万が一、社長が事故や病気で仕事ができなくなった場合、会社はどうなるのだろう?
経営者のリスクを軽減できる保険は何だろう?
経営者は背負っているものが大きいため、いざという時の資金を確保したいから保険に加入する方も少なくないでしょう。
今回は、経営者保険の必要性について解説します。
この記事を読んだあなたは、万が一のトラブルから会社を守るための経営者保険について知ることができるでしょう。
経営者保険とは?
経営者保険とは、企業の経営者や役員が直面するリスクに備えるための保険です。
経営者保険という名前の保険プランではなく、経営者や役員が加入する法人保険のことを経営者保険と呼びます。
経営者保険の契約者・被保険者・保険金受取人は、下記のように設定されることが多いでしょう。
・契約者:企業
・被保険者:経営者・役員
・保険金受取人:企業・被保険者の遺族
保険金受取人が企業の場合の保険は、経営者が死亡した場合の会社の資金繰りなどの経営のリスクをカバーするためです。
被保険者の遺族の場合は、遺族の生活保障または家族内での事業承継に備えるためです。
企業の存続や安定経営を目的として、経営者に関係するさまざまなリスクに対して補償する保険と言えます。
経営者保険の必要性
経営者保険は、企業の経営者や役員が直面するさまざまなリスクに対処するために必要です。
・死亡リスク
・就労不能リスク
・信用が低下するリスク
死亡リスク
経営者が突然亡くなると、企業の運営が滞り、取引先や顧客からの信頼を失う可能性が考えられるでしょう。
特に中小企業の場合、経営者の個人的な存在が企業の信用そのものであることが多く、後継者が未定の場合や事業承継の準備が整っていないと、企業の存続が危しくなります。
経営者保険は、経営者の死亡時に資金を提供し、事業を継続させるための資金として活用することができます。
急な経営者の死亡に伴う経営混乱を最小限に抑えることができるでしょう。
就労不能リスク
経営者が病気や事故で就労できなくなった場合、企業の意思決定が遅れることや、日常の経営に支障が出ることがあるでしょう。
特に、経営者が業務の中心人物である場合、就労不能は企業の大きな損失につながります。
就労不能リスクに備えた経営者保険は、経営者が長期的に働けなくなった際の収入補償や、代わりの経営者を雇うための費用をカバーすることができます。
企業の業務継続がスムーズに行えるよう支援します。
信用が低下するリスク
経営者に万が一のことが生じると、取引先や金融機関、従業員からの信用が低下することがあるでしょう。
経営者の健康状態や財務的問題が知られると、企業の取引条件が悪化したり、融資が難しくなったりする可能性があります。
経営者保険を活用することで、経営者のリスクに対して企業が適切に備えていることを示すことができ、取引先や金融機関に対して企業の信用力を維持することが可能です。
さらに、経営者が万が一の場合でも、保険金をもとに事業を立て直すことができるため、企業の安定性をアピールできます。
経営者保険の種類
経営者保険は、経営者の目的やニーズに応じてさまざまな種類があります。
経営者の状況に合わせて適切な保険を選ぶことが重要です。
長期的な貯蓄をしたい
経営者が退職後の資金を準備したい場合や、将来の資金に備えたい場合には、下記の保険が有効です。
これらの保険は、長期的な貯蓄を目的として、経営者が将来的に必要となる資金を積み立てることができます。
退職金準備保険 | 経営者の退職時に支払われる退職金を準備するための保険です。 退職金は会社にとっても大きな支出となるため、この保険を活用することで長期的に準備を整え、負担を分散させることができます。 |
養老保険 | 養老保険は、契約期間中に経営者が亡くなった場合に死亡保険金が支払われ、契約満了まで生存していれば満期保険金が受け取れる保険です。 これにより、経営者は家族や事業継続のための保障と、将来の資金準備を同時に行うことができます。 |
短期的な貯蓄をしたい
短期間で資金を準備したい場合や、企業の経営におけるキャッシュフローの確保が必要な場合には、定期保険などの短期的な保険が適しています。
定期保険 | 一定期間のみ保障を受ける保険で、経営者の死亡や高度障害時に保険金が支払われます。 短期間でのリスクに備えつつ企業に必要な資金を確保でき、必要な保障期間だけ設定できるため、短期的な資金調達に効果的です。 |
病気・ケガに備えたい
経営者の健康リスクに備えたい場合、医療保険や就労不能保険が役立つでしょう。
経営者が病気やケガで長期間就労できなくなった際に、治療費や生活費の負担を軽減できます。
医療保険 | 病気やケガで入院や手術が必要になった際に、医療費をカバーする保険です。 特に経営者が長期間業務を離れることになると企業にも影響が出るため、医療保険によって治療費の負担を減らすことが重要です。 |
就労不能保険 | 経営者が長期にわたって働けなくなった場合に、収入を補償する保険です。 経営者が働けなくなっても生活費や治療費をカバーし、企業の業務継続に支障が出ないようサポートしてくれます。 |
経営者の生命保険の保障額はいくら必要?
経営者の生命保険の保障額を設定する際には、会社や家族を支えるための金額を十分に検討する必要があります。
事業継続資金
経営者が不測の事態で死亡した場合、会社の運営や従業員の給与支払いなどを維持するための資金が必要です。
この資金は「事業継続資金」として保険でカバーすることが多く、一般的には以下のような項目を合計した金額を基準とします。
従業員の給与 | 一定期間分の給与費用(3~6ヶ月分を目安にすることが多い) |
運転資金 | 会社の運転資金や固定費(家賃や光熱費など)も考慮 |
借入金の返済 | 経営者が保証人になっている場合、死亡により返済義務が生じることがあるため、その返済分も含める |
相続税や贈与税の負担
経営者の遺産相続が発生した場合、相続税や贈与税が発生します。
会社の資産や自宅などを含む遺産が多い場合には、その一部を現金で納税する必要があるため、相続税に対する備えとして生命保険を活用することがあります。
家族の生活費
経営者のご家族の生活費も保障額の検討要素に含めます。
以下のような家族の生活費をカバーできるように、十分な保障を用意することが一般的です。
家族の生活費 | 教育費や住宅ローンの支払いがまだ残っている場合、これらをカバーするための金額 |
教育費 | 子どもがいる場合は、大学卒業までの教育費など |
その他のライフプラン | 配偶者が働けない状況であれば生活費を長期間カバーする額が必要 |
会社の株式や資産の買い取り資金
経営者が急逝した場合、会社を存続させるために株式や経営権を買い取る必要があるケースもあります。
この資金を確保するために保険を活用することも検討する価値があります。
特に同族経営の場合は、株式の一部を遺族に遺す形で承継する場合に備え、買取資金を準備することが必要です。
保障額の目安
保障額の目安としては、一般的に年収の5倍~10倍程度が推奨されています。
しかし、企業の規模や負債の状況、家族構成などによっても異なるため、適切な額を算出するためには専門家と相談しながら計算するのが良いでしょう。
経営者保険のメリット
経営者保険に加入するメリットを3点紹介します。
経営者が亡くなった時のリスクが軽減できる
経営者保険の一番のメリットは、万が一の時に備えた資金調達が可能という点です。
経営者保険に加入していると、経営者が死亡した際に支払われる死亡保険金が企業に提供され、事業を継続するための資金として活用できます。
銀行融資は審査に時間がかかりますが、保険の場合はすぐに保険金が支払われるため、緊急時の資金調達が可能です。
事業承継・債務の返済・企業の再編成資金に充てることができ、経営上の混乱を最小限に抑える助けとなるでしょう。
経営者の退職金を確保できる
経営者保険を活用することで、経営者の退職金を計画的に準備することができます。
特に養老保険や退職金準備保険などは、経営者が退職する際にまとまった金額を受け取ることができるため、企業側も大きな財政負担を分散させつつ、退職金を確保することが可能です。
このように、経営者保険を利用することで、経営者自身の将来に対する安心感を高め、退職後の生活資金として活用できるのも大きなメリットです。
節税効果が期待できる
経営者保険の中には、税制上の優遇措置が適用されるものもあります。
企業が経営者保険の保険料を支払う場合、保険料の一部を経費として計上することが可能で、法人税の軽減効果が期待できます。
また、保険の種類によっては、退職金や満期保険金を受け取る際に税務上のメリットを受けられることもあります。
ただし、具体的な税務優遇の内容は、契約の条件などによって異なるため、税理士などに相談することが重要です。
適切に活用することで、企業にとって大きな節税効果を得ることができるでしょう。
経営者保険のデメリット
経営者保険のデメリットを2点紹介します。
保険料が負担になることがある
経営者保険に加入する場合、保険料を会社が負担しなければいけません。
会社の利益やキャッシュフローを圧迫する可能性があるため、注意が必要です。
特に中小企業にとっては、保険料が財務的な負担に繋がる可能性があるでしょう。
また、保険は長期にわたり支払う必要があるものです。
一時的な負担ではないため、会社の財務状況や利益によって加入するプランを考えることをおすすめします。
節税効果を得られないケースもある
経営者保険の中には節税効果を期待できるものもありますが、すべてのケースで適用されるわけではありません。
保険商品によっては、保険料が経費として認められない場合もあり、節税効果が得られないことがあります。
貯蓄機能がある保険の場合は、条件を満たさないと保険料の全額が経費として計上できません。
他にも保険によっては、税務上の扱いが複雑で適切な契約形態を選ばないと、企業や経営者にとって不利な税務処理が発生するリスクがあります。
また、税制が改正された場合、以前は認められていた節税措置が変更または廃止される可能性もあるため、長期的な視点で保険の契約を見直すことが必要です。
経営者保険の選び方
経営者保険は企業や経営者のリスク管理に役立つ重要な保険で、特に経営者自身や会社の将来に備えるために役立ちます。
選ぶ際には以下のポイントに注意して検討することが重要です。
保障内容の確認
経営者保険には、「死亡保険」、「医療保険」、「退職金積立保険」、「財産保全保険」など多くの種類があります。
まず、会社や経営者がどのようなリスクに備えたいかを明確にし、保障内容がその目的に合致しているか確認しましょう。
税務上のメリット・デメリット
一部の経営者保険は税務上のメリットを活用でき、経費として損金算入が可能なものもあります。
ただし、保険契約の種類や内容によって税務効果が異なるため、税理士など専門家に相談し、どの程度の節税効果が見込めるか確認してから契約すると良いでしょう。
保険料と返戻率のバランス
保険料が高額な商品ほど返戻率も高いとは限りません。
経営者保険は長期的な契約が多く、解約返戻金がどの程度戻ってくるかも重要です。
特に、途中解約時の返戻率がどうなるかも確認し、資金繰りを考慮したプランを選ぶことがポイントです。
保険会社の信頼性
保険会社の財務状況や信頼性も選択基準として重要です。
経営者保険は長期契約が多いため、保険会社が安定して存続するかが安心材料になります。
口コミや評判、格付け会社の評価なども確認しておくと安心です。
専門家の意見を活用
経営者保険は複雑であり、税務や法務の知識も求められるため、ファイナンシャル・プランナーや税理士、保険代理店など専門家の意見を取り入れるのが有効です。
自身で理解しにくい部分がある場合は、迷わず専門家に相談しましょう。
まとめ
今回は、経営者保険の必要性を解説しました。
経営者保険は、経営者に万が一の時があった場合だけではなく、資金を確保できる有効な手段でもあります。
会社を存続させるためにも経営者保険に加入することをおすすめします。
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