将来の事業承継を見据えて、法人保険に加入したいがどの保険に入ったら良いのか分からない。
法人保険に加入したけれど、いまいち活用方法が分からない。
法人保険を活用して事業承継をお超えなる、とりあえず保険に加入したという方も多いでしょぅ。
今回は、法人保険を活用した事業承継について解説します。
この記事を読んだあなたは、事業承継をするにあたって法人保険の上手な活用方法を知ることができるでしょう。
法人保険とは?
法人保険とは、企業が抱えるさまざまなリスクに対処するための保険です。
企業の財産や従業員、事業そのものを守るために設計されており、事故や災害、経営者の死亡や病気など、経営に影響を与えるさまざまなリスクに備えることができます。
法人保険は、企業の経営を安定させ、長期的な成長を支える重要なツールです。
法人保険の種類
法人保険は、企業のニーズに応じたさまざまな種類があります。
生命保険 | 経営者や役員、従業員が死亡した場合の補償。 特に経営者や主要な従業員の不在が企業に大きな打撃を与える場合に有効である。 |
損害保険 | 企業の所有物を火災や盗難、災害から守る保険。 また、第三者への賠償責任もカバーする。 |
従業員向け保険 | 労災保険や福利厚生の一環として従業員に提供する保険。 従業員の健康や労働能力の維持に寄与する。 |
医療保険 | 経営者や従業員の医療費を補助する保険。 がんなどの病気やケガの際の医療費負担を軽減する。 |
退職金積立保険 | 従業員の退職金の支払いをスムーズに行うための資金を積み立てる保険。 |
法人保険で備えられるリスク
法人保険を活用することで、企業は次のようなリスクに備えることができます。
・経営者リスク
・資産リスク
・賠償リスク
・従業員リスク
・事業継続リスク
経営者リスク
経営者や重要な従業員が突然の病気や事故で働けなくなる、または死亡した場合、経営に大きな影響が出る可能性があります。
生命保険や役員保険に加入することにより、企業は経営の継続を確保できるでしょう。
資産リスク
火災、自然災害、盗難などにより、企業の資産が損害を受けるリスクがあります。
損害保険はこれらのリスクに対する補償を提供します。
賠償リスク
事業活動によって第三者に損害を与えた場合、賠償責任が発生することがあります。
賠償責任保険は、このようなリスクに対処するために役立つ保険です。
従業員リスク
従業員が事故や病気で働けなくなった場合や、退職時の経済的保障が必要な場合に備えるために、従業員向けの保険を提供することができます。
事業継続リスク
災害や事故により事業が中断するリスクに対しても、事業継続保険が役立ちます。
法人保険は、企業経営を安定させるために不可欠な要素です。
各企業の特性に応じた適切な保険の選定が、リスクに強い経営を実現できるでしょう。
円滑な事業承継をするためには?
円滑な事業承継をするためには、どういったことが必要であるか紹介します。
事業承継は資金が必要
事業承継には、多額の資金が必要になることが一般的です。
株式や資産の買取資金
後継者が親族である場合でも、他の相続人とのバランスを取るために、事業に関する株式や資産を買い取る資金が必要です。
また、親族外の第三者に事業を引き継ぐ場合も、相応の対価が必要となります。
税金・諸費用の負担
事業承継時には、相続税や贈与税、登記費用など多くの費用が発生します。
特に、株式や不動産などの資産が多い場合、相続税が高額になることがあり、それに対応するための資金準備が必要です。
事業承継に必要な資金を確保するため、生命保険や退職金積立保険を活用して資金を準備することが効果的です。
後継者不足
現代では、事業承継において後継者不足が大きな課題となっています。
特に中小企業では、親族内に適任者がいない、または承継を望む人物がいないケースが増加しています。
後継者不足に対処するためには、早期に後継者候補の選定と育成を開始し、承継計画を具体的に進めることが重要です。
法人保険を活用した事業承継
円滑な事業継承をするための法人保険の活用例について紹介します。
自社株買取りスキーム
事業承継では、経営者が保有する自社株式の引継ぎが必要です。
法人保険を活用することで、後継者や企業自体がスムーズに自社株を買取るための資金を準備できます。
経営者が法人契約の生命保険に加入することで、万が一の際に保険金を受け取ることができます。
この保険金を活用して、後継者が自社株を買い取る資金として使うことができます。
保険金を企業が受け取った場合、その資金をもとに自社株を買い取り、事業を継続します。
これにより、事業承継に必要な資金を円滑に確保することができます。
後継者が資金を用意できない場合でも、スムーズに事業承継を進められるでしょう。
死亡退職金の準備
経営者が亡くなった場合、遺族に死亡退職金が支払われます。
この死亡退職金を納税資金として活用することが可能です。
また、他の相続人への代償金としても活用することができます。
退職金の準備
退職して事業継承する場合は、退職時に保険を解約することで退職金として支払われます。
退職金は、給与所得に比べて税負担が少ないため、現金を手元に残すことができるでしょう。
退職金を相続税の納税対策や遺留分対策に活用することができます。
事業承継対策となる生命保険の種類
定期保険
概要 | 一定期間内に経営者が死亡した際に保険金が支払われる生命保険。 期間が限定されるため、保険料が比較的安価。 |
用途 | 経営者に万が一のことがあった場合の納税資金や後継者への支援金、事業の運転資金などとして活用される。 |
特徴 | 掛け捨てタイプが一般的で保険期間終了後は保険金が支払われないため、低コストでリスク対策を行う際に向いている。 |
終身保険
概要 | 契約者が死亡した際に確実に保険金が支払われる保険。 解約返戻金もあり資産としても機能する。 |
用途 | 経営者が亡くなった際の納税資金の確保、遺留分対策、後継者への資金補填などに適している。 |
特徴 | 保険期間に制限がなく、途中解約による解約返戻金も期待できる。 返戻率が高くなることがあるため、資産運用としても検討されるが保険料は比較的高額。 |
養老保険
概要 | 一定の保険期間を設定しその期間内に死亡した場合は死亡保険金が支払われ、満期を迎えると満期保険金が支払われる。 |
用途 | 後継者が経営を引き継ぐ際の退職金準備や納税資金の確保、退職時に経営者に資金を渡すための準備金として利用される。 |
特徴 | 貯蓄性が高く満期保険金を事業資金や退職金に活用できるため、退職金や運転資金としても効果的。 |
長期平準定期保険
概要 | 一般の定期保険に比べて保険期間が長く、解約返戻金が増加しやすい保険。 |
用途 | 経営者の退職金準備や、事業承継時の資金として利用される。 解約返戻金があるため、資産としての積み立てや法人の退職金準備に最適。 |
特徴 | 返戻率のピークを迎える期間が長いため、将来的な退職金や事業資金としての活用が見込まれるが税務面での注意が必要。 |
役員退職金保険
概要 | 法人が経営者の退職金として準備するための保険で、満期時や死亡時に保険金が支払われる。 |
用途 | 経営者が引退する際の退職金支払いや、万が一の事態に備える資金準備に活用される。 |
特徴 | 保険料の一部または全額が経費として計上できることがあるため、税金対策としてもメリットがある。 |
逓増定期保険
概要 | 経営者が一定期間生存するごとに保険金額が増加するタイプの保険。 |
用途 | 経営者の退職金や事業承継時の資金準備として役立ち、後継者が経営をスムーズに引き継げるようサポートする。 |
特徴 | 初期の保険料は高いものの、後半で解約返戻金が増加し資産としても保有可能。 |
法人保険を活用した事業承継のメリット
法人保険を活用した事業承継のメリットを3つ、紹介します。
納税資金にできる
事業承継で大きな課題となるのが、相続税や贈与税の納税です。
相続税や贈与税のために株式を売却することはできないため、資金が足りない場合は準備するのに苦労するでしょう。
しかし、法人の生命保険に加入して後継者を受取人に設定しておけば、納税資金を残すことができるため、後継者の負担を軽減できます。
法人保険に加入することで、納税資金を効率よく確保することが可能です。
自社株式の評価額を引き下げられる
非上場企業に限られたメリットですが、法人保険を活用すると自社株式の評価額を引き下げられます。
保険に加入すると保険料の一部が経費として計上されます。
会社の純資産が減少するため、結果として自社株式の評価額を引き下げることが可能です。
そのため、後継者の株式取得費用や納税金額を抑えることができます。
運転資金として活用できる
経営者が突然お亡くなりになられた場合、保険金を運転資金として活用することができます。
事業承継の準備が整っていない状態で、経営者が亡くなった場合、会社の経営が怪しまれる可能性も高いです。
そのような場合でも、法人保険の保険金を運転資金として活用することで、会社を存続できるでしょう。
法人保険を活用することで、事業承継時だけでなく、事業運営全般において安定的な資金管理が可能になります。
法人保険を活用した事業承継のデメリット
法人保険を活用した事業承継のメリットを2つ、紹介します。
保険料が負担になる
法人保険に加入する場合、保険料を会社が負担しなければいけません。
会社の利益やキャッシュフローを圧迫する可能性があるため、注意が必要です。
特に中小企業にとっては、保険料が財務的な負担に繋がる可能性があるでしょう。
また、保険は長期にわたり支払う必要があるものです。
一時的な負担ではないため、会社の財務状況や利益によって加入するプランを考えることをおすすめします。
解約する場合は損になる場合がある
途中解約する場合は、時期によっては保険料よりも保険金が少なくなり、損する可能性があります。
解約すると解約返戻金を受け取れる保険もありますが、返戻率がピークではない場合、受け取る返戻金が少なくなるでしょう。
思っていたよりも解約返戻金が少なく、保険に入っていたことを後悔する可能性があるため、注意が必要です。
法人保険を活用した事業承継の注意点
法人保険を活用した事業承継の注意点を2点、紹介します。
・出口戦略をしっかりと立てる
・保険に加入する目的をしっかりと持つ
出口戦略をしっかりと立てる
法人保険に加入する場合、しっかりと「出口戦略」を考えることが大切です。
解約するタイミングや、事業承継後の処理などを考慮して保険に加入しましょう。
税理士やコンサルタントなどの専門家に相談しながら、加入を検討することをおすすめします。
保険に加入する目的をしっかりと持つ
法人保険を活用する目的をしっかりと持ち、現在の会社の状況に合った保険を選ぶことが必要です。
例えば、当初は事業資金の確保が目的だった保険が、経営者の退職金準備に転換される場合もあります。
なぜ保険に加入しているかをしっかりと把握することが大切です。
まとめ
今回は、法人保険を活用した事業承継について解説しました。
事業承継は資金がかかりますが、法人保険を活用することで、後継者の負担を軽減することが可能です。
事業承継の方法はさまざまですが、法人保険を活用することでメリットもあるため、自社に合った保険を選び活用することをおすすめします。
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