フリーランスは会社員と違って社会保障が手薄なのが心配……
フリーランスに必要な保険を知りたい。
フリーランスは社会保障が手薄のため、働けなくなった場合のリスクを考えると不安に感じる方も少なくないでしょう。
今回は、フリーランスが加入すべき保険の種類や保険料の取り扱いについて解説します。
この記事を読んだあなたは、安心してフリーランスとしての活動を続けることかできるでしょう。
フリーランスが加入する公的医療保険
フリーランスが加入する健康保険は、基本的には国民健康保険です。
これは市区町村が運営しており、医療費の一部を負担してくれます。
加入者は、病気やケガの際に医療機関での治療費を軽減することが可能です。
保険料は所得に応じて変動し、年に一度見直されます。
また、会社員からフリーランスになった場合、前の会社の健康保険を任意継続することが可能です。
任意継続することによって、国民健康保険ではなく、その会社の健康保険組合の福利厚生を受けられることがメリットです。
しかし、場合によっては国民健康保険よりも保険料が高くなる場合があるため、注意が必要です。
フリーランスが加入する公的年金
国民年金は、フリーランスが老後の生活資金を確保するための重要な保険です。
会社員は、国民年金と厚生年金に加入していますが、フリーランスの場合は国民年金のみの加入となるため、将来の年金が会社員よりも少なくなります。
保険料は定額で、毎年見直されます。
フリーランスの場合、保険料は全額自己負担となるため、しっかりと支払って将来に備えなければいけません。
フリーランスが加入する公的介護保険
介護保険は、40歳以上になると支払わなければいけません。
介護保険に加入することで、将来的な介護に備えることができます。
保険料は所得や自治体などによって異なり、介護サービスを利用する際に一定の負担が必要です。
フリーランスが加入する公的労災保険(特別加入)
フリーランスは通常の労災保険には加入できませんが、特別加入制度を利用することで、仕事中や通勤中の事故に対する保障を受けることができます。
2024年11月からフリーランスが労災保険の特別加入の対象1となりました。
特別加入は、一定の条件を満たす必要がありますが、万が一の事故に備えるためには非常に重要なため、加入することをおすすめします。
フリーランスが支払う税金とは?
フリーランスとして働くと、会社員と違って自分で税金を計算・申告し、支払う必要があります。
主に次の4種類の税金が関係します。
・所得税
・住民税
・消費税
・個人事業税
所得税
所得税は、1年間の所得(売上-経費)に応じて課される税金です。
確定申告の際に、控除額(基礎控除や青色申告特別控除など)を差し引いた後、税率(5%~45%)をかけて算出します。
所得税は、累進課税制度となっているので、所得が高いほど税金も高くなります。
節税のためには「青色申告」を活用するのがおすすめです。
住民税
住民税は、前年の所得をもとに翌年に都道府県・市町村に支払う地方税です。
原則として所得の約10%程度が課税されます。
所得税の確定申告をすれば、住民税も自動的に計算・通知されます。
消費税
課税売上高が年間1,000万円を超えると、翌々年から消費税の納税義務が発生します。
年間1,000万円以下の売上の場合や、開業してから2年以内は納付義務はありません。
2023年からはインボイス制度が始まり、課税事業者になるかどうかの判断がより重要になっています。
個人事業税
個人事業税は、フリーランスの一部の業種(デザイン業、IT業、コンサル業など)に対して課税される地方税です。
所得が年間290万円を超えた場合に支払う必要があります。
個人事業税=(前年の売上-前年の経費-290万円)×税率
税率は業種により異なり、3~5%程度です。
フリーランスの手取り金額の目安
フリーランスの「手取り」は、年収(売上)から経費と税金を差し引いた後の実際に使える金額です。
売上を年収として、経費率を30%程度と仮定した場合の、目安を紹介します。
年収300万円の場合
経費:90万円
所得:210万円
税金・社会保険料:30万円
手取り:180万円
年収400万円の場合
経費:120万円
所得:280万円
税金・社会保険料:50万円
手取り:230万円
年収500万円の場合
経費:150万円
所得:350万円
税金・社会保険料:70万円
手取り:280万円
確定申告が青色申告か白色申告かによっても、手取り金額が変わります。
詳しく知りたい場合は、税理士や専門家に相談することをおすすめします。
フリーランスに保険が必要な理由
フリーランスに民間の保険が必要な理由について解説します。
・公的保障が薄い
・失業保険がない
・収入が不安定
公的保障が薄い
フリーランスは、会社員と比べて公的保障が薄いです。
例えば、会社員は傷病手当や失業保険を受け取ることができますが、フリーランスはこれらの保障はありません。
そのため、もしもの場合に備えて民間の保険に加入することをおすすめします。
失業保険がない
フリーランスは、失業保険(雇用保険)に加入することができません。
そのため、仕事がなくなった場合に収入が途絶えるリスクが高まります。
万が一、働けなくなった場合や仕事を失った時に備えて、保険に加入することをおすすめします。
収入が不安定
フリーランスは、毎月の仕事量や単価によって収入が変動するため、不安定と言えるでしょう。
特に、病気やケガで働けなくなった場合、収入が途絶える可能性があります。
これを防ぐためには、保険に加入しておくことが重要です。
フリーランスにおすすめの保険

フリーランスにおすすめの保険を紹介します。
就業不能保険
就業不能保険は、病気やケガで働けなくなった際に、一定の収入を保障してくれる保険です。
フリーランスにとって、収入が途絶えるリスクを軽減するために非常に重要です。
保険料は年齢や健康状態によって異なりますが、加入することで安心して仕事ができるでしょう。
所得補償保険
所得補償保険は、働けなくなった場合に収入を補填してくれる保険です。
フリーランスは収入が不安定なため、万が一の場合に備えるために加入しておくことをおすすめします。
保険料はプランによって異なりますが、万が一の場合に家族や自分の生活を守るために必要な保険です。
医療保険
医療保険は、病気やケガによる入院や手術に対する保障です。
フリーランスは、医療費が高額になることがあるため、医療保険に加入しておくことで、経済的な負担を軽減できます。
終身保険
終身保険は、死亡時に保険金が支払われる保険です。
家族がいる場合は、遺された家族の生活を守るための保障を考える必要があります。
終身保険に加入することで、万が一のことが起きても家族を守ることができるでしょう。
保険料は年齢や健康状態によって異なりますが、長期的な視点で考えると加入すべき保険です。
個人年金保険
個人年金保険は、老後の生活資金を積み立てるための保険です。
フリーランスは、将来の年金が不安定なため、個人年金保険に加入することで安心した老後を迎えることができます。
保険料はプランによって異なりますが、早めに加入することをおすすめします。
火災保険・地震保険
火災保険や地震保険は、住居や財産を守るための保険です。
フリーランスは、自宅で仕事をすることが多いため、これらの保険に加入しておくことで、万が一の災害に備えることができます。
保険料は物件の条件によって異なりますが、必要な保障を選ぶことが重要です。
フリーランスが加入できる公的機関が運営する制度
フリーランスでも、将来や万が一に備えるために利用できる制度があります。
小規模企業共済
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者を対象とした共済制度です。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しており、経営者や役員が事業をやめる際に、生活の安定や事業の再建を図るための資金を準備することができます。
主に、将来の退職金を積み立てるための制度であり、掛金は全額が所得控除の対象となります。
共済金は、事業の廃業や退職時に受け取ることができ、掛け金は500円単位で月額1,000円~70,000円までの範囲で自由に設定できるため、経営者にとって非常にお得な制度です。

中小企業退職金共済
従業員を雇っている個人事業主向けの制度で、従業員の退職金を国が管理・運用します。
事業主が毎月の掛金を支払い、従業員が退職した場合には中小企業退職金共済から退職金が支払われる仕組みです。
掛金は全額非課税扱いとなります。
また、掛金の一部が国から助成される場合もあるため、負担を減らして従業員に退職金を準備することが可能です。
中小企業倒産防止共済
中小企業倒産防止共済は、中小企業が取引先の倒産による影響を受けないようにするための制度です。
具体的には、取引先が倒産した場合に、積み立てた掛金の総額に応じて共済金を受け取ることができます。
中小企業倒産防止共済は、経営セーフティ共済とも呼ばれ、国が支援する形で運営されています。
中小企業が連鎖倒産を防ぐための重要な手段として、多くの企業に利用されています。
個人事業主の場合、中小企業倒産防止共済に加入することで掛金を経費として計上できるため、節税効果が期待できるでしょう。

フリーランスの保険料は?経費にできる?
フリーランスの保険料は加入するプランによって異なる
フリーランスが加入する保険の保険料は、選択するプランや保障内容によって大きく異なります。
例えば、就業不能保険や所得補償保険は、保障額や期間によって保険料が変わります。
自分のライフスタイルやリスクに応じて、適切なプランを選ぶことが重要です。
経費にできる保険料
フリーランスが支払う保険料の中には、経費として計上できるものがあります。
・火災保険
・地震保険
・自動車保険
仕事に直接関連する保険は、経費として計上することが可能です。
火災保険でも、事務所の火災保険は経費にできますが、自宅の火災保険は経費にできません。
直接仕事と関係しない保険は経費として計上できないため、注意が必要です。
確定申告で控除の対象となる保険料
確定申告を行う際、フリーランスが支払った保険料は控除の対象となることがあります。
特に、終身保険や医療保険、個人年金保険などは、控除の対象として認められることが多いです。
しっかりと申告をすることで税金の負担を軽減することが可能です。
迷ったり、分からなかったりする場合は、保険会社や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
フリーランスにとって、民間の保険は生活を支える重要な保障です。
公的保障が薄く、収入が不安定なフリーランスは、適切な保険に加入することで、万が一の場合に備えることができます。
自分に合った保険を選ぶことで、安心してフリーランスとして活動を続けられるでしょう。
脚注
本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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