
こんにちは。保険Times編集部です。
マレーシア留学では、日本の高校生や中学生向けの夏休み短期留学やマレーシアの大学に留学し、欧米の大学の学位を合わせて取得できるツイニングプログラムなどが非常に人気です。マレーシアの大学の学費は日本や欧米諸国よりも非常に安価にもかかわらず、英語圏・中華圏の国であるため英語・中国語を学習しながら学位が取得できるという非常にコストパフォーマンスの高い国です。大学生・社会人の語学学習、MBA取得を目的とする留学も近年増加傾向となっています。
また、日本人のロングステイ先としては10年連続でマレーシアが1位になっており、老後の滞在などで比較的安い物価で治安が良く過ごしやすい国となっています。今回は、マレーシアに留学などで中長期滞在する上で考慮しておきたい医療費事情についてまとめました。渡航前に是非ご確認ください。
マレーシアの病院の仕組み
マレーシアは、国民皆保険制度や介護保険制度のような日本で整えられた仕組みはありませんが医療水準はアジアの中でも高く医療費もシンガポールなどと比較すると安価な国です。病院は、大きく分けて国公立病院と私立病院に分かれています。マレーシア人にとっては、国公立病院の方が安く治療を受けられるのですが、外国人は国公立でもマレーシア人より多くの治療費を支払う必要があります。国公立系病院はマレーシア国民であれば1マレーシアリンギット(約30円)で、外国人であれば15マレーシアリンギット(約450円)で外来受診をすることができます。これには診察から薬代まで含まれています。公的な仕組みとしては国公立病院を通して安価な医療提供と税による病院への費用保障によって医療制度が完結しているようにみえます。しかし、安価で受けられるため待ち時間は大変に長いようです。利用者は主にマレーシア国民なのですが、国民の民間医療機関利用へのシフトも起きているようです。
一方、外国人はたいてい私立病院を利用するケースが多くなっています。マレーシアの医療制度は、イギリスの医療制度の影響を受けてGP制を採用しています。(イギリスの医療制度はこちら)GPとは町の診療所を指し、軽い病気やけがの場合はまずはGP(一般医)での受診となります。そこで対応しきれない重度の病気の場合は専門医での受診が勧められます。軽い風邪などで民間のGPクリニックで診断を受けた場合の診療費と薬代は合計で50マレーシアリンギット(約1,500円)程度です。民間の病院での診察代はそれぞれの病院によって異なりますが、上限額をマレーシアの保健省が定めているため、その範囲内での受診が可能です。
医療ツーリズムでの渡航者が増加中のマレーシア
引用:マレーシアの国際医療患者受入数推移と2013年国別国際医療患者数ランキング
マレーシアへ医療を受けるために渡航する、メディカルツーリズムの受け入れ国では日本は世界3位となっています。日本人がなぜマレーシアで医療を受けるかというと、多くは退職後の余暇をマレーシアで過ごす団塊の世代が治療を受けながらロングステイする形で医療を受けています。その他にも、遺伝子チェックや不妊治療、人間ドックなどの検診系、がんの治療など日本人の渡航者は徐々に増加傾向です。
マレーシアが他国に比べて医療観光国として支持されている理由として、医療費の安さがあります。クアラルンプールのある病院では、心臓バイパス手術の費用がシンガポールの半額、タイよりも10%安くなっています。その上、手術後の入院費や治療費も両国と比較して低額である。タイでは年々医療費が高額になってきており、シンガポールは受入れ人数の調整に苦慮している現状に、マレーシアの存在感が増している状況です。
【各国比較】マレーシアで盲腸に感染した場合の医療費
日本:400,000円(日本の基準額は、10割負担を想定)
マレーシア:250,000円
【各国比較】マレーシアで救急車を呼んだ場合の費用
マレーシアでの救急車利用:無料(公的病院の場合)
(一般的に、海外だと救急車の利用は有料となっております。)
マレーシアでの保険料請求事例
国名 | 事故事例 | 保険金額 |
マレーシア | 路上で後から車がぶつかり受診。甲関節開放性脱臼骨折と診断され7日間入院・手術。看護師が付き添い医療搬送。 | 444万円 |
マレーシア | ホテルのプールで溺れ救急車で搬送。水の誤嚥による肺損傷と診断される。家族が駆けつける。 | 335万円 |
マレーシア | 朝食後に冷や汗・胸の痛み・腕の痺れ、その後嘔吐。心筋梗塞と診断され7日間入院・手術。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。 | 514万円 |
留学保険を検討する上で、注意しておきたいポイント
マレーシアの医療費が安いとはいえ、高額治療の事例もありますので留学保険には加入しておくべきでしょう。特に、重度の怪我や病気により家族がかけつけたり搬送が必要な怪我をしてしまった場合はどうしても高額の医療費請求となってしまいます。医療水準はアジアの中でも非常に高いですので、安心して治療を受けられますね。自身が加入する留学保険のキャッシュレス提携病院や、どこまでの保障をつけるのかなどは事前に検討しておきたいところです。