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医師・医療機関に必要な保険とは?保険の必要性について解説

医療機関 保険

医療機関はどのようなリスクを抱えているのかな?

医療機関や医師に必要な保険って何かな?

医療機関では、手術のミスなどの訴訟が絶えず損害額も高額になる可能性が少なくありません。

今回は、医療機関で起こり得るリスクに備えるための保険について紹介します

この記事を読んだあなたは、医療機関や医師に必要な保険について理解できるでしょう。

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目次

医療機関が賠償責任保険に加入する必要性

医療機関や医師が賠償責任保険に加入する必要性について紹介します。

・訴訟が多い

・賠償金額が高額

・診療科目によって訴訟の多さが変わらない

訴訟が多い

医療機関や医師が賠償責任保険に加入するべき一番の理由は、医療関係の訴訟が多いからです。

2000年代では年間1,000件を超える訴訟があったことに比べると、現在は年間800件程度で横ばいの傾向が続いています。

合計数
2005年1,062件
2006年1,139件
2007年1,027件
2020年853件
2021年666件
2022年850件
2023年797件

内容としては、半決と和解が80%を占めており、請求の放棄・認諾や取り下げなどの割合は少ない状態です。

しかし、年間800件という訴訟数は、決して少ないとは言えません。

そのため、医療機関や医師は訴訟を起こされる可能性があるため、保険に加入して万が一トラブルが発生した場合にきちんとした対応を取る必要があります

参考:裁判所_医事関係訴訟の現状

賠償金額が高額

医療訴訟では、賠償金額が高額になるケースが多いでしょう。

2022年4月20日に鹿児島地方裁判所で、当時20歳代の研修医が発症した脳膿瘍への対処が遅れ寝たきりになったとして、きわめて高額の賠償責任が認められた。3億2714万4245円ということで、驚かれた読者の方も多いのではないだろうか。脳性麻痺の事案など、賠償額が遅延損害金などを含め2億円近くなるケースも多い。

引用:日経メディカル_2022/05/24

病院側に3億円超と高額の賠償責任が課されました。

医療機関・医師がミスをすると、人の命に関わることなので他の職業と違い賠償金額が高額になります。

そのため、保険に加入して高額であっても被害者にすぐ対応できる体制を整えておくべきです。

診療科目によって訴訟がないとは限らない

診療科目別の訴訟数は、下記の表の通りです。

診療科目2021年2022年2023年
内科174238193
小児科71613
精神科302626
皮膚科11810
外科7898141
整形外科738787
形成外科322726
泌尿器科231610
産婦人科385141
眼科191711
耳鼻咽喉科9105
歯科7610093
麻酔科599

訴訟の半分以上を、内科・外科・歯科が占めています。

しかし、命に関わる手術を多く行う内科・外科が多くの割合を占めるのは仕方ないでしょう。

どの診療科目も、訴訟がゼロの年はありません。

そのため、精神科や皮膚科や耳鼻咽喉科であってもリスクはあるため、保険に加入して補償を持つことをおすすめします

参考:裁判所_医事関係訴訟の現状

医療機関で実際に発生した事故例

実際に医療機関で発生した、事故の事例を紹介します。

事例1:認知症患者の誤食・誤飲

認知症で入院していた70代の女性が自らの紙おむつを誤食・誤嚥して気管につまらせて心肺停止状態となり、心肺蘇生を行ったものの低酸素脳症で高次脳機能障害を来し、その後死亡した。事実関係に争いはなく、医療機関側が、紙おむつの誤食・誤嚥を予防する十分な措置を講じていたか否かが争われました。当事務所では、医師・医学博士でもある弁護士が、医療のみならず介護の専門文献も調査し、介護の専門家の意見書を提出し、簡易な介護器具を用いる事で誤食・誤飲の予防は可能であったし、それが現在の介護現場の主流である事を立証し、1,000万円を超える和解となりました。

参考:おおたか総合法律事務所

高齢化に伴い認知症患者の数も増えているでしょう。

医療機関側がミスをした訳ではありませんが、誤食や誤飲の予防が可能であった場合は医療機関側の落ち度として和解金を支払わなければいけません。

介護現場では、日々何が起こるか分からないため、万が一のトラブルに備えるべきでしょう。

事例2:手術ミス

50代の男性に心臓カテーテル手術を施行した際に左冠動脈を傷つけ、経皮的心肺補助装置(PCPS)に接続した所、バルブの方向を間違えて体内に空気が混入し、空気塞栓による多発性脳梗塞を生じて高次脳機能障害の状態となった。被告である医師・医療機関も事実関係及び過失を認め、将来の治療体制、医療費・介護費用がどこまで認められるかが争点になりました。当事務所では、医師・医学博士である弁護士が患者の医療、介護負担を粘り強く訴え、6,300万円という高額での和解と、将来にわたって、被告医療機関が原告患者の医療について将来にわたって責任を持って対処する旨の条項を和解に入れる事が出来ました。

参考:おおたか総合法律事務所

医療ミスによる事例です。

医療機関では、このように手術中にミスをする可能性が考えられます。

もちろん、医師である以上、人の命を預かるためミスは許されませんが、医療現場で絶対にミスは起きないとは言い切れないでしょう。

事例3:準強制わいせつ罪に問われた乳腺外科医

手術後に女性患者の胸をなめたとして準強制わいせつ罪に問われた乳腺外科医・関根進被告(46)の上告審判決で、最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)は18日、懲役2年の逆転有罪とした二審・東京高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。

引用:朝日新聞_2022/02/18

このケースは、民事事件ではなく刑事事件のため、医師賠償責任保険では弁護士費用なども適用されません

医療機関・医師は、刑事事件が発生する場合もあるということが分かりました。

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医師賠償責任保険とは?

医療機関のための保険である、医師賠償責任保険とは一体どのような補償があるのでしょうか。

医師賠償責任保険の補償内容や、保険金の支払いについて解説します。

補償内容

医師賠償責任保険は、医師が国内で行った治療行為が原因で、患者の生命や身体の障害が発生した場合に、医師が責任を負う法律上の損害賠償をカバーする保険です。

医師だけではなく、看護師などの医療業務補助者が行った場合も補償の対象になります。

また、常勤先以外の医療施設でのトラブルも対象です。

民間の保険会社の医師賠償責任保険の補償内容は、下記の通りです。

補償内容詳細
法律上の損害賠償金治療費、入院費、慰謝料、休業補償など
訴訟費用訴訟費用、弁護士費用、仲裁・和解・調停に要する費用など
損害防止や軽減のための支出費用求償権の保全・行使当の損害防止・軽減に必要な費用
緊急措置費用応急手当や緊急処置に要する費用
協力費用引受保険会社の要求に伴う協力費用

保険会社によって、内容が異なる場合があるため確認が必要です。

保険金が支払われる場合

保険金が支払われる場合の例は、下記の通りです。

・診断を誤ったため、患者の症状が悪化した

・手術ミスにより、患者が重篤な後遺症を負った

保険金が支払われない場合

下記の事由により生じた損害については、保険金は支払われません。

・保険契約者、被保険者の故意

・戦争、変乱、暴動、騒じょう、労働争議

・地震、噴火、洪水、津波、高潮

・次のものの所有、使用または管理に起因する賠償責任

 (ⅰ)被保険者が業務を行う施設または設備

 (ⅱ)航空機、車両、船舶または動物

・名誉棄損または秘密漏えいに起因する賠償責任

・美容を唯一の目的とする医療行為に起因する賠償責任

・医療の結果を保証することにより加重された賠償責任

・所定の免許を有しない者が遂行した医療行為に起因する賠償責任

特に気をつけたいのが、美容を目的とする医療行為の場合は保険金が支払いの対象外となっています。

そのため、美容外科や美容皮膚科などの美容医療の場合は、別途「美容医療賠償保険」があるため、こちらに加入することをおすすめします。

医師が加入できる賠償責任保険とは?

医師

医師が加入できる賠償責任保険は、強制加入の保険と任意加入の保険があり、下記の通り大きく3つに分かれています。

・日本医師会医師賠償責任保険

・勤務医師賠償責任保険

・病院賠償責任保険

日本医師会医師賠償責任保険

日本医師会医師賠償責任保険は、日本医師会が運営する保険です。

日本医師会に加入している医師は、強制加入となっています。

医療行為によって生じた身体の障害につき、100万円以上の損害賠償を請求された事故が対象です。

また、支払限度額は1事故1億円で、保険期間中は3億円となり、免責金額(自己負担額)は1事故100万円となります。

勤務医師賠償責任保険

医師賠償責任保険は、民間の保険会社が提供する医療機関や医師のための保険プランです。

民間の保険会社のプランのため、プラン名は保険会社によって違います。

また、医療機関や医師の保険を取り扱っている保険会社は下記の通りです。

・東京海上日動

・損保ジャパン

・三井住友海上

医師の給与補償保険などもあるため、保険会社に相談してご自身に合ったプランを選択しましょう。

病院賠償責任保険

病院賠償責任保険は、医療機関の経営者が加入する「医師賠償責任保険」と「医療施設賠償責任保険」を組み合わせた保険です。

医療施設賠償責任保険は、下記が原因で事故が発生した場合の損害賠償責任を補償してくれます。

・医療施設

・医療施設の用法に伴う業務とその結果

・生産物

医療施設賠償責任保険の支払い例

・シャッターが落下して見舞客がケガをした

・床が濡れていて患者が転んでケガをした

・病院内の食堂で提供した食事が原因で、見舞客が食中毒になった

病院を経営するにあたって、必要な保険です。

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アルバイトの医療事故は対象?

医師倍賞責任保険では、アルバイトの医師が起こした医療事故も補償の対象になります。

日本国内での診療であれば、非常勤先・スポット勤務・アルバイトであっても対象になるため、安心してください。

いつからいつまでの事故が対象?

医師賠償責任保険は、事故が発見された日に保険に加入しているかどうかで対象になるか決まります。

保険に加入する前や保険期間終了後に発見されたトラブルは、補償されません。

医師が事故の発生を認識した時、または損害賠償請求がされた時のいずれか早い時点で、保険に加入していたかどうかによって対象か対象外かが決まります。

まとめ

医療機関・医師は、人の命を預かる重要で責任が必要な仕事であるため、医療ミスなどが発生した場合の損害賠償金額が高額になる可能性があります。

トラブルが発生した場合でも保険に加入していると迅速に対応できるため、保険に加入することをおすすめします

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この記事を書いた人

保険相談Times(株式会社インシュアランスブレーン)では、海外旅行保険(留学・ワーホリ・駐在・海外長期渡航など)・火災保険・法人損保に関するお問い合わせを日々多数いただいています。その中で、お客様からのご質問・やり取りの中から「この情報は保険加入前に知っておいた方がいいな」といった内容を記事にまとめて保険の選び方を発信しています。
スタッフの詳細なご紹介:https://hokentimes.com/oversea/staff

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