当たらないのが原則ですが、販売者として民法上の責任を問われる場合があります。
PL保険は、PL法による責任だけでなく、民法上の責任を含めた「商品・仕事が原因の賠償」をまとめて補償するのが一般的です。
なぜ個人事業主・フリーランスにこそ必要なのか
個人事業主は、事業で負った賠償責任を個人として負います。会社のように事業と個人の財産が分かれていないため、賠償額が事業の手元資金を超えると、不足分をご自身の貯蓄や生活費から支払うことになります。
取引先や出店先(ECモール・百貨店の催事・マルシェなど)から、PL保険への加入を出店の条件として求められることもあります。
補償される範囲とされない範囲
PL保険で一般的に補償されるのは、次のような費用です。
- 被害者への損害賠償金(治療費、慰謝料、休業損害、物の修理代など)
- 争訟費用(弁護士費用、訴訟費用など)
- 事故が起きたときの応急手当・緊急措置の費用や、損害の拡大を防ぐ費用
一方で、次のようなものは一般的に対象外です。
- 欠陥のあった商品そのものの修理・交換・返金の費用
- 商品の回収(リコール)の費用(特約や別の保険で備える)
- 故意による事故や、法令違反を知りながら販売した商品による事故
- 国内向けの契約での、海外で起きた事故(輸出する場合は海外向けの契約が必要)
・PL法では、製造・加工・輸入した事業者は過失がなくても欠陥による損害の責任を負う
・個人事業主は賠償を個人として負うため、モノを扱う事業なら備えておきたい
・商品そのものの修理代やリコール費用は、基本の補償の対象外






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工事保険の専門アドバイザーが、業種や売上をうかがって、事業で必要な保険をまとめてお探しします。元請けから加入を求められて急いでいる方もご相談ください。
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業種・売上などを入力するだけ。事業に合うプランの保険料をお知らせします
専門のアドバイザーが質問にもお答え
「元請けから求められた補償を満たせる?」「一人親方でも入れる?」「今の保険と何が違う?」など、気になることも一緒に
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業種別のPL保険の事故例
飲食店経営者が直面する「食中毒」と「異物混入」
飲食店でPL保険が特に重視されるのは、食中毒のリスクがあるためです。厚生労働省の統計では、令和7年(2025年)の食中毒は全国で1,172件、患者数は24,727人でした[2]。
| 例1(食中毒) | 提供した生牡蠣が原因で、複数のお客様がノロウイルスに感染。治療費・慰謝料・休業損害を請求された。 |
| 例2(異物混入) | 料理にガラス片が混入しており、お客様が口の中を切った。 |
| 例3(持ち帰り品) | テイクアウトの弁当が原因で、自宅で食べた家族が体調を崩した。 |
(表の例は想定例です。)なお、配膳中に熱いスープをこぼしてお客様がやけどをした、床が濡れていてお客様が転んだ、といった店舗での接客・設備による事故は、PL保険ではなく施設賠償責任保険の対象です。飲食店は両方を組み合わせて備えるのが一般的です。
製造・販売・工事などその他の業種のリスク
| 業種 | 想定される事故 |
|---|---|
| ハンドメイド作家 | 販売したアクセサリーの部品が外れ、幼児が誤飲した。 |
| 食品の製造販売(菓子・パンなど) | アレルギー表示の誤りで、購入者がアレルギー症状を起こした。 |
| 輸入品の販売(EC含む) | 輸入して販売した充電器が発火し、購入者の家財が焼けた(輸入者は製造業者と同じ責任を負う)。 |
| 工務店・設備工事(引き渡し後) | 取り付けた配管の継ぎ目が緩んでおり、引き渡し後に水漏れが起きて家財が濡れた。 |
工事中の事故は、PL保険ではなく請負業者賠償責任保険の対象です。工事の仕事をしている方は「請負業者賠償責任保険」の記事もご覧ください。
賠償額が大きくなりやすいケース
賠償額は、被害者の人数とケガの重さで大きく変わります。食中毒では一度に多くの方が被害を受けることがあり、令和7年には、仕出屋の弁当によるノロウイルス食中毒で患者が2,307人にのぼった例もあります[3]。被害者一人ひとりの治療費・慰謝料・休業損害が人数分積み重なるため、事業の手元資金で払える範囲を超えるおそれがあります。



PL保険は「1事故あたり」と「保険期間中の合計」の支払限度額を契約で決めます。食品のように一度に多くの方が被害を受けやすい業種では、1事故あたりの支払限度額で、想定される被害者全員への賠償をまかなえるかを見積もりのときに確かめましょう。
・飲食店は食中毒・異物混入がPL保険の主な対象
・ハンドメイド・食品製造・輸入品の販売・工事の引き渡し後の事故もPL保険の対象
・被害者が多い事故や後遺障害が残る事故では、賠償額が大きくなりやすい
個人事業主のPL保険の保険料はいくら?決まり方
売上高と業種によって決まる保険料
PL保険の保険料には一律の定価がなく、売上高などの事業の規模や、業種・取り扱う商品、支払限度額などの条件をもとに、見積もりで決まります。見積もりでは、次の条件を伝えます。
| 条件 | 見積もりで伝える内容 |
|---|---|
| 事業の規模 | 直近1年間の売上高(開業前なら見込み) |
| 業種・取扱商品 | 何を製造・加工・輸入・販売しているか |
| 支払限度額 | 1事故あたり・保険期間中の合計で希望する金額 |
| 免責金額(自己負担額) | 設定するかどうか |
| 販売の方法と販売先 | 店舗・EC・催事のどこで売るか、海外に販売・輸出しているか |
| 取引先・出店先の条件 | 加入や支払限度額を求められている場合はその内容 |
正確な金額は、これらの条件を伝えて見積もりで確かめましょう。
・保険料は、売上高などの事業の規模や業種、支払限度額などの条件をもとに見積もりで決まる
・見積もりでは、売上高・取扱商品・支払限度額・免責金額・販売先を伝える






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PL保険と他の賠償責任保険の違い
事業の賠償責任保険は、事故の原因によって使う保険が分かれます。


飲食店や店舗型の事業は、PL保険と施設賠償責任保険をセットにした商品や、事業の賠償をまとめて補償する保険で備える方法もあります。
個人事業主向けPL保険の選び方と注意点
PL保険の加入方法
| 加入方法 | 特徴 |
|---|---|
| 保険会社・代理店で個別に契約 | 業種や売上高に合わせて、補償の内容や支払限度額を選びやすい。施設賠償などとのセットも相談できる |
| 商工会議所・商工会・業界団体の制度 | 会員向けの団体制度で、保険料が割安になる場合がある。会員になる必要がある |
| フリーランス向けの団体の制度 | 会員の特典として賠償責任の補償が付く場合がある。補償の範囲や限度額が、ご自身の業種に合うかを確認する |
個別に契約する場合の流れは、見積もりの依頼(業種・売上高・取扱商品を伝える)→プランの決定→申込書の提出と保険料の支払い→保険証券の発行、が一般的です。取引先や出店先に加入の証明を出す必要がある場合は、いつまでに必要かも伝えましょう。
業界団体や商工会議所の「団体割引」を活用する
商工会議所や商工会、業界団体では、会員向けにPL保険を含む団体の保険制度を用意しているところがあります。たとえば商工会議所の保険制度は、商工会議所の会員だけが加入できる団体制度(団体割引あり)で、引受保険会社や取り扱う保険商品は商工会議所によって異なります[4]。加入には会員になる必要があるため、会費も含めて比べましょう。
「リコール費用」が含まれているか確認する
一般的なPL保険は被害者への賠償金を補償しますが、事故の後に商品を回収する費用(リコール費用)は対象外であることが多くあります。食品の製造販売などで回収のリスクがある場合は、リコール費用を補償する特約や保険を付けるかどうかを検討しましょう。
トラブル対応を任せる「示談交渉サービス」の有無
事故が起きたとき、被害者との話し合いをご自身で進めるのは大きな負担です。保険会社が示談の交渉を行うサービスが付いているかどうかも、選ぶときの大切なポイントです。付いているかどうかは、商品や契約の形によって違います。
・商工会議所などの団体制度は、会費も含めて比べる
・リコール費用は特約や別の保険で備えることが多い
・示談交渉サービスの有無を確認する
個人事業主のPL保険に関するよくある質問(FAQ)
- イベント出店など、短い期間だけ入れるPL保険はありますか?
-
PL保険は1年単位の契約が一般的ですが、短い期間の契約やイベント向けの保険を扱う保険会社・団体もあります。出店の頻度や主催者の条件に合わせて、1年契約と比べて選びましょう。
- PL保険の保険料は経費になりますか?
-
事業のための保険料は、必要経費(損害保険料)として計上できるのが一般的です。複数年分をまとめて支払った場合などは扱いが変わることがあるため、税理士に確認しましょう。
- アルバイトや従業員のミスによる事故も対象になりますか?
-
事業として引き渡した商品による事故であれば、作ったのが従業員でも、事業者の賠償責任として対象になるのが一般的です。補償の範囲は契約で確認してください。
- 実店舗がないネットショップ(EC)のみでも加入できますか?
-
加入できます。店舗の有無にかかわらず、販売した商品で損害を与えるリスクはあります。海外の購入者にも販売する場合は、海外向けの補償が必要かどうかも確認しましょう。
まとめ:PL保険は「事業を守る命綱」
個人事業主は、事業での賠償を個人として負います。料理や商品を作る・加工する・輸入する事業なら、PL保険で備えておきましょう。
- 対象:製造・加工・輸入した商品と、引き渡した後の仕事による事故
- 責任:PL法では、欠陥があれば過失がなくても責任を負う
- 保険料:年間売上高と業種で決まる。見積もりで確認する
PL保険で後悔しないための相談先・サポート案内
ご自身の業種で必要な補償や支払限度額を決めるときは、複数の保険会社のプランを扱う代理店に相談すると、業種と売上高に合わせて比べられます。



保険相談Timesでは、業種・売上高・取引先の条件をうかがって、PL保険の見積もりをご案内しています。まずはお気軽にご相談ください。




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出典
- e-Gov法令検索「製造物責任法」(第2条・第3条。2026年10月15日確認)
- 厚生労働省「令和7年食中毒発生状況の概要」(2026年10月16日確認)
- 高槻市保健所「食品衛生責任者実務講習会 食中毒発生状況」(令和7年の500人以上の大規模食中毒事例。2026年10月16日確認)
- 尾道商工会議所「商工会議所の保険制度」のご案内(2025年10月掲載。2026年10月16日確認)
本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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