法人でがん保険に入って役に立つのかな……
法人ががん保険に加入するメリットはあるのかな?
がん保険が必要であることは分かるけれどメリットがあるのか分からないという方も多いでしょう。
税制改正前までは、節税保険として利用していたけど、現在は節税効果は期待できないと考える方も少なくありません。
今回は、法人が加入するがん保険のメリットや基本について解説します。
この記事を読んだあなたは、法人ががん保険に加入するメリットついて理解できるでしょう。
法人における「がん保険」とは?
法人における「がん保険」は、従業員ががんにかかった際に保障を提供するための保険制度です。
がん治にかかる高額な医療費を補填し、従業員の経済的負担を軽減します。
個人契約ではなく法人契約をすることで、会社が従業員に対して福利厚生として提供することが可能です。
従業員の健康をサポートする一方で、企業の社会的信頼度の向上にも繋がるでしょう。
がん保険の種類
がん保険の種類は、主に4種類あります。
入院保障型がん保険 | がん治療のために入院した際に、入院費用や治療費を補償 |
診断一時金型がん保険 | がんと診断された時点で一時金が支払われ、治療や療養に充てる |
先進医療保障型がん保険 | 高度な医療技術を用いた治療、特に先進医療にかかる費用を補償 |
通院保障型がん保険 | 入院せずに通院で治療を行う場合に、通院費用をカバー |
上記の4種類の「入院給付」・「手術給付」・「診断給付」に加えて、「死亡保険金」を追加してすべての補償がセットになったがん保険もあります。
がん保険のタイプ
また、がん保険には解約返戻金がある場合と、ない場合があります。
がん保険の活用
がん保険の活用法を紹介します。
・福利厚生の強化
・企業の社会的責任(CSR)
・税制優遇
福利厚生の強化
がん保険は従業員に安心感を与えるとともに、優秀な人材を引きつけ従業員の定着率を向上させる効果があります。
企業の社会的責任(CSR)
従業員の健康を守ることは、企業の社会的責任を果たすことにもつながります。
特にがんは重大な病気であり、適切な保障を提供することで企業のイメージ向上が期待できるでしょう。
税制優遇
法人契約のがん保険には、税制上の優遇措置が受けられる場合もあり、企業のコスト削減に貢献することができます。
がん保険は、企業にとって従業員の健康と安心を支える重要なツールであり、これを適切に活用することで、企業の健全な成長を促進することが可能です。
がん保険の節税効果
がん保険は節税効果があると思っている方も少なくないでしょう。
しかし、2019年の税制改正1により、節税効果は薄くなりました。
下記は、「定期保険」の保険料の経理処理です。
最高解約返戻率 | 資産計上期間 | 資産計上額 | 取り崩し期間 |
---|---|---|---|
50%以下 | なし | なし | なし |
50%超70%以下 | 保険期間の当初4割相当の期間を経過する日まで | 当期支払保険料の40% | 保険期間の7.5割相当の期間経過後から保険期間の終了の日まで |
70%超85%以下 | 保険期間の当初4割相当の期間を経過する日まで | 当期支払保険料60% | 保険期間の7.5割相当の期間経過後から保険期間の終了の日まで |
85%超 | 次のうちいずれか長い期間まで ・保険期間開始日から最高解約返戻率となる期間の終了の日まで ・Aの期間経過後において「(当年の解約返戻金相当額-前年の解約返戻金相当額)÷年換算保険料相当額」が70%を超える期間 | ・保険期間の当初10年経過する日まで(当期支払保険料×最高解約返戻率の90%) ・保険期間の11年目以降残りの資産計上期間(当期支払保険料×最高解約返戻率の70%) | 解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間経過後から保険期間の終了の日まで |
法人が加入するがん保険は、保険種類やタイプにより税務の取り扱いが異なります。
そのため、契約する場合は税理士や保険会社と相談して、正しい出口戦略を立てた上で契約することが重要になります。
また、経営者や役員の保険料については、一部または全額が給与扱いとされ、課税対象となる場合もあるため注意が必要です。
がん保険に加入するメリット
がん保険に加入することには、従業員や企業に対して多くのメリットがあります。
退職金積立
がん保険は、退職金の積立に活用することが可能です。
がん保険に法人が加入することで、役員や従業員ががんにかかった際の保障を確保しつつ、将来的な退職金の支払い準備にもつなげることができます。
在職中にはがん保障に備えることができ、退職時には解約することで解約返戻金を退職金として渡すことができる仕組みです。
退職金支払いの一部としてがん保険を使うことで、会社としては負担を平準化することが可能です。
企業にとって、退職金の資金準備を段階的に行う手段として非常に有効と言えるでしょう。
福利厚生
がん保険は、法人が従業員に提供する福利厚生の一環としても大変有効です。
がん保険を提供することで、従業員ががんにかかった際の経済的な負担を軽減し、安心して治療に専念することができます。
従業員の健康を守ることは、結果的に会社全体の生産性や従業員満足度の向上につながるでしょう。
また、福利厚生の一環としてがん保険を導入することで、従業員にとって会社が自分の健康や生活を大切にしてくれているという印象を与えます。
これにより、従業員のモチベーション向上や離職防止につながり、優秀な人材の確保にも役立つでしょう。
ただし、がん保険の保険利用を福利厚生費として全額損金で計上する場合は、条件があります。
・福利厚生規程の作成が必須
・原則、従業員全員が保険に加入しないといけない
福利厚生規程では、がんになった場合について見舞金を支給することなどを明確に書く必要があるため、注意が必要です。
がん保険に加入するデメリット
がん保険に加入するデメリットを紹介します。
保険料が負担になる
がん保険に加入する場合、保険料を会社が負担しなければいけません。
そのため、従業員が多い場合は保険料の負担が大きくなります。
特に中小企業にとっては、がん保険の保険料が財務的な負担に繋がる可能性があるでしょう。
また、保険は長期にわたり支払う必要があるものです。
一時的な負担ではないため、会社の財務状況や利益によっては、保険料の継続支払いが難しくなる可能性があるため、注意が必要です。
節税効果は期待できない
法人保険のがん保険は、保険の種類によってどの程度損金に算入できるかはさまざまです。
全額が損金にできる場合もあれば、一部しか算入できないケースもあります。
そのために、期待していたほどの節税効果が得られない可能性も考えられるでしょう。
がん保険を導入しても、費用対効果があまり感じられないこともあるため、加入する場合はしっかりと検討することをおすすめします。
まとめ
今回は、法人におけるがん保険のメリットと基本について解説しました。
法人が、がん保険に加入することで、がんにも備えられて退職金を積み立てることができるため、役員や従業員の万が一に備えることが可能です。
保障という面では優れていますが、節税効果はあまり期待できないため、何を目的に保険に加入するかをしっかりと考えましょう。
脚注
本コンテンツは情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。保険商品のご検討にあたっては、「契約概要」「注意喚起情報」「ご契約のしおり」「約款」などを必ずご覧ください。
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